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Revolut のアプリにユーロのトークンが載った——1ユーロを預かるのは Revolut ではない

Revolut のアプリにユーロ連動トークン EURR が載った。だが1ユーロを預かるのは Revolut ではなく、Stripe 傘下の Bridge だ。流通量374という数字の読み方と、暮らしの側で先に確かめておける点。

Revolut のアプリにユーロのトークンが載った——1ユーロを預かるのは Revolut ではないのイメージ

この記事でわかること

  • EURR は Revolut のアプリ内で配られるが、発行と準備金の管理はルクセンブルクの Bridge Building S.A.(Stripe 傘下)が担う
  • 銀行預金のような保護は付かず、利息も付かない。額面での償還には本人確認と EEA の銀行口座、そして2営業日が要る
  • 流通量374トークンは失敗ではなく段階展開の初日の数字。見るべきは数字そのものより、動き始める速さ

Revolut が、ユーロに連動するトークン「EURR」を自社アプリの中で配り始めた。同社が「自分たちにとって初のユーロ裏付けステーブルコイン」と呼ぶもので、まずデンマーク・ポーランド・ポルトガルの一部の顧客から段階的に開き、欧州経済領域(EEA)全体への拡大は年内を見込むという。

取引所に口座を作って買いに行くのではなく、すでに毎日開いているアプリの残高欄の隣に、通貨のトークンが並ぶ。暮らしの側から見れば、これは「新しく何かを始める」話ではない。いま使っている導線の中に、性質の違う残高が一つ増える話だ。

だとすると、最初に確かめるべきは値動きでも将来性でもない。「その1ユーロを預かっているのは誰か」だ。

まず、始まったのは何か

語の範囲を狭めておきたい。始まったのは「ユーロがトークンとして持てるようになった」ことであって、「そのトークンで買い物ができるようになった」ことではない。報じられている用途は、ユーロと暗号資産のあいだを行き来するための、ユーロ建ての通り道としての役割だ。Revolut のアプリと Revolut X から扱え、外部のウォレットにも出せる。

対象は EEA の顧客で、しかも当面は三カ国の一部にとどまる。日本は EEA の外側にあり、日本の利用者にいつ、どんな形で出てくるのかは、今回の発表からは分からない。

1ユーロを預かっているのは、Revolut ではない

ここが今回いちばん大きい。EURR を発行し、その裏付けとなる準備金を持って管理しているのは、ルクセンブルクの Bridge Building S.A. だ。Stripe 傘下の会社で、EU の当局から電子マネー機関としての免許を受けている。Revolut 側はグループのデジタル資産会社を通じて、それを顧客に届ける役回りにいる。

つまりアプリの中では預金のすぐ隣に並ぶのに、「1ユーロを返す」と約束している主体が違う。crypto.news はこの点について、EURR の保有者には銀行預金のような保護は付かないと書いている。利息も付かない。MiCA の下で「電子マネートークン」に分類されるというのは、そういう建て付けだということでもある。

同じ画面に並ぶからといって、後ろにいる相手まで同じとは限らない。

374 という数字が言っていること

Finance Magnates は、Bridge の準備金ダッシュボードが8月25日時点で流通量374トークン・準備金374ユーロを示していたと伝えている。一方で Revolut の Emil Urmanshin 氏(Head of Crypto and New Bets)は「EURR は8,000万人の Revolut 顧客を、直接オンチェーン金融につなぐ」と述べている。8,000万と374が、同じ発表の中に並んでいる。

この落差は、失敗の数字ではない。段階展開の初日に、三カ国の一部の顧客にだけ開いたものが、それ以上の数字になるはずがない。374が言っているのは「まだほとんど誰も持っていない」であり、その手前にあるのは「まだ持つ理由がほとんどない」という状態だ。

使う場所は、これから作られる側にある。Finance Magnates によれば、当初のネットワークは Ethereum と Polygon で、Solana・Arbitrum・Optimism・Avalanche・Injective・TON・Sui への拡大が予定されている。数字を見るなら、374そのものより、その数字がどのくらいの速さで動き始めるかのほうだ。

手元で確かめられること、まだ確かめられないこと

対象国に住んでいて実際に触れる立場にあるなら、先に見ておくと後で困らない点がいくつかある。

  • 戻すときの手順。Finance Magnates は、額面どおりの償還は手数料なしだが、本人確認と、有効な IBAN を持つ EEA の銀行口座が要り、ユーロが着くまで2営業日かかると伝えている。「すぐ現金に戻せる残高」とは別物として置いたほうがいい
  • 外部ウォレットに出すなら、ネットワーク手数料は別にかかる。そしてチェーンを取り違えた送金は、アプリの中の振替と違って取り消せない
  • 保護の範囲。預金保険の対象ではないという点は、金額が小さいうちほど意識に上りにくい

まだ確かめられないことも、同じだけある。対象国がいつ広がるか、どこで支払いに使えるようになるか、他の通貨建てがいつ出るか——Revolut は EURR を「最初の一歩」と位置づけ、他通貨のステーブルコインも進めているとしているが、時期は示されていない。

暮らしの側で今できるのは、見ておくところまでだ。ただ、見ておく対象ははっきりしている。374が動き出す日と、対象国のリストが伸びる日と、支払いに使えると書かれる日。この三つは、別々に来る。

毎日開くアプリの中に、預金と、預金ではない残高が並ぶ日が来たとして——あなたはその二つを、何を基準に使い分けるだろうか?

参照

あなたの暮らしで、最初に試せることは何でしょうか。