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Figure の Index は、家事を分単位で買っている——1,600 万本の映像が集まった場所

Figure が公開した Index は、個人が自宅で自分の用事を撮り、分単位で報酬を受け取る仕組みだった。すでに 1,600 万本の映像が集まり、支払総額は 1,500 万ドル。単価も映像の扱いも公開されていない中で、参加を考えるための材料を並べる。

Figure の Index は、家事を分単位で買っている——1,600 万本の映像が集まった場所のイメージ

この記事でわかること

  • Figure が公開した Index は、個人が自宅で自分の用事を記録し分単位で報酬を得る仕組みで、すでに 1,600 万本超の映像と 1,500 万ドルの支払実績がある
  • 同社は今後 12 か月でデータと計算資源に 10 億ドル超を投じるとしているが、参加者側の単価は公開されていない
  • 渡すのは時間ではなく生活空間の映像そのもので、権利や用途、取り下げの可否は発表文とアプリ紹介ページには書かれていない

ヒューマノイドロボットを作っている Figure が 8 月 25 日、Index という取り組みを公開した。出てきたのは新しい機体ではなく、データの集め方だ。同社によれば、これまで非公開で運用してきたアプリはすでに 26 万 4,000 回ダウンロードされ、100 か国以上で使われ、週あたりの利用者は 4 万 4,000 人を超える。そこに投稿された映像は 1,600 万本を超えた。撮っているのは、専門の作業者ではなく、自分の家で自分の用事を済ませている人たちだ。ロボットの学習材料がどこから来るのかという問いに、いま出ている答えのひとつがこれだ。

公開されたのは機体ではなく、集め方だった

発表によれば、Index に投稿される映像は 1 秒あたり 30 分ぶんのペースで処理されている。同社はこれを「1 日に 4.9 年ぶんの人の作業がアップロードされている」と表現する。集まったものは、フィルタ、不正の確認、重複の除去、偏りの調整、注釈づけという段階を通って、同社の Helix という学習系に流れる。

量だけの話ではない、というのが同社の主張だ。1,000 時間ぶんの収集につき、373 種類の作業、1,146 種類の扱われた物、116 種類の環境が含まれるという。ロボットを一般的な用途で動かすのに要るデータはインターネット上には存在せず、現実の側から、あらゆる環境の物理を広く拾ってくるしかない——それが Index の前提だと同社は書いている。

非公開のまま 4 か月かけて自社専用の処理の流れを作り、そのうえで今回アプリの名前を Index に変え、Google Play と App Store で公開した。

分単位で払う、という設計

個人がここに入る道筋は単純だ。アプリを入れて登録すると録画機器が届き、自分の用事を記録している間、分単位で報酬が支払われる。自分で作業を選んで撮ることも、アプリ経由で他人の用事を引き受けて撮ることもできる。

これまでに支払われた総額は 1,500 万ドルだと同社は書いている。そして今後 12 か月で、データと計算資源に 10 億ドル超を投じるとも書いている。集める側から見れば、この二つの数字の差が、これから何が起きるかの見積もりになる。

ただし、参加する側が知りたい数字は出ていない。公表されているのは総額 1,500 万ドルと映像 1,600 万本という二つだけで、単純に割れば 1 本あたり 1 ドル弱になる。しかし報酬は分単位なので、この割り算は時給ではない。実際の単価も、1 本あたりの想定の長さも、公開された範囲には見当たらない。撮り始めてみないと分からない、という状態に近い。

撮るのは、自分の家だ

ここが他の副収入と違うところだ。渡すのは時間ではなく、自分の生活空間の映像そのものになる。台所の配置、冷蔵庫の中、床に置いてあるもの、家族の動き。ロボットに必要なのは、まさにその雑多さのほうだ。整理された部屋よりも、片付いていない部屋のほうが学習材料として価値がある、という構造になっている。

今回の発表文にも、アプリの紹介ページにも、撮った映像の権利がどちらに帰属するのか、どこまでの用途に使われるのか、あとから取り下げられるのかについての説明は置かれていない。参加を考えるなら、アプリ内の規約でそこを自分で確かめるところが出発点になる。呼びかけの側は分かりやすく、条件の側はまだ読みにくい。

自分の暮らしを、教材として出すか

判断の材料を並べておく。

得られるのは、分単位の報酬と、自宅で完結する作業だ。要るのは、録画機器を受け取って設置する手間と、撮っている間ずっと生活空間が記録されているという状態への同意。向かないのは、同居している人の合意が取れない場合、賃貸や職場など自分の裁量で決められない空間、そして映っているものを後から取り消したい可能性がある場合だ。

もうひとつ、時間の軸がある。いま撮った映像は、数年後に動いているロボットの中に残る。報酬は今日払われて終わるが、映像のほうは終わらない。この非対称は、時給の高い低いとは別の話だ。

家事は長いあいだ、記録も報酬も発生しない仕事だった。それが記録され、値段がつき、機械の教材になる。同じ動作が、家庭内では無償で、データとしては有償になる。あなたは、自分の一日を教材として差し出すだろうか?

参照

あなたの暮らしで、最初に試せることは何でしょうか。