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Cybertruck が Powerwall 3 と同時に家を支える。買い足す機器はない

停電中に据置の蓄電池とクルマの両方から電気を引けるようになった。追加の機器は要らないが、要るものはその手前にある。

Cybertruck が Powerwall 3 と同時に家を支える。買い足す機器はないのイメージ

この記事でわかること

  • テスラが 9 月 10 日、Cybertruck の Powershare と Powerwall 3 の同時運転を開放した
  • Powerwall と対応する充電器がある家なら追加機器は不要で、ソフトウェア更新だけで使える
  • 3 日超という数字は容量の比較であって時間の記録ではなく、家に送れる電力は最大連続 11.5 kW

テスラが 9 月 10 日、Cybertruck の Powershare と Powerwall 3 を同時に動かせるようにした。停電のあいだ、家は据置の蓄電池とクルマの駆動用バッテリーの両方から電気を引けるようになる。

これまでは、どちらかを選ばされていた。Powerwall のある家では Powershare が使えず、クルマを持っていても家の非常用電源としては眠ったままだった。その制約が外れたことになる。

そしてこの更新で、家に置く機器は増えない。ただしそう言えるのは、必要なものをすでに買い終えている家に限られる。

二つ持っていて、片方しか使えなかった

テスラの Cybertruck 公式アカウントは 9 月 10 日、「Powerwall 3 と私はいま、一緒にあなたの家に電気を送れる。これで家庭のバックアップが 3 日以上延びる。Powerwall 9 台分に相当する」と投稿した。Cybertruck の開発責任者 Wes Morrill は、トラックと家庭用蓄電池のあいだでは初めての統合だと説明している。

この機能が最初に約束されたのは 2024 年 10 月で、当時の説明は「2025 年のいつか」だった。2025 年 12 月に 2026 年半ばへ延び、2026 年 8 月末の時点でも開発側から具体的な日付は出ていなかった。約束から出荷まで、およそ 2 年かかっている。

いま動くのは Powerwall 3 との組み合わせだけだ。Powerwall 2 と Powerwall+ への対応は年内と報じられているが、現時点では使えない。

追加の機器は要らない。要るものは、その手前にある

テスラ自身の設置マニュアルは、Powerwall のある家についてこう書いている。Powerwall 2、Powerwall+、Powerwall 3 のいずれかと、Gen 3 または Universal の Wall Connector があれば、追加の機器なしにソフトウェア更新だけで Powershare を使えるようにできる。そして Powerwall のある家に Powershare Gateway を設置してはならない、とも書かれている。停電時に家を系統から切り離す役割は、Powerwall 側がすでに持っているからだ。

ただしマニュアルが並べている三世代と、今回実際に同時運転が開いた世代は違う。報道が伝えているのは Powerwall 3 だけで、Powerwall 2 と Powerwall+ は年内対応の予定とされている。設置の要件を満たせることと、いま使えることは、別々に確かめたほうがいい。

費用は、この更新の手前にある。Powerwall のない家が Powershare を使う場合は Universal Wall Connector と Powershare Gateway の設置が必要で、Electrek は設置込みでおよそ 4,000 ドルと伝えつつ、3 万ドルを超える見積もりを受け取った所有者の例も挙げている。配電盤の状態や駐車位置で金額は動く。

買い足す機器はない、というのは、Cybertruck と Powerwall 3 と対応する充電器を、すでに三つとも持っている家の話だ。

3 日超という数字は、容量の話であって時間の話ではない

Cybertruck の蓄電容量は 123 kWh、Powerwall 3 は 1 台 13.5 kWh。割ると約 9.1 になる。テスラの言う Powerwall 9 台分は、この割り算のことだ。提示されているのは貯められる量の比較であって、実際に何時間もったかの記録ではない。

流せる量には別の上限がある。テスラの公式仕様では、Powershare が家に送れる電力は最大連続 11.5 kW、電流は 48 A。瞬間的には 0.5 秒だけ 90 A、負荷起動能力は 110 A LRA とされている。貯めておける量が 9 倍になっても、同時に動かせる機器の数がそのまま 9 倍になるわけではない。

何日もつかは、その家がその夜に何を動かすかで決まる。猛暑や厳冬で冷暖房を回し続ければ短くなる、と報道も付け加えている。3 日超は、条件の書かれていない数字として読むのが正確だ。

日本で V2H と呼ばれてきたものは、別の規格の上にある

クルマの電池を家で使う仕組みは、日本にも前からある。V2H という名前で、CHAdeMO 規格の充放電設備を介する形が長く使われてきた。

規模は違う。CHAdeMO 協議会の製品ページに載っている充放電システムの一例では、充電 6.0 kW、放電は充放電コネクタ端で 6.7 kW、自立運転時は AC 101V ないし 202V で 6 kVA の容量とされている。Powershare の 11.5 kW / 48 A は 120/240V の単相三線を前提にした数字で、電気が入る口も、家側の電圧も違う。

この組み合わせがそのまま日本の家で使えるかどうかは、本稿では確認できていない。Powershare の設置マニュアルは米国向けに書かれたもので、日本の V2H 機器との互換性についてテスラが公表した資料も確認できていない。日本に住んでいて今日できるのは、クルマを家の電源として数えるという発想を、自分の家の配線と駐車位置に当てはめて考えておくことくらいだ。

次に見るものは、年内と報じられた Powerwall 2 と Powerwall+ への対応が実際に出るかどうか。ここが開けば、対象になる家の数は一段増える。

ことば

  • Powershare — Cybertruck の駆動用バッテリーを家の電源側に回すテスラの機能。充電に使う Wall Connector を双方向に使い、停電中は家の回路へ電気を送り返す。
  • V2H — Vehicle to Home の略。クルマの電池を家で使う仕組み全般を指し、日本では CHAdeMO 規格の充放電設備を介する形が標準的に使われてきた。
  • LRA — 負荷起動能力を示す単位。エアコンや冷蔵庫のように、起動の瞬間だけ大きな電流を求める機器を動かせるかどうかの目安になる。

停電の夜に電気をどこから引くかという順番に、三つ目の選択肢が入ってきた。系統と、据置の蓄電池と、クルマ。あなたの家の駐車場にあるものは、移動の道具のままだろうか。それとも、いざというときに数えられる電源だろうか?

参照

あなたの暮らしで、最初に試せることは何でしょうか。