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DeepSeek が上位モデルを畳んだ。9月14日、宛先は V4.1-Flash へ移る

上位モデル V4-Pro が畳まれ、9月14日からその宛先は V4.1-Flash に移る。重みは MIT ライセンスで公開されたが、合計 510GB ある。使う側が確かめられることは何か。

DeepSeek が上位モデルを畳んだ。9月14日、宛先は V4.1-Flash へ移るのイメージ

この記事でわかること

  • 9月14日以降、deepseek-v4-pro を指定したリクエストは自動で V4.1-Flash に振り替えられ、Flash の料金で課金される
  • 試験成績は一様ではない。コードや端末操作では V4-Pro を上回るが、事実を正確に答える試験は 42.3 対 55.2 で下回る
  • 重みは MIT ライセンスで公開されたが 48 分割・合計 510GB。個人が実際に動かせるのは時間帯で、日本時間の平日10〜13時と15〜19時を外せば料金は半分になる

9月10日、DeepSeek が新しいモデル DeepSeek-V4.1-Flash を公開した。同じ告知のなかで示されたのは、上位モデルの V4-Pro を段階的に畳むという話だ。9月14日以降、deepseek-v4-pro を指定したリクエストはすべて V4.1-Flash に振り替えられ、Flash の料金で課金される。

上を買い足す方向ではなく、下が上の仕事を引き受ける方向に動いた。道具として AI を使う側から見ると、これは料金表だけの話ではない。自分が名前で指定した相手が、自分の手を離れたところで入れ替わるということだ。何を確かめておけばいいのかを見ていく。

「畳む」と言っても、消えるわけではない

まず範囲を絞りたい。公式ドキュメントが書いているのは、V4.1-Pro が出るまでの間、deepseek-v4-pro 宛のリクエストを V4.1-Flash に回す、という措置だ。上位の系列そのものを廃止するとは書いていない。旧世代の V4-Flash と V4-Flash-Vision-Exp については退役が明記されていて、こちらは旧名で呼んでも新しい Flash が応答する。発効は北京時間の9月14日12時。

今なくなるのは、いまの上位モデルを名指しで呼ぶという選択肢の方だ。

モデルの中身は、552B のパラメータを持つ混合専門家型(入力ごとに一部の専門家だけが働く構成)で、入力を読むときは 8B、出力を作るときは 16B だけが動く。画像もそのまま読めて、文脈は最大で 100 万トークンまで扱えるとされている。小さい側のモデルに上位版の仕事が回ってくるのは、この「動く部分だけ小さい」設計のためだ。

賢くなった、の中身は一様ではない

公式の告知は、複数の第三者による試験で V4.1-Flash が V4-Pro を性能・コスト・速度・総所要時間で上回った、と書いている。ただ、公開されているモデルカードの数字を並べると、すべてが上がったわけではないことが見える。

コードを書かせる HumanEval は 79.4 で、V4-Pro の 76.8 を上回る。端末を操作させる Terminal-Bench 2.1 も 90.6 対 87.9 で上だ。ソフトウェアの不具合を直させる DeepSWE では 74.2 対 62.7 と差が開く。

一方で、事実を正確に答えられるかを見る SimpleQA-Verified は 42.3 にとどまり、V4-Pro の 55.2 に届かない。大学院レベルの理科問題を解かせる GPQA Diamond も 90.9 対 92.4 でわずかに下だ。

手順を追う仕事は上がり、覚えている量を問う仕事は下がった。自分が投げているのがどちらなのかで、9月14日の振り替えの意味は変わる。

重みは MIT ライセンスで公開された。ただし 510GB ある

重みは Hugging Face で公開され、ライセンスは MIT だ。商用利用も改変も許す条件で、誰でも持ち出せる。

ただ、置いてあるファイルは 48 分割で合計 510GB ある。回線と外付けディスクがあれば個人でも受け取れる量ではあるが、受け取ったものを動かすのは別の話だ。働く部分が 8B や 16B で足りるのは計算量の話で、どの専門家が呼ばれるかは入力ごとに変わるから、重みは全部そろっている必要がある。開発元自身、大規模な導入の相談例として 2,000 基規模の GPU と保管クラスタを挙げている。個人の机の上の話ではない。

それでも公開されたことに意味はある。API の宛先は提供側の都合で書き換わるが、MIT で出た重みは書き換わらない。誰かが動かし続けられる状態が残る。個人が触るときは、自分の機械ではなく誰かが動かしている環境を通ることになる。

使う側が決められること

実際に個人が動かせるのは、時間帯だ。公式の料金表では、高い時間帯は協定世界時(UTC)の月曜から金曜の1時から4時と6時から10時で、それ以外はすべて半額になる。日本時間に直すと、平日の10時から13時と15時から19時が高い時間帯だ。勤務時間の真ん中が、ちょうど高い側に重なっている。

急がない仕事なら、これは効く。溜めた文書をまとめて要約させる、記録を整理させる、といった処理を夜か週末に回すだけで支払いは半分になる。逆に、会議の合間に投げる調べものは高い時間帯から動かせない。新しい料金は9月10日の協定世界時4時から発効している。

もうひとつは、何を確かめるかだ。9月14日の振り替えは自動で、名前を指定したままにしていれば黙って中身が変わる。出力の手応えが変わったと感じたとき、まず見るのは自分の設定がどのモデルに届いているかになる。そして、事実の想起を当てにしていた使い方は、この切り替えで静かに落ちうる。試験の数字がそう言っている。

安い方が賢かった、という話は、裏返せば何かを諦めた結果でもある。あなたが AI に頼んでいるのは、手順を追う仕事だろうか。それとも、覚えていることを聞く仕事だろうか?

参照

あなたの暮らしで、最初に試せることは何でしょうか。