2026年上半期のヒューマノイドロボットの世界出荷が約19,100台となり、前年同期の5,100台から3倍を超えた。調査会社Smart Analytics Globalの集計として、Bloombergが8月10日に報じた。同じ集計では、中国メーカーが出荷の97%超を占める。ただしこの伸びは「家にロボットが来る」話とまだ重なっていない。個人にとって先に決まりつつあるのは、いつ来るかではなく、どこで作られたものが来るか、のほうだ。
まず、数え方から確かめる
19,100台は調査会社の集計を報道が伝えた値で、公的統計でも一次集計の原本でもない。集計元の原資料は公式一次ソース未確認のため、ここでは複数報道と他機関の集計を突き合わせて扱う。台数の数え方は機関ごとに割れている。IDCは2025年通年の世界出荷を約18,000台とし、モルガン・スタンレーが5月に出した推計では13,000〜16,000台だった。同じ年を数えても、これだけ幅が出る。
確かなのは水準ではなく方向だ。半期の出荷が前年の3倍を超え、作り手が一国に極端に寄っている。この2つは、集計の差を超えて共通している。
出荷された先は、まだ家ではない
IDCによれば、2025年に出荷された約18,000台のうち、個人の家庭に入ったのは0.8%未満だった。行き先の大半は現場である。2025年に中国の国有企業が発注した2億9,500万ドル超は、発電所やデータセンター、あるいは実演の用途に向かったとFortuneは報じている。コーヒーチェーンやホテル向けに約1,000台を受注したMatrix Roboticsも、実際の納入は数百台にとどまった。
同じ記事で専門家が挙げるのは、いまのヒューマノイドが製造コストが高く、壊れやすく、構造化された環境に依存する、という制約だ。北京のフリーランスが試した1台は、靴を並べ、洗濯物をたたむことはできた。ただし本人の評価は「それほど効率的ではない」で、狭い部屋では取り回しに苦労したという。
出荷が3倍になったことと、家事が代わられることは、まだ別の話だ。
作り手が偏ると、個人には何が返ってくるか
UBTechが6月30日に発表した家庭向けのU1シリーズは、半身のLiteが11万9,800元(約1万7,613ドル)、全身のUltraが99万元(約14万5,550ドル)。発表時点の累計受注は13,000台超とされる。家庭向けが例外である現状でも、価格の目安はすでに提示されている。
作り手が特定の国に集中することは、個人の側では抽象論にならない。修理と交換部品がどこから届くか。ソフトウェア更新が何年続くか。音声や生活の段取りが、どの言語とどの暮らし方を前提に調整されているか。そして家の中で集めたデータがどこに置かれるか——導入後のデータの扱いは未解決だと、U1を報じたKrASIAも書いている。どれも買ったあとに効いてくる条件で、性能表には並ばない。
決めるのは、まだ先でいい
0.8%という数字は、判断を先送りにできる余地がまだ残っていることも意味している。急いで結論を出す理由はない。
そのあいだに見ておけるものはある。家庭向けの機種が、実演ではなく日常の作業でどう評価されるか。修理と部品供給の窓口が自分の住む国にあるか。データの保存先と削除の手段が契約に書かれているか。この3つは、出荷台数の伸びとは別に動く。
数年後に居間へ人型のものを置く日が来るとして、あなたはその機械に、家の中の何を見せていいと思うだろうか?
参照
- 2026年上半期の世界出荷 約19,100台・前年同期5,100台・中国メーカー97%超(Smart Analytics Global 集計)— Bloomberg(2026年8月10日)
- UBTech UWorld U1 の価格と累計受注、IDC 集計「2025年に家庭へ入ったのは0.8%未満」、導入後のデータ扱いの未解決点 — KrASIA(2026年7月7日)
- 出荷先の実態(国有企業の発注2億9,500万ドル超・Matrix Robotics の納入実績・実運用上の制約)— Fortune(2026年6月6日)
- 2025年の世界出荷13,000〜16,000台と機関ごとの集計の幅 — TMTPOST(モルガン・スタンレー 2026年5月レポート)