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電力会社が容量を借りる家庭用蓄電池、Austin で695ドル

オースティンで 40kWh の家庭用蓄電池が 695 ドルに。安さの理由は、電池の容量の一部を市営電力会社が借りる市の契約にある。家に残るものと預けるものを整理した。

電力会社が容量を借りる家庭用蓄電池、Austin で695ドルのイメージ

この記事でわかること

  • Base Power が Austin Energy 利用者向けに 40kWh 蓄電池を設置費 695 ドル・月 19 ドルで提供
  • 市議会承認の契約で Austin Energy が最大 40MW を借り、充放電の時期を決める
  • 電気代は下がらず、ピーク放電後の停電で残る量は公表資料に書かれていない

米テキサス州の蓄電池会社 Base Power は 7 月 15 日、オースティン市の市営電力会社 Austin Energy の利用者向けに、容量 40kWh (キロワット時・ためておける電気の量) の家庭用蓄電池を設置費 695 ドル・月額 19 ドルで置くサービスを始めた。値段を下げているのは、電池の容量の一部を Austin Energy が借り、その分の対価を Base Power に払う市の契約だ。

停電への備えを、自分で電池を買うのではなく、電力会社と一台の電池を分け合う形で手に入れる仕組みになる。9 月 25 日には、実際に設置した利用者が、嵐で停電しても家が止まらなくなったと X で報告している。安く手に入る分、家の側が手放しているものもある。

695 ドルを支える市の契約

オースティン市議会は 4 月 23 日、Base Power との蓄電池契約を承認した。議案によると、Austin Energy が借りる容量は最大 40MW、支払いは年最大 408 万ドルで、期間は最長 10 年、総額は最大 4,080 万ドルになる。上限額どおりなら、1kW あたり年におよそ 102 ドルを払う計算だ。

電池は 1 か所にまとめて置くのではなく、Base Power が市内の住宅に 1 台ずつ設置していく。40MW に達するまで 18 か月かけて台数を増やす計画で、全体としては満充電から約 1 時間半、40MW を出し続けられる。議案は、借りた分の電池について、いつ充電しいつ放電するかを Austin Energy が決められると定めている。Austin Energy の 5 月 19 日の発表では、使うのは需要のピークや電力価格が荒れる時間帯だ。

利用者との契約は Base Power が結び、Austin Energy は当事者にならない。議案は、設置した家の電気の使い方や Austin Energy からの請求は何も変わらないとしている。

家に残るもの、電力会社に預けるもの

利用者が得るのは停電時の家まるごとのバックアップだ。Base Power は最大 36 時間としている。市の議案は、電池を 1 台にするか 2 台にするか、家でどれだけ電気を使うかによって、1 時間から 48 時間まで幅があると書く。太陽光パネルは要らないが、あれば組み合わせられる。

一方で、手放すものもある。

  • 電池の使い道の一部 — 予約された分の充放電は Austin Energy が決める。ピークに放電した直後に停電が来たとき、家にどれだけ残っているかは、公表資料からは読み取れない
  • 電気代の節約 — 請求が変わらないということは、安くもならない。設置した利用者も、電気代は下がっていないと書いている
  • 長く払う費用 — 月 19 ドルを 10 年払えば 2,280 ドルになり、設置費と合わせて約 3,000 ドル。利用者の報告では、途中でやめると撤去に 500 ドルかかる

対象は Austin Energy の利用者に限られ、受付の枠にも限りがあると Base Power は書いている。設置した利用者は、2021 年の冬の大停電を覚えていて、数千ドルかかるガス発電機と比べたうえでこちらを選んだと書いている。

自分の家に置き換えると

家庭用蓄電池の手に入れ方は、これまで「買う」か「借りる」かで考えられてきた。オースティンの仕組みは、そこに「電力会社と分け合う」を加える。どれを選ぶかを考えるときに比べたいのは、値段だけではない。

  • 充電と放電を決めるのは誰か、自分の取り分はいつも何割残るのか
  • 停電が来たとき、何時間もつのか。その数字は電池が満タンのときの話か
  • 契約は何年で、途中でやめたら何がかかるのか
  • 電気代は下がるのか、変わらないのか

日本で同じ形の契約が使えるかは、この記事では確かめていない。ただ、この 4 つの問いはどの契約にも当てはまる。

次に見るもの

確認先は、Base Power の Austin Energy 向け申込ページ (basepowercompany.com/austinenergy) だ。受付枠が埋まるか、条件が変わるかで、この値段がどこまで続くかが見える。もう一つは来年 6〜8 月の需要ピークで、Austin Energy が借りた電池をどれだけ放電させたかの報告が出るかどうか。家の備えと電力会社の使い道が、実際にどう折り合ったかが分かる。

ことば

  • 容量契約 — 発電所や蓄電池の電気そのものではなく、「必要なときに出せる力」を先に押さえて対価を払う契約。オースティンの議案では、1kW あたり月いくらという固定の単価で、Base Power の電池の一部を Austin Energy が押さえる。
  • 仮想発電所 — 家庭や店に散らばった蓄電池や太陽光を束ね、一つの発電所のように動かす仕組み。1 台ずつは小さくても、数千台そろえば需要のピークを削れるため、電力会社が発電所を建てる代わりに使い始めている。

停電への備えを電力会社と分け合うとしたら、あなたは電池の何割までなら預けられるだろうか?

参照

あなたの暮らしで、最初に試せることは何でしょうか。