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Flock の車両カメラ、流出したソフトに人の検知

道路から外された Flock のカメラから、車とナンバープレートだけでなく人と自転車を検知する機能が見つかった。復元ログは21日で約160万枚。顔認識とは別の段階の話だが、説明より記録の対象は広い。

Flock の車両カメラ、流出したソフトに人の検知のイメージ

この記事でわかること

  • 道路から取り外された Flock のカメラのソフトウェアに、車両・ナンバープレートに加えて人と自転車の検知機能が入っていた
  • 顔認識による個人の特定とは別の段階の話だが、車に焦点を合わせるという同社の説明よりは記録の対象が広い
  • 復元できたログは約21日分で、約50,200台・約160万枚。Flock は技術的な主張を評価できる情報はないとしている

stegan0gram と名乗る集団が道路上の Flock Safety 製カメラを物理的に取り外し、内部に保存されていたデータをほぼそのまま複製した。9 月 16 日に 404 Media が伝えたところでは、取り出されたソフトウェアには車両とナンバープレートに加えて、人と自転車を検知する機能が入っていた。

Flock は自社サイトで、カメラは車両に焦点を合わせており人ではない、と説明してきた会社だ。自分が歩いている道に立っている機械が何を数えているのか、それを外から確かめる材料が今回はじめて出てきた。

人を検知することと、個人を特定することの差

まず語の範囲を絞りたい。報じられているのは、カメラのソフトウェアが人を検知の対象として持っていたという事実で、顔を照合して誰かを特定していたという話ではない。Flock は自社サイトで、カメラは顔認識を使わず、人を探したり顔を走査したり個人を追跡する設計ではないと書いている。この 2 つは同時に成り立ちうる。

それでも差は残る。車に焦点を合わせていると説明されてきた機械が、通行人や自転車を検知の単位として扱っていたなら、記録の対象は説明よりも広い。IBTimes UK の分析では、復元された映像 11 本で人の検知が確認され、いずれもバイクに乗った人だった。同じソフトは、バイクのサドルバッグに付いた星条旗のワッペンをナンバープレートと取り違えて切り出してもいた。

検知は特定ではない。ただ、検知されないものは記録にも残らない。

1台のカメラが、21日で160万枚

規模のほうは数字が教えてくれる。復元できたログはおよそ 21 日分で、そのあいだにこのカメラは約 50,200 台の車を撮影し、画像を約 160 万枚生成していた。1 日あたり約 3,300 台、多い日は 4,454 台。1 台の車につき平均 28 枚ほどで、100 枚を超える車もあった。道路脇の 1 台が、この密度で記録を作っている。

Flock の FAQ には、機器のデータは 7 日で削除されると書かれている。今回復元されたログは約 21 日分にわたる。この差が何を指すのか、つまり削除の対象がどの範囲を含むのかは、公開されている説明からは読み取れない。同社は顧客数を 12,000 としており、内訳には自治体や地域、企業が含まれる。

会社の説明と、取り出されたソフトのあいだ

Flock は、カメラを無断で取り外して改変する行為は違法だと述べている。同社はセキュリティを重視しており脆弱性の開示窓口を用意しているが、そこへの報告は受け取っておらず、技術的な主張を評価できるだけの情報はない、というのが現時点の説明だ。クラウド側に侵入されたわけではないとも言っている。

はっきりしているのは一点だけだ。機器を物理的に持ち去って中身を複製すると、端末に保存されていた暗号鍵ごと読めた。機器の上で暗号化しているという説明は、鍵がその機器の中にある限り、持ち去られる場面までは守らない。

自分の移動を、どこまで数えさせるか

確かめられる先ははっきりしている。Flock Safety の FAQ には保存期間 7 日と顧客数 12,000 が書かれていて、カメラが何を捉えるかを説明したページも公開されている。今回の件のあとでこれらの文面が書き換わるかどうかは、外から見て分かる。技術的な主張を評価できないとしていた同社が、脆弱性開示の窓口を通じた検証結果を出すかどうかも同じだ。続報が最初に出るのは、おそらく 404 Media になる。

そのうえで、手前の話がある。今回のカメラは米国の道路にあったものだが、通る車を選ばず記録する機械そのものは、もう珍しい装置ではない。撮られない側に回る手立ては、歩く人や自転車に乗る人の側にはほとんど残っていない。できるのは、どこに何が置かれ、何がどれだけの期間残るのかを知っておくことくらいだ。

ことば

  • ナンバープレート自動読み取り (ALPR) — 道路に置いたカメラで通過する車のプレートを撮影し、文字を機械が読んで記録に残す仕組み。人が見張るのではなく通った車を全部拾うところが、従来の防犯カメラと違う。
  • 物体検知 — 映像の中から、車か人か自転車かといった種類を機械が判別する処理。誰かを特定する顔認識とは別の段階にあり、特定しなくても何がいつ通ったかは残せる。
  • 端末側の暗号化 — データを送り出す前に機器の中で暗号化しておく方式。鍵の置き場所が同じ機器の中にある場合、その機器ごと持ち去られると守りが働かなくなる。

車のナンバーは記録されてもいい、歩いている自分は数えられたくない。多くの人が漠然と持っているこの線引きは、機械の設計のほうには書かれていない。ではその線は、どこに、誰の手で引かれるべきだろうか?

参照

あなたの暮らしで、最初に試せることは何でしょうか。