Waymo が 9 月 14 日、2027 年に東京で一般利用者向けの自動運転タクシーを始めると発表した。日本交通が現場の運行を担い、配車は GO のアプリから、従来のタクシーと並べて呼べるようになるという。ただし発表文は、国と自治体の許可を得ることが前提だと明記している。
無人のタクシーが自分の街を走るかどうかは、技術が完成したかどうかだけでは決まらない。誰の許可が要るのか、その許可は何を条件にしているのか。決まっている部分と、まだ決まっていない部分を分けておきたい。
決まっていること
車両は主要な地域から始め、順次およそ 100 台まで広げる計画だ。Waymo は 2025 年に東京へ入っており、この 1 年は日本交通の訓練を受けたクルーが同乗して監督する形で、自律走行しながら街路を学んできた。
GO の中島宏社長は、利用者が従来のタクシーと Waymo の自動運転の車を GO アプリから同じように呼べるようになると述べている。呼ぶ側の手順としては、アプリの中に選択肢が一つ増える、という形に近い。
逆に、発表文が書いていないこともある。対象エリアがどの区のどこまでなのか。開始時にクルーが車内に残るのか、残らないのか。料金がどうなるのか。いずれも現時点では示されていない。
「運転者がいない」ことに、誰が許可を出すのか
日本では、運転者がいない状態の自動運転は道路交通法上の特定自動運行にあたり、許可制になっている。警察庁の資料によれば、行おうとする者は都道府県公安委員会の許可を受けなければならない。東京で走らせるなら、東京都公安委員会が出す許可だ。
この制度には二つ、暮らしの側から見て効く点がある。一つは、公安委員会が許可をしようとするときに市町村の長等の意見を聴かなければならないとされていること。自分の住む自治体が、意見を出す立場に置かれている。
もう一つは、許可を受けた者に遠隔監視のための体制を整えることなどの遵守事項が課され、交通事故があった場合の措置も定められている点だ。車内に人がいないことと、誰も見ていないことは同じではない。監視は遠隔に移る。
車両側にも別の手続きがある。自動運行装置が走行環境条件の範囲内で運転操作を担うものとして、道路運送車両法にもとづく認可を受ける必要がある。つまり車の認可と、運行の許可は別に取る。
安全の根拠は、いまのところ米国の道にある
Waymo の共同 CEO テケドラ・マワカナ氏は発表文で、週に 50 万回を超える乗車を提供し、人間のドライバーより 15 倍以上安全だと示されていると述べている。
同社が公開している集計の形は少し違う。2026 年 3 月までの運転者なし走行は 2 億 2,060 万マイルで、ロサンゼルス、サンフランシスコ湾岸、フェニックス、オースティン、アトランタの 5 都市が対象だ。そこでの比較は、重傷以上の衝突が人間の基準より 94% 少ない(100 万マイルあたり 0.01 件対 0.23 件)、負傷を伴う衝突が 82% 少ない、歩行者が負傷した衝突が 93% 少ない、という形で示されている。
どちらの数字を見るとしても、走ったのは米国の 5 都市だ。狭い路地、路上駐車、自転車の流れ、雨と雪の出方は都市ごとに違う。東京での実績は、この 1 年のクルー同乗の走行までで、一般利用者を乗せた運行のデータはまだ存在しない。許可の審査が意味を持つのはここだ。
次に見るもの
追う先は三つある。東京都公安委員会への特定自動運行の許可申請と、その際に意見を聴かれる自治体がどこになるか。対象エリアの具体的な公表。そして開始時に日本交通のクルーが車内に残るのかどうか。
2027 年という年号だけが先に出て、条件が後から埋まっていく順番になっている。乗るか乗らないかを決める材料は、いまはまだ出そろっていない。
ことば
- 特定自動運行 — 運転者がいない状態で行う自動運転を指す道路交通法上の区分。都道府県公安委員会の許可が必要で、遠隔監視の体制や事故時の措置が遵守事項として課される。
- 走行環境条件 — 自動運行装置が運転を担える範囲として認可時に定められる条件。天候、道路、速度などが含まれ、この外に出たときは自動運転として扱われない。
- 運転者なし走行(rider-only)— 安全監視員が乗らない状態での走行。Waymo の安全集計はこの距離を母数にしており、監視員が同乗した試験走行とは区別されている。
自分の街を無人のタクシーが走ることについて、あなたは誰の判断をいちばん知りたいだろうか?