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FAO の食料価格指数が2022年以来の高さ——ただし 133.3 は、あなたの買い物かごの数字ではない

FAO が公表した8月の食料価格指数は 133.3 ポイントで、2022年後半以来の高さになった。ただしこの指数が測っているのは国際的な取引価格で、店頭価格ではない。何がどれだけ上がったのかと、家計の側で動かせるものを切り分ける。

FAO の食料価格指数が2022年以来の高さ——ただし 133.3 は、あなたの買い物かごの数字ではないのイメージ

この記事でわかること

  • 8月の FAO 食料価格指数は 133.3 ポイント。改定された7月から 1.9% 高いが、2022年3月のピークからはまだ 16.8% 下にある
  • 上げを引いたのは砂糖の 11.9% 高。気候・地政学・物流という種類の違う要因が同時に効いていて、どれか一つが解けても元には戻りにくい
  • 世界の穀物在庫率は 31.6% で、量が足りない局面ではない。家庭菜園・備蓄・調達先の分散はそれぞれ効く範囲と要るコストが違う

FAO が9月4日に公表した8月の食料価格指数は 133.3 ポイントで、2022年後半以来の高さになった。ただ、この数字がそのまま食費の予告になるわけではない。上がったのは何で、そのうちどこからが自分の食卓に関係する話なのか。外に預けている部分を測り直す材料として読みたい。

この指数が測っているもの、測っていないもの

先に語の範囲を絞りたい。FAO の食料価格指数は、穀物・植物油・乳製品・食肉・砂糖という5つの品目群について、国際的に取引される価格を指数にしたものだ。日本のスーパーの棚に付いている値札ではない。あいだには為替、輸送、加工、卸、小売が入る。

数字そのものも見ておく。133.3 ポイントは、改定された7月の 130.8 から 1.9% 高い。前年同月比では 2.5% 高い。一方で、2022年3月に付けたピークからは 16.8% 下にある。高いのは事実だが、最高値ではない。

上がったのは、店頭の手前だ。

上がった理由が、一種類ではない

内訳を見ると、上げを引いたのは砂糖だった。106.4 ポイントで前月比 11.9% 高い。次いで乳製品が 119.2 で 2.3% 高、穀物が 116.3 で 2.2% 高、食肉が 127.9 で 1.0% 高、植物油が 196.9 で 0.6% 高。全品目群が上がっている。

理由は品目ごとに違う。砂糖は EU の高温と乾燥でてん菜の収量見通しが下方修正されたことが効いた。アジアの産地にはエルニーニョの影響がある。穀物のほうは主要産地の天候に加えて、黒海の輸出フローをめぐる不確実性が続いていると FAO は書く。FAO のチーフエコノミストは、気候ショックと地政学的な緊張、そして混乱した物流が重なって供給見通しを引き締めている、と述べている。

ここが今回の読みにくさだと思う。原因が一つなら、それが解ければ値も戻ると考えられる。不作なら翌年の収穫まで、輸送の目詰まりなら航路が戻るまで、と期限を引ける。今回は種類の違う要因が同時に効いている。

どれか一つが解けても、全部は戻らない。

それでも、量が足りないという話ではない

同じ日に出た穀物需給の見通しも合わせて読みたい。2026年の世界の穀物生産は 29億8,000万トンで、前回から340万トン下方修正された。前年比では 2.0% 減。ただしこれでも、史上2番目に大きい収穫だ。

在庫のほうも極端ではない。2026/27 年度の期末在庫は 9億4,720万トン、在庫率は 31.6% と見込まれている。貿易量は 5億930万トンで、2025/26 年度の記録的な水準は下回る。

黒海についても、FAO はロシアとウクライナからの輸出は引き続き相当量になると見ている。不確実なのは量そのものより、輸送条件と物流リスク、そして代替ルートの容量に制約があることだ。だから輸入国は調達先を分散させ、他の産地からの出荷が増えている。

品切れの話ではなく、値段と、先が読みにくいことの話だ。

家計の側で、動かせるものと動かせないもの

日本の食料自給率は、令和7年度でカロリーベース 37%、生産額ベース 66% だった。カロリーベースは前年度から1ポイント下がり、生産額ベースは2ポイント上がっている。

この2つの数字が離れていることが、そのまま手当ての難しさを表している。金額で見れば3分の2は国内で作られている。熱量で見れば、3分の1強しか国内で賄えていない。同じ食卓でも、何を単位に見るかで外に預けている割合が変わる。だから「輸入を減らす」ではなく「自分の食卓のどの品目が外側にあるか」を見るほうが、たぶん実際的だ。

そのうえで、よく挙がる手当てにはそれぞれ効く範囲と、要るものがある。

家庭菜園は、熱量で効かせようとすると芋類や穀類になる。葉物を作るのは楽しいが、熱量の分母にはほとんど効かない。土地と時間が要る。そして同じ気候の下にあるので、天候が原因の値上がりに対しては分散にならない。

備蓄は、数か月単位の価格変動には効く。効かないのは、保存できる期間より長く続く上昇のほうだ。置き場所と、期限を切らさずに回していく手間が要る。何をどれだけ保存できるかは品目ごとに条件が違うので、そこは個別に確かめるしかない。

産直などで調達先を分けるのは、中間の工程が減る分だけ効くことがある。ただし少量だと送料が効いて、必ずしも安くはならない。ある程度の数量と頻度、そして受け取る側の段取りが要る。

そして、分かっていないことも書いておきたい。国際的な取引価格が日本の店頭にどう伝わるかは、品目や為替、契約の残り期間で変わる。FAO の資料はそこまでは言っていない。今日の 133.3 から食費の上がり幅を逆算することはできない。

見ておきたいのは3つある。砂糖の 11.9% が一過性だったのか、次の月次でどう動くか。穀物の在庫率 31.6% が下がる方向に向かうのか。そして黒海の輸出が、量ではなく条件の面で落ち着くのか。

指数はまだ、店頭の手前で動いている。動いてから考えるのでも遅くはない品目と、先に決めておかないと選べなくなる品目がある。あなたの食卓のうち、値段が外で決まっている部分はどれくらいで、そこに手を入れる価値はあるだろうか?

参照

あなたの暮らしで、最初に試せることは何でしょうか。