置き場所から考える、という順番
ポータブル電源を選ぶとき、多くの人はまず容量を見る。何を、どれくらい動かせるのか。その比較は分かりやすいし、実際に大事だ。
ただ、いざ家に迎え入れると、もう一つの制約が立ち上がる。どこに置くのか、という問題だ。置き場所が決まらない道具は、結局クローゼットの奥にしまわれる。しまわれた電源は、停電の夜に取り出されない。
厚さ67mmという設計の意味
Jackery が発表した新しいポータブル電源「Slim Power H1」は、厚さ67mmのスリムなボディを採用している。同社はこの薄さを、冷蔵庫の横や家具の隙間といったデッドスペースに収めるという文脈で説明している。
つまり、この製品が競っているのは「より多く貯められるか」ではなく、「すでに家の中にある使われていない隙間に、収まるかどうか」だ。設計の軸が、性能から設置性へ半歩ずれている。
「スペースパフォーマンス」という見方
同社はこの発想を「スペースパフォーマンス」と呼ぶ。家に置くものには、性能だけでなく、占有する空間に対する納得感が求められる時代だ、という見方だ。
住まいの面積が限られているほど、この観点は効いてくる。棚一段、家具の脇の数センチ。その積み重ねが、何を家に置けるかを決めている。防災用品が「買ったのに使われない」状態になりがちなのは、多くの場合、性能の問題ではなく置き場所の問題だ。
備えは、置けたぶんだけ機能する
備蓄や防災の道具は、持っていることではなく、取り出せることで初めて機能する。冷蔵庫の横に立てておける電源と、押し入れの奥にしまった電源とでは、同じ容量でも実際の働きが違う。
薄さは、スペックの一項目である以上に、生活動線の中に道具を居させるための条件なのかもしれない。
あなたの家のデッドスペースは、どこにあるだろうか?