本文へ移動
LIFEMAKERS.COM — 自立型ライフの実践知カタログベータ版
Signal観測テクノロジーと道具FUTURE LIFE BRIEF

Unitree の 64 タスク人型モデル、本体の重みは未公開

一つの重みで卓上作業と全身作業あわせて64タスクを扱うという人型ロボットの基盤モデルが、Apache 2.0 で公開されると発表された。ただし本体にあたる重みと追加学習のコードは、公開計画上まだ近日公開のままだ。

Unitree の 64 タスク人型モデル、本体の重みは未公開のイメージ

この記事でわかること

  • Unitree が人型ロボット向け汎用基盤モデル UnifoLM-WLA-1.0 を Apache 2.0 で公開すると発表した
  • 約60億パラメータ、実機から集めた約2,500時間のデータで学習し、卓上と全身あわせて64タスクを一つの重みで扱うとしている
  • 実際に置かれているのは土台の40億パラメータ級モデル二つで、本体の重みと追加学習のコードは公開計画上まだ近日公開のまま

Unitree が、人型ロボット向けの汎用基盤モデル UnifoLM-WLA-1.0 を公開したと発表した。約60億のパラメータを持ち、実機から集めた約2,500時間のデータで学習して、卓上での操作と全身を使う作業をあわせた64のタスクを一つの重みでこなすという。利用条件は Apache 2.0 で、商用利用も改変も再配布も認められる。

公開の中身は一様ではない。プロジェクトの公開計画を読むと、本体にあたる WLA-Base の重みと、追加学習のコードは近日公開とされたままだ。いま実際に置かれているのは、その土台になる二つのモデルになる。

公開すると宣言することと、他人がそれを手元で動かせることの間には距離がある。その距離がどれくらいなのかを見ていく。

一つの重みで 64 タスクという主張

モデルの構成は公表されている。多様な感覚情報を扱う土台として UnifoLM-ER-Flow を置き、その上に MMDiT と呼ばれる方式の動作生成部を載せる。視覚と言語の理解から、そのままロボットの動作までをつなぐ設計で、この型のモデルは vision-language-action、略して VLA と呼ばれる。

学習に使われたのは、実機から集めた約2,500時間のデータと、500万件を超える身体を伴う推論のサンプルだとされる。対応するハンドは二本指のグリッパーと、複数種類の五本指ハンド。卓上での操作と全身を使う作業の双方を、作業ごとにモデルを差し替えることなく扱えるという。

数を並べると強く見えるが、64 が指しているのは学習と評価に使った作業の種類であって、できることの上限ではない。主張の中心は数ではなく、それらを一つの重みで扱うという点にある。

公開の宣言と、ダウンロードできる日の間

公開計画には、済んだものとこれからのものが並んでいる。

降りているのは UnifoLM-ER-1 と UnifoLM-ER-Flow で、いずれも40億パラメータ規模。感覚と理解を担う部分にあたる。データセットのうち UniBot-V1 のチャレンジ用も置かれている。

降りていないのは、UnifoLM-WLA-Base の重みと、追加学習のコードだ。64タスクを一つの重みで、という主張の当のモデルが、まだ第三者の手元で確かめられる状態にない。

ここは語を選びたい。公開すると宣言したこと自体は事実で、Apache 2.0 という条件も明示されている。ただ、宣言が出た日と、他人が同じ結果を再現できるようになる日は別の日付になる。ロボットの基盤モデルは発表が増えている領域だが、外から確かめられるかどうかは、重みが実際に置かれてから初めて決まる。

降りてきたとして、動かす先はどこにあるか

仮に全部が置かれたとして、個人の側に何ができるか。三つ、越えるものがある。

一つは、実行する体だ。このモデルは Unitree の人型機体で集めたデータから学習していて、対応するハンドも同社の構成にひもづく。人型ロボットを持っていない人にとっては、動かす対象がないままモデルだけを持つことになる。

二つ目は、計算機だ。60億パラメータは、いまの生成モデルとしては大きいほうではない。個人向けのグラフィックカードに載る規模ではある。ただ、載せて動くことと、ロボットの制御周期に間に合う速さで判断を返すことは別で、実機の上でどれだけの応答速度が出るかは公開されている情報から読み取れない。

三つ目は、安全だ。全身を使う動作は、卓上での操作より失敗の代償が大きい。追加学習のコードが降りてきたとき、自分のデータで学習し直したモデルを実機で走らせるかどうかの判断は、使う側に戻ってくる。

それでも、Apache 2.0 で出すという宣言には意味がある。ロボットの基盤モデルの多くは、企業の内側でしか触れない。条件つきでも外へ出る前例が増えれば、動かす体を持たない人でも、中身を読んで検証する側には回れる。

次に見るもの

見る先は一点に絞れる。UnifoLM-WLA-Base の重みと追加学習のコードが、公開計画の近日公開から実際のファイルに変わるかどうかだ。置かれた日から、64タスクという主張は検証できる主張に変わる。それまでは、公表された数字を読むしかない。

ことば

  • 基盤モデル — 作業ごとに作り直すのではなく、大量のデータで一度学習して多くの作業に使い回すモデル。ロボットの分野では、機体と作業の組み合わせごとに制御を書いてきた手間を減らす狙いで開発が進んでいる。
  • VLA(vision-language-action) — カメラの映像と言葉の指示を受け取り、関節をどう動かすかまでを一つのモデルの中で出力する型。認識と計画と制御を別々の部品に分けてきた従来の作りとの違いがここにある。
  • Apache 2.0 — 商用利用も改変も再配布も認めるソフトウェアの利用条件。条件が示されていることと、対象のファイルが実際に置かれていることは別に確かめる必要がある。

重みが置かれた日に、あなたはそれを動かす側に回るだろうか。それとも、中身を読んで確かめる側に回るだろうか?

参照

あなたの暮らしで、最初に試せることは何でしょうか。