宇宙が、遠くの夢から「自分の暮らしの隣」へ近づいています。SpaceXは同じ週に、ロケットの35回目の再利用着陸と、史上最大規模とされる新規上場を並べました。宇宙へ行くコストが下がり、その会社の株を個人が持てる入口まで開こうとしています。私たちは、これにどう関わるでしょうか。
35回飛んだロケット——宇宙が「安く繰り返せる」場所に
6月8日、SpaceXのファルコン9の1段目(ブースターB1067)が、史上初めて35回目の打ち上げと着陸を成功させました。大西洋上の無人船に降りたこの機体は、有人ミッションやISS補給も担った「ベテラン」です。軌道級ロケットでこの回数は前例がなく、スペースシャトルの39回に迫ります。ロケットを「使い捨て」から「繰り返し使う」ものへ変えたことが、宇宙を安く、日常のインフラに近づけています。Starlinkの通信が広がるのも、この再利用が支えています。
史上最大のIPOと、異例の「個人枠30%」
そのSpaceXが、6月12日にナスダックへ上場すると報じられています。1株135ドル、調達額は約750億ドル、評価額は約1.77兆ドルとされ、実現すれば史上最大の新規上場です。注目は、新規株式の最大30%を個人投資家に割り当てる方向だと伝えられている点です。通常5〜10%とされる個人枠を大きく超え、6月11日には約1,500人の個人投資家向けイベントも予定されています。機関や富裕層に限られていた宇宙企業への出資が、一般にも開かれようとしています。
ただし「夢」と「値段」は分けて見る
一方で、価格には慎重な見方もあります。モーニングスターの試算では妥当な評価は約7,800億ドルで、直近の民間評価1.5兆ドルより5割近く低く、今回の上場が個人にとって最良の入口とは限らないと指摘します。SpaceXは2025年通期で約49億ドルの最終赤字(多くはStarship開発費)でしたが、Starlinkは1,030万契約で通信事業は黒字です。夢の大きさと、いま払う値段は、分けて見たほうがよさそうです。
宇宙が「使うもの」から「持てるもの」になる時代。あなたは宇宙インフラに、夢として乗りますか、それとも値段を見極めてから動きますか。
次に見るもの
・6月12日の上場初値と、6月11日の個人投資家イベントの反応 ・「個人枠30%」が実際にどこまで開かれるか ・Starshipの開発費と、Starlink黒字のバランス
一次ソース:
- Space.com: ファルコン9ブースターが35回目の打ち上げ・着陸で再利用記録を更新 https://www.space.com/space-exploration/launches-spacecraft/spacex-starlink-10-35-b1067-ccsfs-asog
- CNBC: SpaceXの評価額、モーニングスターはIPO目標を大きく下回ると分析(6/3) https://www.cnbc.com/2026/06/03/morningstar-spacex-ipo-target-price-nasdaq.html
- CNBC: SpaceXの史上最大IPO計画(赤字とマスク氏の保有比率) https://www.cnbc.com/2026/05/20/spacex-ipo-live-updates.html
※本稿はLifeMakersComの視点から宇宙開発と個人の関わりを整理したもので、投資助言や特定銘柄の購入推奨ではありません。