AIが「あなたの代わりにお金を動かす」時代が、具体的な形で始まりました。MetaMaskは6月8日、AIエージェント専用の自己管理型ウォレット「Agent Wallet」の早期アクセスを開始しました。あなたが決めたルールの範囲で、AIがスワップや予測市場などのDeFi取引を自分で実行できる仕組みです。便利さの裏で問われるのは、「どこまでAIに任せ、どこで人が止めるか」です。
AIに「財布」を持たせる——Agent Walletとは
Agent Walletは、AIエージェントのための自己管理型(セルフカストディ)ウォレットです。AIが、EVM系のチェーンやHyperliquid上で、スワップ・パープ(無期限先物)・予測市場・流動性提供などを、利用者の定めたルールの中で自分で実行できます。6月8日に約200人のトレーダーと開発者へ、コマンドライン経由の早期アクセスとして公開され、本格提供はこの夏とされています。MetaMaskが10年かけて鍛えてきたセキュリティ基盤の上で動くのが特徴です。
「任せる」と「止める」を設計する
鍵は、委ねる範囲を細かく決められることです。すべての取引は実行前に、取引シミュレーション、Blockaidによる脅威スキャン、MEV対策を通り、安全と判断された取引は最大1万ドルまで損失が補償されます。動作モードも二つあります。「Guard Mode」は支出上限や、許可するプロトコルの限定、明示的な承認を求める慎重なモードです。「Beast Mode」は承認の手間を減らしつつ、危険な取引は人間の確認に回します。「全部おまかせ」でも「全部手動」でもなく、その中間を自分で設計する発想です。
なぜ私たちの暮らしに関わるのか
これは一部のトレーダーだけの話ではありません。AIが予定を組み、買い物をし、お金を動かす——その入口が、はっきり見えてきたということです。便利になるほど、「どこまで任せ、どこで自分が決めるか」という線引きが、生活の実務になります。止める権限と確認の習慣を、誰がどう設計するか。それが、AIに財布を渡す時代の中心的な問いになります。
あなたは、自分のお金を動かすAIに、どこまでの権限を渡しますか。
次に見るもの
・この夏の本格提供で、一般の人がどこまで使えるようになるか ・支出上限や人間の確認が、実際の使い勝手とどうバランスするか ・予測市場やオンチェーン決済など、AIエージェントが触れる範囲の広がり
一次ソース:
- MetaMask: Introducing MetaMask Agent Wallet https://metamask.io/news/introducing-metamask-agent-wallet
- CoinDesk: MetaMask、すべての取引にセキュリティを組み込んだ AI エージェント・ウォレットを発表(6/8) https://www.coindesk.com/tech/2026/06/08/metamask-launches-ai-agent-wallet-with-built-in-security-for-crypto-trades
- The Defiant: MetaMask、Agent Wallet を早期アクセスで提供(AIエージェントにセルフカストディを開放) https://thedefiant.io/news/defi/metamask-launches-agent-wallet-in-early-access-giving-ai-agents-self-custody-acces
※本稿はLifeMakersComの視点から、AIと個人の関わりを整理したもので、投資助言や特定サービスの利用推奨ではありません。