木工を教える教師で Westfield Woodcraft を営むマイク・ウェストフィールド氏が、7×14 フィート (約 2.1×4.3 m) の貨物トレーラーを半年かけて住まいに改造した。屋根に太陽光パネル 1,600W、室内にフルサイズのシャワーと、冷暖房を受け持つミニスプリットを備える。
5 月に YouTube で公開されたこのツアーを、小さな家の専門メディア Tiny House Talk が 10 月 4 日に X で改めて紹介した。床はおよそ 9 m²、畳にして 5 畳半ほど。その箱に、電気を自前でつくる住まいがどこまで収まるのかを、実例で確かめておきたい。
5 畳半に収めたもの
Tiny House Talk の記事によると、中身は次のとおりだ。
- 台所: 深めのシンク、IH コンロ、アパート向けサイズの冷蔵庫
- 水回り: フルサイズのシャワーを備えた、思いのほか広い浴室
- 内装: 自宅の庭の木から取ったチェリー材の天板と縁材 (樹皮側の曲線を残したライブエッジ)、防水のビニール床材、ゆっくり閉まる金具
- 外殻と空調: 総アルミ製のトレーラーを全面断熱し、冷暖房はミニスプリット1台
窓の切り抜きから、ミニスプリットの室外機を外壁に固定する金具の自作まで、半年間の工事はすべて本人が手がけたという。木工を教える人の腕と、自宅の木という手持ちの資源が、仕上がりを支えている。
1,600W は何を約束し、何を約束しないか
Tiny House Talk は屋根の太陽光を「800W の両面受光パネル 2 枚」と書き、ユニット全体をオフグリッドで無期限に動かすのに十分すぎる、と評している。
ただ、1,600W はパネルの定格出力で、日差しの条件がそろったときの上限だ。曇りの日や冬の低い太陽、屋根に平らに寝かせた角度では、実際の発電は下がる。
より大きな空白は、記事にも動画の説明欄にも蓄電池の容量が書かれていないことだ。IH コンロとミニスプリットは、この家でいちばん電気を使う機器になる。昼は発電で回せても、冷え込む夜の暖房は電池に貯めた分でしか動かない。「無期限」という評価が成り立つかどうかは、パネルの枚数よりも、電池の大きさと季節で決まる。
まねる前に確かめたいこと
- 費用と総重量は、公開されている情報に出てこない。アルミ製で軽量とされるが、数値はない
- 日本の道路で引くなら、車両総重量が 750 kg を超えるトレーラーには けん引免許が要る。水回りと電池を積んだ箱は重くなりやすい
- 半年という工期は、木工の技術を持つ本人が全工程をこなした結果だ。業者に頼めば、費用も期間も別の計算になる
それでも、この実例が見せているのは、台所・シャワー・冷暖房・発電が 5 畳半に収まるという事実だ。電気を自前でまかなう住まいは、広い土地を前提にしなくても組み立てられる。
次に確かめられること
NNKH MISC チャンネルのツアー動画 (5 月 17 日公開) で、記事に書かれていない電池や配線がどこまで映っているかを確かめられる。Tiny House Talk は、制作者の本拠として No Nonsense Know How のメインチャンネルを案内している。続編が出るなら、真っ先に見たいのは冬の運用で電池がどこまで持ったかだ。
ことば
- ミニスプリット — 室内機と室外機を配管でつなぐ、壁掛けエアコンと同じ分離型のヒートポンプ式冷暖房。窓に付けるタイプより静かで効率がよく、小さな家やトレーラーの改造でも選ばれている。
- 両面受光パネル — 表だけでなく裏面でも光を受けて発電する太陽光パネル。地面や屋根からの照り返しを拾える分、置き方しだいで実際の発電量が変わる。
- ライブエッジ — 丸太の外周、樹皮のすぐ内側の自然な曲線を削らずに残した板。一枚ごとに形が違い、自宅の木を使えば、その木の来歴ごと家具になる。
屋根の 1,600W と、書かれていない電池の容量。走る家を考えるとき、あなたはどちらから決めるだろうか?