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英国政府の「3日分」チェックリスト、水の次に現金とFMラジオ

英国政府が全世帯に「3日間の混乱」への備えを呼びかけた。水・食料に加えて FM ラジオと現金が入ったチェックリストを、日本の目安と並べて読む。

英国政府の「3日分」チェックリスト、水の次に現金とFMラジオのイメージ

この記事でわかること

  • 英国政府は10月22日、全世帯に3日間の混乱への備えを求める3年キャンペーンを始めた
  • チェックリストは水・食料に加え、FM ラジオ・モバイルバッテリー・現金を独立した区分で挙げる
  • 一度にそろえず普段の買い物で少しずつ、という設計は日本の「最低3日分〜1週間分」とも重なる

英国政府は10月22日、全世帯に向けて「3日間の混乱」に備えるよう呼びかける新しい助言を出した。内閣府 (Cabinet Office) と Dan Jarvis 安全保障担当相による「Be Ready」キャンペーンで、悪天候などで電気・水・電話・インターネットが一時的に止まる場面を想定している。

GOV.UK 発表 10月22日 (3年キャンペーン・3日分の備え・欧州各国の目安・Priority Services Register)GOV.UK

チェックリストに並ぶのは、1人1日3リットルの飲み水、冷蔵も加熱もいらない食料、電池式か手回しの FM ラジオ、そして現金だ。助けが届くまでの3日を、まず家庭で持つ。その考え方を、自分の家の台所と押し入れの中身に置き換えてみたい。

英国のチェックリストに並んだもの

GOV.UK の発表によると、今回の助言は3年間のキャンペーンの第1段階にあたる。チェックリストの冒頭には、3日分を備えておけば、支援が最も困っている人に届くあいだを自分たちでしのげる、と書かれている。

品目は9つの区分に分かれている。

  • 水: 3日分のボトル水。飲み水だけで1人1日3リットル。調理や洗い物にはさらに要る
  • 食料: 冷蔵も加熱もいらない保存食を3日分。缶詰の肉・魚・野菜、ドライフルーツ、ナッツなど。普段食べているものを選ぶのがよいとしている
  • 明かりと暖: 懐中電灯と予備の電池、毛布・寝袋・防寒着
  • 通信と情報: 電池式か手回しの FM ラジオ、充電済みのモバイルバッテリー
  • お金と書類: 硬貨と紙幣を混ぜた現金とカード、身分証や書類の写し、大事な電話番号や常用薬と用量のメモ
  • 医療: 救急用品、欠かせない薬
  • 衛生: 手指消毒剤、ウェットティッシュ
  • 乳児用品: 調乳済みの液体ミルク (お湯を沸かせないかもしれないため)、おむつ
  • ペット用品: フードと水

目を引くのは、そろえ方の書き方だ。一度に全部そろえなくてよい。まず戸棚にあるものを確かめ、足りないものは普段の買い物のついでに1つ2つずつ買い足して費用を分散する。6か月ごとに期限を確かめ、家族の事情が変われば中身も入れ替える。発表文もチェックリストも「備蓄」という語を使っていない。号令をかける文書というより、家の中身を点検する手順書として組み立てられている。

政府は、電気・ガス・水道の会社が緊急時に支援の必要な人を把握する「Priority Services Register」への登録も、無料でできる一歩として挙げている。

現金とラジオが入っている意味

水と食料は災害の備えの定番だが、このリストには「通信と情報」と「お金」が独立した区分として入っている。発表文が想定する止まり方は、電気・水・電話・インターネットだ。停電が起きれば、店のキャッシュレス決済の端末も、スマホを充電するコンセントも止まりうる。通信の障害が重なれば、スマホで情報を取ること自体が難しくなる。

FM ラジオは、携帯回線にもインターネットにも頼らずに情報を受け取れる。現金は、店の端末や回線が止まっても使える支払い手段だ。チェックリストが硬貨と紙幣を混ぜるよう書いているのは、おつりが出にくい場面まで考えているからだろう。

ただし、どれも持っているだけでは役に立たない。ラジオは電池が切れていれば鳴らず、モバイルバッテリーは充電しておかなければ空のままだ。リストが「充電済み」と書き、6か月ごとの点検を求めているのはそのためだ。スマホを前提にした暮らしの中で、スマホが使えない時間を前提にする。この切り替えが、リストの中でいちばん手間のかかる部分かもしれない。

日本の「最低3日分、できれば1週間分」と並べる

3日という数字は英国だけのものではない。発表文によると、3日分の備えはフランス、アイルランド、オランダでも使われている目安で、英国は欧州の各国に並ぶ形でこのキャンペーンを始めた。昨冬の嵐や今夏の山火事で、電話の電波や水道、インターネットが乱れたことも理由に挙げている。

日本では、農林水産省の「災害時に備えた食品ストックガイド」が、最低3日分から1週間分の食品を人数分、家庭で備えておくことが望ましいとしている。地域の状況によっては2週間分など多めに、とも書く。同じガイドが勧める「ローリングストック」は、普段の食品を少し多めに買い置きし、古いものから食べ、食べた分を買い足す方法だ。

災害の多い国の目安と、平時の欧州で新しく始まった呼びかけが、同じところに着地している。どちらも、特別な物を買い込むより、普段の暮らしを少し厚くするほうに重心を置く。日本の目安は英国より長いので、英国のリストを3日分の最小単位として、そこから1週間へ伸ばしていく読み方もできる。

英国のキャンペーンは3年かけて段階的に広げるとされ、今後数週間から数か月のうちに、子育て世帯や高齢者に向けたラジオと SNS の広告が始まる。次の段階で何が足されるかは、GOV.UK の Be Ready のページで確かめられる。

自分の家の3日分を、今あるもので数えてみる

英国のリストの最初の手順は、まず戸棚を見ることだった。買い物はその後でいい。同じ点検は今夜にでもできる。

  • 水: 家族の人数 × 3リットル × 3日。4人家族なら飲み水だけで36リットル、2リットルのペットボトルで18本になる
  • 食料: 冷蔵庫が止まり、ガスも使えないとして、そのまま食べられるものが3日分あるか
  • 明かりと情報: 懐中電灯とラジオの電池は切れていないか。モバイルバッテリーは今、充電されているか
  • お金: 財布の中に、硬貨と小さな額の紙幣がどれくらいあるか

数えてみると、足りないものより先に、すでにあるものが見えてくるはずだ。一方で、水のように置き場所の問題で一度にはそろえにくいものもある。乳児のミルクや常用薬、ペットのように家族ごとに違う品目は、どのリストにも代わりに書いてはもらえない。

英国のリストは、近所と連絡先を交換し、余った物は備えられない人に回すことも勧めている。家の3日分は、近所の3日分の一部でもある。

ことば

  • Be Ready — 英国政府が2026年10月に始めた家庭向けの備えのキャンペーン。2024年5月から出していた助言のサイト「Prepare」を新しい名前と表現で更新し、3年かけて段階的に広げる。
  • Priority Services Register — 英国の電気・ガス・水道の会社が、緊急時に支援が必要な利用者を把握するための登録制度。登録は無料で、政府は備えの最初の一歩の1つに挙げている。
  • ローリングストック — 普段の食品を少し多めに買い、古いものから食べて、食べた分を買い足す備え方。農林水産省の食品ストックガイドが勧める方法で、買いだめをしなくても一定量が家に残る。

電気も通信も止まったとして、あなたの家は今ある物だけで何日持ちこたえられるだろうか?

参照

あなたの暮らしで、最初に試せることは何でしょうか。