国際エネルギー機関 (IEA) は、電池の平均価格が2025年に8%下がったとする分析を、10月22日に公式 X で改めて紹介した。同じ年、中国の電池パックは米国より30%、欧州より35%安かったという。分析そのものは、IEA が2月13日に公表した論評だ。
電池が安くなれば、家庭用の蓄電池や電気自動車も手の届く値段に近づく。ただ、安くなり方は国によって大きく違い、その差の裏には供給の偏りがある。
何が、どれだけ安くなったのか
IEA によると、リチウムイオン電池の世界市場は2025年に1500億ドルを超え、前の年から20%以上伸びた。使われた量は2020年の6倍になる。用途の7割超は電気自動車で、電力を貯める蓄電システムが15%超を占める。
値下がりが最も大きかったのは蓄電システムで、2025年の世界平均は2020年の3分の1の水準になった。電池の種類で見ると、リン酸鉄リチウム (LFP) は15%超下がったのに対し、ニッケル系 (NMC) の下げは5%未満にとどまった。LFP は平均で NMC より4割以上安い。IEA は値下がりの理由に、製造技術の進歩、材料の改良、激しくなる競争を挙げている。
安さの裏にある、中国への集中
地域の差は広がっている。欧米の生産コストは、公的な支援を除いても中国より最大で5割高い。中国は2025年に世界の電池の8割を大きく超える量をつくり、蓄電の用途の9割超が使う LFP は、ほぼすべて中国から供給されている。
中国は2023年から電池の重要な部材に輸出規制をかけてきた。2025年10月に打ち出した規制は一時停止されているが、IEA はこうした動きを供給の危うさとして挙げている。電池が安く手に入るのは、ほぼ1つの国の生産に頼っているからでもある。
家庭の蓄電池を考えるときに
IEA の分析は、電力網につなぐ大型の蓄電システムを中心にしており、家庭用の蓄電池の価格は別に示していない。家庭用は電池そのものに加え、電気を家で使える形に変える機器、工事、保証の費用が重なるので、電池の値下がりがそのまま設置費に表れるとは限らない。
それでも、見積もりを比べるときの手がかりにはなる。電池の種類が LFP かどうか、どの国の電池を使っているか、部材の調達が止まったときに交換や修理の部品が手に入るか。値段だけでなく、10年以上使う前提でこうした点を販売店に尋ねておくと、後で困りにくい。
停電への備えとして考えるなら、何時間ぶんの電気を、冷蔵庫や照明など何に回したいのかを先に決めておくと、必要な容量と予算の見当がつけやすい。
次に確かめたいのは、IEA が毎年まとめる電気自動車と電池の報告書 Global EV Outlook の次の版で、2026年の電池価格と地域の差がどう示されるかだ。
ことば
- LFP (リン酸鉄リチウム) 電池 — 正極にリン酸鉄リチウムを使うリチウムイオン電池。IEA によると材料費が構造的に安く、蓄電の用途の9割超で使われている。
- 電池パック — 小さな電池 (セル) を多数束ね、温度や充電を管理する仕組みと一緒にまとめたもの。電気自動車や蓄電池に載るのはこの単位になる。
もし家に蓄電池を置くとしたら、あなたは停電の何時間ぶんを、何に使いたいだろうか?