Tesla は10月21日に公表した2026年第3四半期の株主向け報告で、北米で引き渡した新車のうち、運転支援の機能「FSD (Supervised)」を付けた車の割合が75%を超えたと明らかにした。前の四半期から20ポイント近い上昇だという。同じ報告で、大型トラック Tesla Semi の量産を始めたことも伝えている。
北米で Tesla を新しく買う人の4人に3人以上が、運転の一部を車に任せる機能を選んだことになる。ただし名前のとおり、運転者の監視が前提の機能だ。
「監視付き」で広がる運転の任せ方
報告によると、FSD の有効な契約は第3四半期末で174万件になった。1年前の104万件、前の四半期の148万件から増えている。この数には一括の購入と月ごとの契約の両方が含まれ、無料の試用は入っていない。
欧州では、第2四半期の後にクロアチア、スロベニア、チェコ、スロバキアの4か国で新たに承認が下り、使える国は EU の9か国になった。欧州で使った顧客は10万人を超え、走った距離は承認以来1億6,000万キロを超えたという。
大事なのは注記のほうだ。報告は FSD (Supervised) について、運転者が監視し続ける必要があり、車を自動運転にするものではないと明記している。道路から注意を離してよい機能ではない。
日本については、第3四半期に引き渡しが過去最高になった市場の一つとして名前が挙がっている。一方で報告は、日本での FSD の承認には触れていない。
運転席のない車と、電気で走る大型トラック
運転者のいない車も、限られた場所で動き始めている。Tesla は9月3日、テキサス州オースティンで、専用車 Cybercab を使った無人の配車サービス「Robotaxi」の運行を始めた。オースティンでの運行時間はいま朝6時から深夜0時までで、監視者のいない走行は四半期末までの累計で200万マイル近くになったという。報告は、Cybercab の車内で対話型 AI の Grok を使い、声だけで予定やメールを片づけられるとも書いている。
大型トラックの Tesla Semi は、ネバダ州の大量生産のラインで造られる。最上位の仕様は、総重量8万2,000ポンド (約37トン) を積んだ状態で500マイル (約800キロ) 走れ、同じ荷を運ぶディーゼルのトラックに比べて使うエネルギーは3分の1で済むとしている。荷物を運ぶトラックが電気に替われば、運ぶ費用の中の燃料の部分が動く。
任せる範囲を、誰が決めるのか
ここまでの数字は、すべて Tesla 自身の報告によるものだ。機能を付けた人のうち、実際にどれだけの時間を FSD で走っているのか、どんな場面で人が引き継いでいるのかは、この報告からは分からない。月ごとの契約が含まれる以上、174万件のうちどれだけが続くかもまだ見えない。
それでも、新車の4台に3台という割合は、運転の一部を車に任せることが北米では特別な選択ではなくなりつつあることを示している。日本で同じ機能が使えるようになるかは、国の承認の行方しだいだ。
次に確かめるのは、2026年第4四半期の株主向け報告だ。FSD の承認が下りた国の一覧と、Robotaxi の運行が広がる都市の名前は、そこに出る。
ことば
- FSD (Supervised) — Tesla の運転支援の機能。車が操舵や加減速を受け持つが、運転者が常に監視することが前提で、同社も車を自動運転にするものではないとしている。北米では新車の75%超に付いた。
- Robotaxi — Tesla が運転者のいない車で運ぶ配車サービス。テキサス州オースティンで、9月3日から専用車 Cybercab も使い始めた。
- Tesla Semi — Tesla の電気で走る大型トラック。第3四半期にネバダ州のラインで量産を始めたとしており、物流の燃料費の構図を変えうる。
運転の一部を車に任せられるとしたら、あなたはどこまでを任せ、どこからは自分で握っていたいだろうか?