イワタニがカセットガスストーブ「マル暖プラス」(品番 CB-STV-MRD-PLS) を売り出した。最大の発熱量は約2.1kW で、従来の「マル暖」と比べて燃焼筒まわりの暖房効力が約1.5倍になったと同社は説明している。同社の公式通販での価格は3万4980円。
燃料はカセットコンロと同じカセットガスで、屋内でも屋外でも使える。冬の停電や、暖房のない場所で暖をとる手段を考えている家庭にとっては、候補に入る道具の一つになる。ただ、数字を一つずつ見ると、何を任せられて何を任せられないかがはっきりする。
何が変わったのか
イワタニの製品ページの見出しは「二重の放熱構造で、暖房効力が約1.5倍に」。燃焼部の熱に加え、新しく付けたステンレスのパンチングメタル筒にためた熱も周りに出す作りにした。比べているのは燃焼筒の周りの暖房効力で、部屋全体が1.5倍速く暖まるという意味ではない。
天板では湯を沸かせる。ただし同社は、屋内の無風の場所でふたをした場合が前提で、屋外や気温の低い時は沸かない、または時間がかかることがあると書いている。
数字で見る、1本でどこまで
製品ページに載る主な数字はこうだ。
- 最大発熱量: 約2.1kW (1800kcal/h 相当)
- 連続燃焼時間: 約1時間40分 (カセットガス1本・最大火力・気温20〜25℃での実測)
- ガス消費量: 約152g/h (最大火力)
- 暖房の目安: 木造の戸建て5畳まで、コンクリートの集合住宅7畳まで
- 重さ: 約4.2kg (ガスは含まない)
- 大きさ: 幅326×奥行368×高さ377mm
最大火力で一晩8時間燃やし続けるなら、単純に割って5本ほどのカセットガスが要る。停電が数日続く想定なら、必要な本数はその日数分だけ積み上がる。ストーブ本体より、ガスをどれだけ、どこに置いておけるかのほうが、備えとしての実質を決める。
暖められるのは5〜7畳。家全体ではなく、家族が集まる一部屋を暖める道具だと考えたほうが実態に近い。
燃やす暖房であること
安全装置は4つ付いている。室内の酸素が減った時にガスを止める不完全燃焼防止装置、火が消えた時の立消え安全装置、倒れた時に消す転倒時消火装置、ガスの圧力が上がった時に働く圧力感知安全装置だ。
それでも、部屋の空気を使ってガスを燃やす暖房であることは変わらない。安全装置は事故を防ぐ最後の仕組みで、換気の代わりにはならない。車の中では使えないことも、JAF Mate の紹介記事に明記されている。
使えるガスはイワタニカセットガス、同パワーゴールド、FORE WINDS のノルマルとイソに限られる。手元にある別の銘柄のカセットガスで代用できるとは限らない。
ことば
- kW (キロワット) — 暖房器具が出せる熱の大きさ。数字が大きいほど広い部屋を暖められ、マル暖プラスの2.1kW に対する目安が5〜7畳になる。
- 不完全燃焼防止装置 — 室内の酸素が減って燃え方が悪くなった時に、自動でガスを止める仕組み。燃焼式の暖房を屋内で使えるかどうかを分ける装置の一つ。
次に確かめられるのは、イワタニの製品ページの取扱説明書と、自宅にあるカセットガスの銘柄だ。冬が本格的に来る前に、手持ちの本数を数えておくと、この道具が自分の家で何時間ぶんの暖になるかが見えてくる。
電気が止まった冬の夜、あなたの家で暖める一部屋はどこで、そのために何本のガスを置いておくだろうか?

