気象庁は10月16日12時40分、北海道から中部地方の広い範囲に緊急地震速報 (警報) を出した。震源を千島列島、マグニチュードを9.9と推定したためだが、実際に起きたのはカムチャツカ半島付近のマグニチュード6.9 (速報値) の地震で、観測された揺れは函館市の震度1だけだった。
気象庁は同じ日の報道発表で、マグニチュードを「過大に推定した」と説明し、17時30分の第2報で、分かってきた原因を公表した。テレビや携帯電話で警報を受け取った人もいただろう。鳴ったあと、何を確かめればよかったのかを整理しておく。
遠い地震に、国内用の式を当てていた
気象庁の発表によると、地震は12時38分ごろに起きた。2分後に出た警報は、千島列島で M9.9 という、実際とはかけ離れた規模を前提にしていた。
第2報が挙げた理由は2つある。
- 日本から非常に遠いところで起きた地震に、国内の地震用にマグニチュードを求める式を当てはめた
- 本来はマグニチュードの計算と震度の予測に同じ震源を使う必要があるが、今回は2つが食い違っていた
遠い地震を近い地震の物差しで測り、さらに規模と揺れの見積もりで別々の震源を見ていた、ということになる。詳しい経緯は引き続き調べるという。気象庁は14時から記者会見を開き、その様子は同庁の YouTube で公開されている。
鳴ったときの行動は、鳴った時点では変わらない
今回のような過大な推定は、警報を受け取った側からは見分けられない。緊急地震速報は、強い揺れが来るまでのごくわずかな時間に届く仕組みで、その間に真偽を確かめる手段はない。
気象庁は、速報を見聞きしてから揺れに襲われるまでの時間はごくわずかで、慌てずに身を守るには、日頃の訓練で実際に体を動かしておくことが大切だとしている。外れることがあっても、鳴った時点で取れる行動は、頭を守る、物が落ちてこない場所へ動く、といったものに限られる。
難しいのは、外れた経験が次の行動を鈍らせうることだ。「この前も何も起きなかった」という記憶は、次に本当に強い揺れが来るときにも残っている。今回の M6.9 の地震は遠かったが、規模の推定を誤った原因がまだ調査中である以上、同じ形の外れがもう起きないとは言い切れない。
揺れが来なかったあとに、確かめる先
警報が鳴ったあと、自分のいる場所で揺れが小さかったなら、確かめる先は次のとおりだ。
- 気象庁が出す地震情報で、震源と各地の震度を見る。今回は、函館市の震度1が最大だった
- 気象庁の報道発表資料のページで、警報について説明が出ていないかを見る。今回は14時と17時30分に出た
- 自治体の防災情報や公式 SNS で、避難などの呼びかけが出ていないかを見る
確かめるのは、揺れが収まってからでよい。順番を逆にしない。
次に見るのは、11月5日 (木) の10時ごろに内閣府、消防庁、気象庁が行う緊急地震速報の全国訓練だ。訓練用の速報は、基本的にテレビやラジオ、携帯電話の緊急速報メールでは流れない。自治体や学校、職場が参加を呼びかけるもので、個人も参加できる。原因の詳しい調査結果は、気象庁の報道発表資料のページに追って載る。
ことば
- 緊急地震速報 (警報) — 地震の最初の小さな揺れをとらえて震源と規模を素早く推定し、強い揺れが来そうな地域に事前に知らせる仕組み。推定が速いぶん、今回のように規模を見誤ることがある。
- マグニチュード — 地震そのものの規模を表す数値。値が1違うだけで規模は大きく異なる。場所ごとの揺れの強さを表す震度とは別の物差しだ。
次に警報が鳴ったとき、あなたは数秒の間に何をするかを、もう決めているだろうか?