本文へ移動
LIFEMAKERS.COM — 自給率を上げる。自立型ライフの実践知メディア
Aboutベータ版
Signal解説・分析エネルギーと循環減らすFUTURE LIFE BRIEF

家の太陽光の3分の1超が蓄電池つきに、IEA の2031年見通し

IEA の Renewables 2026 は、2031年に世界の家庭用太陽光の3分の1超が蓄電池つきになると見る。危機が設置を増やす条件と、日本の家で確かめる点を整理する。

家の太陽光の3分の1超が蓄電池つきに、IEA の2031年見通しのイメージ

この記事でわかること

  • 2031年に世界の家庭用太陽光の3分の1超が蓄電池つきになると IEA は見ている
  • 欧州では電気代の上昇が目に見える設置の加速にはつながっていない
  • 採算は買う電気と売る電気の差で決まる。日本の家庭の試算は見当たらない

国際エネルギー機関 (IEA) は11月6日、2031年までの再生可能エネルギーの見通し Renewables 2026 を公表し、世界の家庭用太陽光のうち3分の1超が2031年には蓄電池つきになるとの見方を示した。ビロル事務局長は、今の拡大を動かしているのは主にエネルギー安全保障だと語っている。

ホルムズ海峡の混乱で石油とガスの値段が揺れた年に、発電と蓄電が家の側へ広がる話が出てきた。ただ、世界の数字がそのまま日本の家に当てはまるわけではない。どこまでが自分の話なのかを分けて読む。

家の側で広がる数字

報告書の全体像は、2026〜2031年に再エネ容量が約4,800GW増え、直前の6年より57%多いというものだ。太陽光が増加分の4分の3ほどを占める。家に近い部分では、次の数字が並ぶ。

  • 住宅・商業・産業・オフグリッドの分散型太陽光は6年で1,530GW増える
  • 2022年以降に増えた屋根の太陽光で、少なくとも7,000万世帯の電力事情が改善した (貿易データなどからの推計)
  • 送電網につながないオフグリッドの太陽光は、2031年に約2.5倍の約80GWへ。パキスタン、サハラ以南のアフリカ、東南アジアが牽引する
  • 需要家側の蓄電池は、2031年にほぼ6倍の670GWh超へ

IEA は再エネの安全保障上の効果も示す。2010年以降の成長がなければ、2025年の化石燃料の需要は約8%多かったという。ガスの火力が卸の電力価格に与える影響も小さくなったとするが、これは卸の話で、家庭の請求額を示す数字ではない。

危機が設置をすぐ増やすとは限らない

欧州の分散型太陽光の見通しは、昨年より14%弱い。ロシアのウクライナ侵攻後の設置ブームのあと、市場が飽和しつつあるためだ。中東の紛争に伴う電気代の上昇も、今のところ政策の大きな見直しや目に見える設置の加速にはつながっていないと報告書は書く。

蓄電池の採算を左右するのは、買う電気と売る電気の値段の差だ。カリフォルニアは余った電気を小売より安く買い取る制度で、2024年末には対象の顧客のほぼ7割が蓄電池を組み合わせていた。ドイツでは2025年の新しい住宅用太陽光のおよそ8割が蓄電池つきだ。一方、家庭の電気料金が穏やかなスペインでは、採算の根拠が弱くなる。

昼の電気が余る問題も進む。主要な市場で風力と太陽光の出力を抑えた量は2025年に200TWh近くに達し、2031年には800TWhを超える可能性がある。欧州ではマイナス価格の時間も増えている。昼に作って昼に売るだけの計算は、この先ぶれやすくなると考えておくほうがよさそうだ。

日本の家で計算するとき

日本について報告書が触れるのは、送電網の制約や出力抑制、柔軟性の不足が成長の制約になりつつあること、家庭用蓄電池を支援する制度があることなどだ。確認した範囲では、日本の家庭の電気代を試算した数字は見当たらない。計算は自分でするしかない。

使える材料は3つある。

  • 昼と夜のどちらに電気を使う家か。昼に留守がちなら、ためないと自家消費は伸びにくい
  • 買う単価と売る単価の差。差が小さければ蓄電池の元は取りにくい
  • 屋根の向きと持ち家かどうか。賃貸なら屋根の選択肢はほぼない

蓄電池には購入費のほか、置き場所、寿命、停電時にどの回路まで動くかという条件がつく。見積もりの回収年数は、電気代と売電の単価を仮定した数字だと思って読むといい。賃貸で備えを考えるなら、まずポータブル電源の容量の選び方から入る手もあるが、こちらは停電への備えで、電気代を大きく下げる道具ではない。

次に開くのは、電力会社の会員ページにある時間帯別の使用量だ。今月の請求が確定したら、昼と夜の比率を見ておきたい。

ことば

  • 需要家側の蓄電池 — 発電所や送電網の側ではなく、家庭や事業所に置く蓄電池。英語では behind-the-meter と呼ぶ。太陽光の電気をためて自分で使う用途が中心になる。
  • 出力抑制 — 送電網が受け止めきれない時に、発電できる状態の太陽光や風力の出力を止めること。導入が増えるほど起きやすくなり、昼の電気の価値を下げる要因にもなる。

電気代が次に上がったとき、あなたは発電する、ためる、使う量を減らすのうち、どれから手をつけるだろうか?

参照

あなたの暮らしで、最初に試せることは何でしょうか。