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モバイルバッテリーとポータブル電源、容量の選び方

停電に備える電源は、スマホを充電するモバイルバッテリーと、家電を動かすポータブル電源の2つ。容量を Wh で数え、出力と置き場所、飛行機や処分の決まりまで確かめる。

モバイルバッテリーとポータブル電源、容量の選び方のイメージ

この記事でわかること

  • 容量は mAh ではなく Wh で比べる
  • 何を何回・何時間動かせるかの数え方
  • 買う・置く・持ち運ぶ・捨てるときの決まり

停電に備える電源は、大きく2つに分かれる。スマホやラジオを USB で充電するモバイルバッテリーと、コンセントと同じ交流100Vの差し込み口を持ち、家電を動かせるポータブル電源だ。

国土交通省「モバイルバッテリーの機内持込みの新たなルールについて」(2026年4月14日)国土交通省

選ぶときに見る数字は2つある。どれだけ電気をためられるかを表す Wh (ワット時) と、一度にどれだけの電気を出せるかを表す W (ワット) だ。この記事では、2つの数字の読み方と、自分の家に要る量の数え方、買う・置く・持ち運ぶ・捨てるときの決まりまでをまとめる。

2つの道具は、法律の扱いが違う

モバイルバッテリーは、電気用品安全法の規制対象になっている。経済産業省によると、2018年2月から規制の対象になり、1年の経過措置を経て、2019年2月以降は PSE マークの無いモバイルバッテリーは販売できない。

ポータブル電源は、同じリチウムイオン電池を使っていても、この法律の対象外だ。経済産業省は、交流を出力できるポータブル電源は蓄電池にあたらないため、モバイルバッテリーとして扱わないとしている。一方で、ポータブル電源による事故 (すべて火災) が増えているとして、2024年2月に安全対策の要求事項 (中間とりまとめ) をまとめた。法律の義務ではなく、メーカーが自主的に使うための指針だ。

つまり、モバイルバッテリーは PSE マークを最低限の目印にできるが、ポータブル電源は製品ごとに中身を確かめる必要がある。

容量は mAh ではなく Wh で比べる

モバイルバッテリーの容量は「10,000mAh」のように mAh で書かれていることがある。ただ、mAh (ミリアンペア時) は電圧が違うと比べられない。比べるときは Wh に直す。

国土交通省は、機内持込みの案内で次の計算式を示している。

  • 定格容量 (mAh) × 定格電圧 (V) ÷ 1000 = ワット時定格量 (Wh)

同じ案内の例では、定格容量 27,000mAh・定格電圧 3.7V の製品が 99.9Wh になる。本体や箱に Wh が書かれていれば、その数字をそのまま使えばよい。

経済産業省の FAQ は、モバイルバッテリーの「定格容量」は5時間にわたって供給できる電気の量のことで、内蔵する電池の容量とは一致しないと説明している。表示の数字は、スマホに実際に届く量の上限ではない。

何を何回、何時間動かせるか

計算は割り算で済む。

モバイルバッテリーでスマホを充電する場合

  • 充電できる回数の目安 = バッテリーの Wh ÷ スマホの電池の Wh

たとえば電池が 5,000mAh・3.85V のスマホなら約19Wh。37Wh (10,000mAh・3.7V) のモバイルバッテリーなら、単純計算で約2回分になる。実際には電圧の変換などで目減りするので、計算の値より少なく見ておく。スマホの電池の容量は、メーカーの仕様表で確かめられる。

ポータブル電源で家電を動かす場合

  • 動かせる時間の目安 = ポータブル電源の Wh ÷ 家電の消費電力 (W)

500Wh のポータブル電源で消費電力 50W の機器を使うなら、計算上は約10時間。これも理想値で、交流に変換するときのロスがある。製品の取扱説明書に使用時間の目安が書かれていれば、そちらを優先する。

家電の消費電力は、本体の銘板 (ラベル) か取扱説明書に書かれている。停電の間に動かしたいものを書き出し、それぞれの消費電力と使う時間を掛けて足すと、1日に要る Wh が出る。水と食料の備蓄でいう「最低3日分、できれば1週間分」の考え方は、電気にもそのまま使える。

ポータブル電源は「出力」と「波形」も見る

容量が足りていても、家電が動くとは限らない。ポータブル電源の定格出力 (W) が、使いたい家電の消費電力より小さいと、その家電は使えない。ドライヤーや電子レンジのように消費電力の大きい家電を使いたいなら、定格出力の欄を先に確かめる。

もう1つは、交流の波形だ。経済産業省の安全性要求事項 (中間とりまとめ) は、交流出力の波形を正弦波とすることを求めている。正弦波以外の製品は、本体に波形を表示し、取扱説明書で接続できる機器を限ることが条件になっている。仕様表に「正弦波」と書かれているか、書かれていなければつなげる機器の制限が無いかを確かめておく。

事故はどれくらい起きているか

NITE (製品評価技術基盤機構) によると、2021年から2025年までの5年間に通知されたリチウムイオン電池搭載製品の事故は2140件だった。製品別ではモバイルバッテリーが506件で最も多く、2025年は192件と2021年の51件の3倍以上になった。ポータブル電源は5年で147件で、年ごとに14件、21件、28件、41件、43件と増えている。

NITE は、総エネルギー量の大きい製品ほど事故のときの発熱量も大きくなるため、大容量のポータブル電源はより注意が必要だとしている。

買う前に確かめること

NITE は、関係省庁と一緒に呼びかけている「3つの C」の1つ目として、賢く選ぶことを挙げている。

  • 販売事業者の連絡先や製品の情報、リコール情報を買う前に確かめる
  • モバイルバッテリーは PSE マークがあるかだけでなく、マークの近くに製造・輸入事業者の名前が書かれているかも見る
  • 自分の住む自治体での捨て方や、メーカー・家電量販店が回収してくれる製品かを、買う前に確かめておく

リコール情報は、消費者庁の「リコール情報サイト」と NITE の「SAFE-Lite」で検索できる。

置き場所と使い方

NITE はポータブル電源について、次の点を挙げている。

  • 落とすなど強い衝撃を与えない。衝撃のあとに発熱や変形があれば使うのをやめ、修理窓口に相談する
  • 高温の場所で使わない。長く使わないときは箱に入れ、直射日光の当たらない涼しい場所に置く
  • 屋外で使うなら、防水・防塵の性能を持つ製品を考える

NITE が紹介した事故例には、屋外に置いたポータブル電源に雨水などが入り込み、充電中に出火したと考えられるものがある。モバイルバッテリーでも、膨らんだ電池を元に戻そうと強い力をかけて出火した事故が起きている。膨らんだら押し戻さず、使うのをやめる。

飛行機に持ち込むとき

国土交通省は、国際基準の改定に合わせて、2026年4月24日から機内持込みのルールを変えた。

  • 預け入れの荷物には入れられない。機内に持ち込む
  • ワット時定格量が160Whを超えるものは持ち込めない
  • 機内に持ち込めるのは2個 (160Wh以下に限る) まで
  • 機内でモバイルバッテリーを充電しない。モバイルバッテリーから他の電子機器にも充電しない
  • 座席上の収納棚に入れず、座席ポケットなど手元に置く

160Whを超えるポータブル電源は、機内には持ち込めない。航空会社によってはさらに厳しいルールを設けている場合があるので、乗る前に各社の案内を見る。

捨てるとき

2026年4月1日に施行された改正資源有効利用促進法で、モバイルバッテリーは「指定再資源化製品」になり、メーカーなどによる自主回収・再資源化の基準が定められた。

NITE は捨てるときの注意として、次の点を挙げている。

  • 製品にリチウムイオン電池が使われているかを、本体の表示や取扱説明書で確かめる (「リチウムポリマー」「Li-ion」「Li-Po」の表示も同じ仲間)
  • メーカーの回収や、自治体の回収の区分を確かめる
  • 確かめるときも捨てるときも、分解しない
  • できるだけ電池を使い切ってから捨てる (満充電より発火などのリスクが低い)

ポータブル電源は大きく重いので、自治体の回収に出せないこともある。買う前に、メーカーが回収してくれるかを確かめておくと後で困らない。

つまずきやすいところ

  • mAh の大きさで選ぶ — 電圧が違えば比べられない。Wh に直してから比べる
  • 容量だけ見て出力を見ない — 使いたい家電の消費電力が定格出力を超えると動かない
  • しまい込んで残量が分からなくなる — 停電の日に空では意味がない。どのくらいの間隔で充電し直すかは、取扱説明書の保管の項に従う
  • 車内や窓辺に置きっぱなしにする — 高温の場所はリチウムイオン電池の事故が多い場所でもある。NITE は、事故は春から夏にかけて増え、8月にピークを迎えるとしている

今日できること

家にあるモバイルバッテリーを1つ手に取り、本体の表示を見る。PSE マークと事業者名があるか、Wh が書かれているか (無ければ mAh × 電圧 ÷ 1000 で計算する)。そのうえで、型番を消費者庁のリコール情報サイトで検索してみる。

停電した夜、あなたが最後まで動かしておきたいものは何だろうか。

ことば

  • Wh (ワット時) — 電気をどれだけためられるかを表す量。1W の機器を1時間動かせる電気が 1Wh。電池の電圧が違っても比べられるので、モバイルバッテリーの機内持込みの上限もこの単位で決まっている。
  • 正弦波 — コンセントから来る交流と同じ、なめらかな波の形。経済産業省の安全性要求事項はポータブル電源の交流出力にこの波形を求めている。違う波形だと、つなげる機器が限られることがある。

一次ソース

版 1.0 (2026年11月2日)

あなたの暮らしで、最初に試せることは何でしょうか。