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DeepMind の AGI 経済論、賃金が雇用より先に動くと予測

Google DeepMind のエッセイ「The Economics of Intelligence」は、AGI の影響はまず賃金に表れ、複数の AI の連携が境目を越えると雇用や市場構造が急に動くと見る。

DeepMind の AGI 経済論、賃金が雇用より先に動くと予測のイメージ

この記事でわかること

  • AGI の影響はまず賃金に表れ、市場構造や雇用はその後とエッセイは見る
  • 個々の技能の伸びはなめらか、複数の AI の連携が境目を越えると急な変化が起きるという2軸の整理
  • Google の公式見解ではない。統計は人件費と計算への支出の両方を追うべきと提案

Google DeepMind の AGI 経済学の責任者アレックス・イマス氏らは10月29日付で、AGI(汎用人工知能)がいつ、どう経済を変えるかを論じたエッセイ「The Economics of Intelligence」を DeepMind Institute で公開した。共著者は同社研究員のアンドリュー・コー氏と、共同創業者で AGI 主任科学者のシェーン・レッグ氏。AI の能力が上がると、変化はまず賃金に表れ、市場の構造や雇用はその後だと見ている。

AI に仕事を奪われるかどうかを、人数の増減で見ていると、最初の変化を見落とす。給料の動きと、職場の中でどんな役割が残るかのほうが先に動く、という見立てだ。

2つの境目で、4つの段階を分ける

エッセイは、AI の能力を2つの軸で分ける。

  • 個々の能力(コンピテンス) — 数学、文章、コードなど一つひとつの技能。ここが伸びると、賃金や価格、会社の中の人と AI の割合がなめらかに動く
  • 連携(コーディネーション) — 複数の AI が会社の中で一緒に働く力。ここがある境目を越えると、市場の集中や雇用、賃金に大きく急な跳ねが起きる

この2軸から、AI が平均的な人の能力に並ぶ「minimal AGI」、連携を除くすべての能力であらゆる専門家を上回る「supercompetent AI」、個々の能力は minimal AGI のまま連携だけが境目を越える「supercooperative AI」、両方を越える「超知能(ASI)」の4段階を描いている。

最初の段階で動くのは給料

minimal AGI の段階では、AI に並ばれた仕事の賃金が計算のコストに向かって下がる一方、専門家や、人をまとめる役割の人はかえって多く稼げるという。人数は保たれ、業界の構造も細かく分かれたままだ。

連携が境目を越えると話が変わる。標準化された大きな市場では、大きな AI 組織が小さな会社を上回り、賃金は急に下がる。人の関わりそのものが価値になる医療や教育、手仕事のような分野へ働き手が移り、そこの賃金も押し下げられうると書いている。

実証の例として、6分野にわたる100人のクイズで、得意分野が補い合う専門家どうしを組ませると、無作為に組んだ2人より32%成績が良かったことを挙げる。人の才能はでこぼこで、組み合わせ方に価値がある、という主張の裏づけだ。

読み方の注意

DeepMind Institute のエッセイは Google の公式見解として読むべきものではなく、議論の出発点だと明記されている。数式による全体のモデルは、対になる作業論文「Organizing Intelligence」にあり、エッセイ本体は見立てを言葉で示したものだ。

一方で、指摘として持ち帰れる点がある。雇用率のようなマクロの統計は、AI がまだ影響していないことの弱い証拠にすぎない。ベンチマークの課題に近い入門的な職で、採用がすでに弱含んでいることにも触れている。

次に見るもの

エッセイは、経済統計が人件費と計算への支出の両方を追うべきだと提案し、複数の AI がどれだけうまく仕事を分け、文脈を共有し、間違いを拾えるかを測るベンチマークが要ると書く。イマス氏はこれを同グループのシリーズの第1弾としている。次の論考と作業論文「Organizing Intelligence」が、DeepMind Institute のエッセイ一覧に出るかを追いたい。

ことば

  • AGI — 汎用人工知能。特定の作業だけでなく、人と同じように幅広い課題をこなせる AI を指す。このエッセイは、その到達を能力の点数ではなく経済の変化で定義しようとしている。
  • コーディネーション — 複数の担い手が仕事を分け、情報を共有し、互いの間違いを拾いながら進めること。人の会社では管理職やまとめ役が担ってきた役割で、エッセイはここに AI が届くかを分かれ目と見る。

自分の仕事のうち、一つひとつの技能の部分と、人をつなぐ部分は、それぞれどれくらいの割合だろうか?

参照

あなたの暮らしで、最初に試せることは何でしょうか。