消費者庁は10月29日、「不正アクセスによる個人情報の漏えい等に関する注意喚起」を公表した。事業者への不正アクセスで個人情報の漏えいが起きているとして、流出した情報が悪用されるのを防ぐ対策を6つ挙げ、不安なときは消費者ホットライン「188」か最寄りの消費生活センターに相談するよう呼びかけている。
漏えいの知らせは、いまや週に何度も届く。この注意喚起は、どの会社の事案かに関係なく「自分の情報が漏れたかもしれない」ときにやることを、国の窓口が一枚にまとめたものだ。
消費者庁が挙げた6つ
注意喚起が並べている対策は次のとおり。
- 流出したログイン ID を変更し、大小の英字・数字・記号を混ぜた安全なパスワードにしたうえで、使い回しを避ける
- スマートフォン認証やワンタイムパスワードなどの多要素認証 (MFA) を使う
- 指紋や顔の認証、端末に保存された暗証番号などでログインする「パスキー」を活用する
- クレジットカード、キャリア決済、インターネットバンキングの利用明細をこまめに確認する
- 事業者や公的機関の SMS やメールはフィッシングを疑い、書かれた URL は開かずに、ブックマークした正規のサイトや正規のアプリから入る
- 詐欺電話を自動でブロックする機能など、警察庁が推奨するアプリを入れる
同じページでは、カードの不正利用も取り上げている。事業者や公的機関が SMS やメールでいきなりカード番号の入力を求めることはなく、身に覚えのない請求があればすぐカード会社に連絡するよう求めている。
漏れた項目で、手をつける順番が変わる
6つを全部いっぺんにやる必要はない。漏えいの知らせに書かれている項目を見れば、どこから手をつけるかが決まる。
パスワードやログイン ID が含まれていたら、最初の3つが先だ。そのサービスのパスワードを変え、同じ組み合わせを使っている他のサービスも変える。パスキーや多要素認証を選べるなら、このときに一緒に切り替える。
氏名・住所・電話番号・メールアドレスが中心なら、狙われるのは連絡の側だ。漏えいを起こした会社や銀行を名乗るメール、SMS、電話が来ても、そこに書かれたリンクや番号は使わず、自分で開いたアプリや公式サイトから確かめ直す。5つ目と6つ目がここに当たる。
決済や口座に関わる情報が含まれていたら、4つ目の明細確認が欠かせない。今週公表された鹿児島の決済アプリ Payどんの件では、決済の日時・店舗名・金額が、ゲームのアカウント売買サイト「ゲームトレード」の件では銀行口座が、漏えいした可能性のある項目に入っていた。
手間と限界も知っておく
パスワードの変更は、使っているサービスの数だけ手間がかかる。何十ものサービスに登録していると、一度に全部は終わらない。漏えいの知らせが来たサービスと、同じパスワードを使っている先から順に片づけるのが現実的だ。
パスキーは、まだどのサービスでも使えるわけではない。多要素認証にも種類があり、SMS で届く認証コードは、偽サイトに入力させる手口で盗まれうる。消費者庁が「スマートフォン認証やワンタイムパスワード」と並べているのは選択肢で、どれを選ぶかで守りの強さは変わる。
明細の確認も、毎日続けるのは難しい。カード会社やネット銀行のアプリで利用のたびに通知が届く設定にできるなら、見る手間はいくらか減る。
188 は、被害を元に戻してくれる窓口ではなく、どうすればよいかを一緒に考えてくれる相談先だ。電話をかける前に、どのサービスから何の知らせが来たか、自分が何をしたかを書き出しておくと話が早い。
次に確かめたいのは、消費者庁の「消費者への注意喚起」のページと、漏えいの知らせが来たサービスの続報だ。漏えいした項目は続報で増えることがあり、ゲームトレードでは第2報で銀行口座が加わった。
ことば
- 多要素認証 (MFA) — パスワードに加えて、スマートフォンに届くコードや指紋など、別の種類の確認を組み合わせてログインする方式。パスワードが漏れても、それだけでは入れなくなる。
- フィッシング — 実在の会社や役所を装ったメールや SMS で偽のサイトへ誘い、ID やパスワード、カード番号を入力させて盗む手口。漏えいした氏名や連絡先を使うと、本物らしく見せやすくなる。
- 消費者ホットライン 188 — 消費者庁が案内する相談の電話番号。最寄りの消費生活センターなどの相談窓口につながる。
次に漏えいの知らせが届いたとき、あなたは6つのうちどれから手をつけるだろうか?