OpenAI は米国時間の10月28日、ChatGPT のエージェント「dot」に、スマホのメッセージアプリから用事を頼めるようにしたと告知した。iPhone の iMessage か、Android の RCS で、文字・写真・音声メモを送ると、dot が受け取って動き、進み具合があれば dot の側からメッセージで知らせてくる。
対象は米国の ChatGPT Pro 利用者で、ベータとして順に広げている段階だ。用事を頼む窓口が ChatGPT のアプリの中から、家族や友人とやりとりする画面と同じ場所へ出てきた。思いついたときに一言送れるようになると、何を AI に預けるかを考える回数そのものが増える。
dot は「会話と会話の間」も動く
dot は9月29日に公開された、ChatGPT の中で常に動き続けるエージェントだ。OpenAI の説明では、会話が終わったあとも進み具合を追い、次に何が要るかを考え、状況が変われば続きをやる。クラウド上に自分専用のコンピューターとブラウザを持ち、こちらの端末の電源が切れていても作業を続けられる。
これまで dot とやりとりする場所は、ChatGPT のアプリのほか、Slack や Microsoft Teams だった。今回の追加で、仕事の道具を使わない人にも、毎日開くメッセージの画面という入口ができた。
つなぐ手順と、つながらないもの
設定は、ChatGPT のモバイルアプリ、デスクトップアプリ、またはパソコンのブラウザで dot のプロフィールを開き、「Texting」を選ぶ。電話番号を入れて確認の手続きをし、届いた dot の連絡先カードを保存すれば、あとはメッセージを送るだけだ。iMessage は確認した番号から送る必要があり、Android はメッセージアプリで RCS を有効にしておく。
OpenAI は、範囲を次のように書いている。
- dot がメッセージを送れる相手は本人だけで、本人以外は dot に送れない
- 設定しても、ほかの人とのメッセージのやりとりを dot や OpenAI が見られるようにはならない
- グループチャット、電話、FaceTime はメッセージ経由では使えない
- 承認が要る操作は、ChatGPT で確認するためのリンクが届く
最後の点は、手軽さと引き換えに残された関門と読める。メッセージで「頼む」のは一言で済むが、アカウントに影響する操作や情報の共有の前には、結局 ChatGPT を開いて中身を見ることになる。
日本で dot を使っている人には、まだ関係しない機能だ。dot そのものは欧州経済領域・英国・スイスを除く地域の Pro 利用者が対象だが、メッセージでのやりとりは今のところ米国の Pro 利用者に限られている。
一言で頼めるようになったとき、何を預けるか
候補を素直に並べると、こんなところだろう。
- 見張り: 予約の空き、荷物の届く日、申込みの締切
- 下調べ: 写真を送って「これの替えの部品はどこで買える?」
- 段取り: 音声メモで集まりの人数や候補日を伝え、まとめてもらう
どれも手放せれば時間が浮く。ただ、頼みやすくなるほど、dot が自分の予定や好みについて持つメモも厚くなる。OpenAI の説明では、dot は会話や ChatGPT のメモリーに加えて、好みや決めたことを自分のメモとして残し、連絡の手段をまたいで引き継ぐ。どこまでを覚えさせてよいかは、使い始める前に一度決めておきたい。
もう一つの費用は、Pro というプランそのものだ。dot は Pro 100・Pro 200・Pro 500 のいずれかが前提で、会話は ChatGPT の利用枠に数えないが、dot が始めた作業はそれぞれの製品の枠を使う。毎日の小さな用事に見合うかは、預けたい用事の量で変わる。
次に確かめたいのは、OpenAI が毎週更新している「What's new」のページで、メッセージでのやりとりが米国の外へ広がるか、ベータが外れるかだ。
ことば
- dot — ChatGPT の中で常に動くエージェント。クラウド上の専用コンピューターを使い、会話が終わったあとも用事の進み具合を追い、判断が要るところで本人に戻ってくる。
- RCS — 携帯電話の標準的なメッセージ機能の後継となる規格。写真や長い文章を送れ、Android の標準のメッセージアプリなどが対応している。今回の dot は、Android ではこれを使う。
- ベータ — 正式版の前に、対象を限って公開する段階。仕様や対象が変わることがあり、今回は米国の Pro 利用者から順に使えるようになっている。
メッセージ一通で頼めるとしたら、あなたが最初に手放したい用事は何だろうか?



