トレーラーハウスを手がける YADOKARI は10月21日、東京都中野区の「令和8年度中野区創業教育推進事業」に、トレーラーハウスを出店の会場として提供すると発表した。中高生が自分たちで考えた店を、10月25日から中野サンプラザ前広場と中野区役所で実際に開く。
店を持つには、まず物件を借りて内装を整えるという高い入口がある。動かせる小さな建物を置けば、その入口を低くして、まず売ってみることができる。その試みが、学校の外の授業として始まる。
中高生が開く店の段取り
事業は中野区と、区から運営を受託した株式会社フィル・イノベーション・ラボが進める。中高生は事前の講義で学んだことをもとに、店のコンセプト、屋号、売る商品、店内の配置、接客までを自分たちで決め、実際のお客に販売する。
店が開くのは次の日程だ。
- 「NAKANO NEW FACE MARKET」 — 中野サンプラザ前広場。10月25日 (日) と11月14日 (土)、いずれも11時〜16時。中野で活動する地域の事業者も同じ会場に店を出す
- マルシェ出店 — 中野区役所の新庁舎1階「ナカノのソトニワ」。11月7日 (土) と8日 (日)、いずれも11時〜16時。学生のトレーラーハウスの店だけが並ぶ
サンプラザ前の市では、中高生は隣に並ぶ地域の事業者が客とどう向き合い、商品の魅力をどう伝えているかを間近に見て、自分たちの売り方に取り入れるという。参加する生徒の人数や学校、置かれるトレーラーハウスの台数は、発表には書かれていない。
「可動産」という考え方
YADOKARI は、トレーラーハウスやタイニーハウスのような動かせる建物を「可動産」と呼ぶ。動かせる建築であり、動かせる資産でもあるという意味だ。置き場所として想定するのは、将来の開発を控えた土地や、一定の期間だけ使える土地など、ふつうの不動産開発では使いにくい場所で、同社はこれを「未活性空間」と呼んでいる。
発表は、トレーラーハウスを使う理由として、店を借りる費用や内装の工事といった最初の投資の負担を下げ、新しく商いを始める人がまず試せる選択肢になることを挙げる。実際の街で小さく始め、求められているか、商売として成り立つかを確かめられるという。過去には、東武鉄道と足立区が組んだ遊休地の活用「たけのつカー&パーク」にも、同社がトレーラーハウスを出している。
今回の取り組みは、空間の活用を事業にするフィル・カンパニーとの提携の第一弾と位置づけられている。フィル・カンパニーは2024年8月に YADOKARI と業務提携を結び、同年9月には YADOKARI と投資契約を結んで資本の面でも関係を深めた。
小さく始めるときに残る手間
入口が低くなるといっても、手間がなくなるわけではない。動かせる建物にも、置かせてもらう土地と、そこを使える期間の取り決めが要る。今回の発表には、トレーラーハウスを借りる費用や、電気や水をどう引くかは書かれていない。自分で店を試したい人が同じ形を考えるなら、そこが最初に確かめる点になる。
それでも、数日だけ店を開き、売れたものと売れなかったものを手元に残せるのは大きい。中高生にとっては、店の始め方を教室の外で一度通しで経験する機会になる。
次に確かめられるのは、10月25日 (日) の中野サンプラザ前広場だ。11時から16時まで、中高生が考えた店が実際に開く。
ことば
- 可動産 — YADOKARI が使う言葉で、トレーラーハウスやタイニーハウスのように動かせる建築・資産のこと。不動産と違って場所を移せるため、期間限定の土地や遊休地でも使い道をつくりやすい。
- 未活性空間 — 開発を控えた土地や、一定期間だけ使える土地など、ふつうの不動産開発では活かしにくい空間。フィル・カンパニーと YADOKARI は、こうした場所に可動産を置く提案を一緒に進めている。
もし数日だけ自分の店を開けるとしたら、あなたは何を売ってみたいだろうか?
