環境省は10月5日、東京・大手町で開いた「第1回サステナブルファッション・パートナー総会」で、官民で進めるキャンペーンのキャッチコピーとロゴマーク「衣替えのこころがけ」を発表した。笹川博義環境大臣が自ら披露し、10月13日には環境省の公式 X でも紹介している。
春と秋の衣替えを、服を入れ替えるだけの作業ではなく、手持ちの服を点検して行き先を決める日にしよう、という呼びかけだ。10月はちょうど秋の衣替えの時期にあたり、クローゼットを開ける手にそのまま関わる。
速報では発表の骨子だけを伝えた。ここでは、このキャンペーンが暮らしの側に何を求めているのかを見ていく。
タンスにハートのロゴと、専門用語を避けたコピー
キャッチコピーとロゴは、環境省・経済産業省・消費者庁が6月5日から7月12日まで公募し、8月の審査委員会で選んだものだ。WWDJAPAN によれば、ロゴはタンスの上にハートが乗った図柄で、タンスが衣替えを、ハートが服への愛着を表す。
同じ報道によれば、審査会の進行役を務めた砥川直大氏は、衣替えを年に2回、服との付き合い方を考え直すきっかけにしたいと説明した。「サステナビリティ」や「リサイクル」といった言葉はあえて避け、一人ひとりと服との接点に立ち返る言葉にしたという。
総会では、大臣が長年使ってきたネクタイを作り直したテディベアも紹介された。キャンペーンを支える「サステナブルファッション・パートナー制度」には、10月5日時点で企業89社を含む121の企業・団体・自治体・大学が参加している (WWDJAPAN)。
環境省が挙げる4つの行動
環境省が8月に示したキャンペーンの資料は、コンセプトを「『衣替え』をきっかけにクローゼットから循環をはじめよう」とし、次の行動を挙げている。
- 今ある服を点検し、手入れしながら大切に着続ける
- 「もう着ない」服はリユースへ、「もう着れない」服はリサイクルへ回す
- 生産地や品質、デザインの面で「価値ある一着」を選ぶ
- リユース品や、バイオ繊維・リサイクル繊維を使った服にも目を向ける
背景には数値目標がある。2030年度に、家庭から手放される衣類のうち捨てられるものを、2020年度より25% (約13万トン) 減らす。環境省は2026年3月にアクションプランをまとめ、このキャンペーンをその柱の一つに置いた。
手放す先が近くにあるとは限らない
4つの行動のうち、暮らしの側でつまずきやすいのは2つ目だ。環境省の資料は、自治体による衣類の回収が約3.5万トン、民間の回収が約2.5万トンにとどまると推計し、課題として、衣類が「資源」だと十分に知られていないこと、回収した衣類を扱う事業者が地域によって偏っていることを挙げている。自治体の回収が無い地域を民間の回収拠点で埋めることも、これからの施策だ。
つまり、「リサイクルへ回す」と決めても、近所にその出し先があるかは住む場所で変わる。回収に出せる服の条件も、出し先ごとに違う。手入れやお直しには時間と費用がかかり、「価値ある一着」を選べば1着の値段は上がりやすい。どれも、呼びかけに乗る前に自分の暮らしで見積もっておきたいコストだ。
パートナー制度に入れるのは企業・団体・自治体・学校で、個人の会員は想定されていない。個人がこのキャンペーンに関わる場所は、店頭や SNS での発信と、自分のクローゼットになる。
確認できる次の一点は、環境省が資料で検討中としている衣類の回収拠点の地図だ。パートナー団体の回収拠点を載せる形が考えられており、自分の住む地域に「もう着れない」服の出し先が載るかどうかが、この呼びかけを実行できるかを左右する。キャンペーンは来年5月ごろの春の衣替えに発信を集中させ、2027年の国際園芸博覧会 (横浜) での展示につなげる予定で、時期や規模は調整中としている。
ことば
- サステナブルファッション — 服の生産から販売、着用、手放すまでの過程で、地球環境や関わる人・社会に配慮する取り組み。環境省は家庭の衣類廃棄を減らす目標の実現手段として位置づけている。
- リユースとリサイクル — リユースは服を服のまま次の人に使ってもらうこと、リサイクルは繊維や素材に戻して別の製品にすること。環境省は「もう着ない」と「もう着れない」で出し先を分けるよう呼びかけている。
- パートナー制度 — 環境省を事務局に、8月に始まった企業・団体・自治体・学校の連携の枠組み。年1回の総会を開き、会員の取り組みを環境省のサイトで紹介する。
今年の秋の衣替えでクローゼットから出した服を、あなたは「もう着ない」と「もう着れない」のどちらに分け、それぞれをどこへ出すだろうか?

