テスラのイーロン・マスク CEO は11月6日、X で、テキサス工場の Cybertruck の生産を来年半ばごろに段階的に終えると投稿した。増やす Cybercab の生産のために場所を空けるという。
Cybercab はハンドルもペダルもない2人乗りの無人タクシー専用車だ。人が買って運転する車の場所を、呼んで乗るだけの車に譲る判断であり、車を持つか呼ぶかを考える材料になる。
投稿が言っていることは1文だけ
投稿の文面は1文で、時期は「around the middle of next year」(来年の半ばごろ) としか書かれていない。終える台数、Cybercab を何台増やすか、販売済みの車の扱いは書かれていない。これは本人の投稿で、会社の決算資料のような数字つきの説明ではない。日本への言及もない。
Cybercab はどこまで来ているか
WardsAuto の9月の報道によると、テスラは9月3日に Austin で Cybercab の有料の配車を始めた。車両は一般には売られておらず、マスク氏は3万ドル未満での販売を約束している。
同じ記事によると、米運輸省の安全規制当局 NHTSA は、テスラが約1,000台を連邦の安全基準に適合すると認証した経緯を調べ始めた。ハンドルやペダル、ミラーのない車で、一部の基準を適用外と判断した点が論点になっている。テスラは基準に適合していると当局へ伝えており、適用除外の申請はしていないという。調査の結論は、9月の記事の時点で出ていなかった。
「持つ」と「呼ぶ」の境目で考えること
呼ぶ車が増えて助かるのは、車に乗る時間が短い暮らしだろう。駐車場と保険、車検の費用を月に直して書き出すと、乗った分だけ払う形と比べられる。免許を返した後の通院や買い物を、誰に頼るかという話にもつながる。
ただ、向かない条件もはっきりしている。2人乗りでは、家族4人の移動やチャイルドシートの出番には足りない。キャンプ道具やまとめ買いの荷物をどこまで積めるかも分からない。走るのは事業者が決めた地域だけで、地方や山あいは後回しになりやすい。自分の車なら自分で決められる出発時刻や行き先も、呼ぶ形では事業者の運行と料金に左右される。車を手放すのは、依存の先を変えることでもある。
東京で見えているのは、別の段階
日本で動きが確かめられるのは、日産・Uber・Wayve が3月12日に発表した東京の計画だ。2026年後半までのパイロットに向けて準備を始めるとし、関係当局との協議が前提で、当初は訓練を受けた安全要員が車内に同乗する。使う車は日産リーフで、ハンドルのない専用車の話とは段階が違う。
次に確かめる先は2つある。年末までに東京のパイロットが動き出したかは日産の公式ニュースルームで、Cybercab の台数と走る地域はテスラの次の四半期決算の資料で見られる。
ことば
- Cybercab — テスラの無人タクシー専用車。2人乗りで、ハンドル、アクセル、ブレーキのペダルを持たない。Austin で有料の配車に使われているが、一般向けの販売はまだ始まっていない。
- NHTSA (米運輸省道路交通安全局) — 米国で自動車の安全基準を所管する当局。メーカーが自ら基準への適合を認証する仕組みなので、その根拠を後から問うことがある。
車を持つのをやめる日が来るとしたら、あなたの暮らしでいちばん困るのはどの移動だろうか?

