本文へ移動
LIFEMAKERS.COM — 自立型ライフの実践知カタログベータ版
Signal観測生き方と宇宙FUTURE LIFE BRIEF

Synspective、レーダー衛星20機の打ち上げを Rocket Lab と契約

Synspective が Rocket Lab と StriX 衛星20機の打ち上げ契約を結んだ。雲の下も見る目は増えるが、その情報が暮らしに届く経路と、今できる備えを整理する。

Synspective、レーダー衛星20機の打ち上げを Rocket Lab と契約のイメージ

この記事でわかること

  • Synspective は10月1日、Rocket Lab と StriX 衛星を打ち上げる20回分の契約を結び、打ち上げは2028〜2031年、累計契約は47機になった
  • SAR 衛星は雲の下でも観測でき、同社は災害対策や環境モニタリングへデータを広げるが、主な受け手は政府機関や企業だ
  • 新しい打ち上げは2028年からで、それまでに個人ができるのはハザードマップの確認など地上側の備えだ

東京の衛星会社 Synspective は10月1日、米 Rocket Lab の小型ロケット Electron で、自社の小型 SAR 衛星「StriX」を打ち上げる20回分の契約を結んだと発表した。打ち上げは2028年から2031年にかけて行う。Rocket Lab との契約は累計47機になり、うち34機がこれから宇宙へ向かう。

電波で地表を測る SAR 衛星は、天候に左右されずに同じ場所を何度も見られる。大雨や地震のあと、雲の下で何が起きているかを確かめる目が、この先数年で増えていくことになる。その情報が暮らしのどこに届くのかを考えておきたい。

13機から47機へ、2社の6年

両社の関係は2020年に始まり、Rocket Lab はこれまでに StriX 衛星13機を打ち上げてきた。直近の13号機は9月26日、ニュージーランドのマヒア半島から打ち上げられ、軌道に入った。Synspective はこの先数か月をかけて観測やデータ取得の機能を確かめるとしている。

今回の20回について、Rocket Lab は Electron の商業契約として過去最大だと発表している。Synspective にとっても最大の打ち上げ契約になる。同社の新井元行 CEO は、Electron の精度と信頼性がコンステレーションを着実に広げるうえで中心的な役割を果たしてきたとコメントした。

打ち上げ手段は1社に絞っていない。9月18日には三菱重工業とも契約し、2027年に種子島宇宙センターから H3 ロケットで StriX 2機を打ち上げる。こちらは中くらいの傾きの軌道に入れ、アジア太平洋を含む災害の多い地域を高い頻度で観測する狙いだ。

雲の下を見る目は、誰の手に渡るのか

Synspective は、データと解析を災害対策、安全保障、環境モニタリングの分野へ広げると説明している。用意しているサービスには、地盤の動きを追う Land Displacement Monitoring や、浸水の被害を見積もる Flood Damage Assessment がある。

これらの主な受け手は、個人ではなく政府機関や企業だ。9月15日に発表した「Synspective OMNIA」も、政府機関や企業が大きな投資をせずに特定の地域の観測枠を確保できる仕組みとして設計されている。同社は StriX で30機以上のコンステレーションをつくる計画を進めている。

暮らしの側から見ると、衛星のデータは自治体の災害対応や、道路・堤防などの点検を通じて、間接的に届くことが多いはずだ。衛星が増えるほど、被害の把握は速くなりうる。一方で、その判断が自分の地域にいつ、どの形で伝わるかは、衛星の数だけでは決まらない。

まだ先の話であること

今回の契約の打ち上げが始まるのは2028年で、すぐに観測が増えるわけではない。13号機も機能の確認はこれからだ。衛星が何機あっても、浸水の予測や避難の判断を個人に代わって下してくれるわけではない。

それまでに個人ができることは地味だ。国土交通省のハザードマップポータルサイトで自宅や職場の浸水想定を見ておく。自治体の防災情報をどこで受け取るかを決めておく。宇宙からの観測が増えても、最初の一歩はこの地上側の準備にある。

次に動きが見えるのは、Synspective のニュースページだ。13号機の機能確認の結果と、2027年の H3 での打ち上げに向けた続報がここに出る。

ことば

  • SAR(合成開口レーダー) — 衛星から電波を当て、跳ね返りを測って地表の画像をつくる観測方式。光に頼らないため、雲がかかっていても観測でき、地面のわずかな沈み込みの変化を追う用途にも使われる。
  • コンステレーション — 多数の小型衛星を連携させて運用する仕組み。Synspective は、単独で持つ衛星では観測が1日数回程度に限られるとし、数を増やすことでより高い頻度の観測を目指している。

大雨のあと、自分の住む場所の状況は誰が、どんな情報をもとに判断しているのだろうか?

参照

あなたの暮らしで、最初に試せることは何でしょうか。