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Starship、初の地球周回で Starlink V3 を26基軌道へ

14 回目の Starship が初めて地球周回軌道に入り、Starlink V3 を 26 基放出した。予定の 10 時間は約 3 時間に短縮。衛星通信の容量が増えるとき、暮らしの側に残る条件は何か。

Starship、初の地球周回で Starlink V3 を26基軌道へのイメージ

この記事でわかること

  • Starship が 14 回目の飛行で初めて地球周回軌道に入り、Starlink V3 を 26 基すべて放出して交信も確立した
  • 約 6 周・10 時間の予定は約 3 時間で切り上げられ、上段のエンジン 1 基の早期停止が報じられている
  • 衛星の容量が増えても、アンテナ・月額・電源・開けた空という使う側の条件は残る

SpaceX の Starship が 9 月 28 日、14 回目の飛行で初めて地球を回る軌道に入った。日本時間 22 時 15 分ごろに軌道投入を終えたと SpaceX が投稿し、22 時 54 分には Starlink の新型衛星 V3 を 26 基すべて放出、その 3 分後には全基との交信が確立したと続けた。

13 回目までの Starship は、積んだ衛星を軌道に残せなかった。今回初めて、運んだものが空に残った。圏外がどれだけ早く減っていくかという暮らしの話に、1 回の打ち上げで積める容量という具体的な数字が入ってきた。

26 基が軌道に残った夜

打ち上げは日本時間 28 日 21 時 48 分ごろ、テキサス州の Starbase から。上段は Raptor エンジン 1 基だけで噴射し、高度およそ 275 km の軌道に乗った。打ち上げ前に示されていた手順が、ここまでは実地で通った。

放出された V3 は Starlink の第 3 世代にあたり、1 基あたり毎秒 1 テラビット級の容量を持つよう設計されている。Starship で打ち上げることを前提にした大型の衛星で、軌道に届いたのは今回が初めてだ。26 基を合わせると、計算上は毎秒 26 テラビットぶんの容量が一晩で空に加わったことになる。

10 時間の予定は、3 時間で切り上げられた

予定どおりにいかなかった部分もある。事前の計画では約 6 周、10 時間近く軌道を回るはずだった。SpaceX は、軌道上でおよそ 3 時間を過ごしたところで機体を太平洋の指定海域へ降ろすと投稿し、飛行を早めに終えた。

打ち上げを追う複数のメディアは、上段の真空用 Raptor エンジン 1 基が早い段階で止まったと伝えている。短縮の理由について、SpaceX 自身は執筆時点で説明を出していない。

機体はその後、太平洋に着水したと報じられている。ただ、着水時の機体の状態については伝え方が分かれている。宇宙でエンジンを再着火して減速し、大気圏に戻る手順が初めて試された回でもあり、どこまで計画どおりだったかは SpaceX のまとめを見るまで確定しない。

容量が増えることと、暮らしで繋がること

衛星の容量が増えれば、利用者の多い地域の混雑が和らぎ、同じ空でより多くの人を受け止められるようになる。山小屋、車中泊、離島、災害で地上の回線が止まった夜。空が見えれば繋がる場面は、1 回で 26 基を運べる輸送手段が回り始めるほど広がっていく。

ただし、今日から何かが変わるわけではない。Starship はまだ機体を回収して何度も使う段階に届いておらず、打ち上げの頻度が上がり費用が下がるのはその先の話だ。今回は軌道に届くことが確かめられた最初の 1 回で、定期便になったわけではない。

使う側にも条件は残る。衛星通信にはアンテナの設置と月々の料金、それを動かす電源、そして空が大きく開けた設置場所が要る。深い森の中や建物に囲まれた場所では、容量がいくら増えても空そのものが見えない。主回線として暮らしを載せるのか、地上が止まったときの予備として持つのかで、要る機材も電源の備え方も変わってくる。

次に確かめられるのは、spacex.com の Flight 14 のページだ。打ち上げ前の計画が飛行後の振り返りに書き換わったとき、何が予定どおりで何が違ったのかが SpaceX の側から揃う。エンジンが止まった理由と着水時の機体の状態は、そこで確かめるのが早い。次の飛行の告知が出るときにも、同じページを開き直したい。

ことば

  • 軌道投入 — 上段が自力で噴射し、落ちずに地球を回り続けられる速さに乗る操作。ここを越えて初めて、積んだ衛星を軌道に残せる。Starship は 14 回目で初めてこの線を越えた。
  • Starlink V3 — Starlink の第 3 世代衛星。1 基あたり毎秒 1 テラビット級の容量を持つよう設計された大型機で、Starship での打ち上げを前提にしている。今回の 26 基が最初の配備になった。
  • 真空用 Raptor — 空気のない宇宙で効率よく噴射できるよう、ノズルを大きくした Raptor エンジン。上段に積まれ、軌道への加速を担う。

衛星の網が太くなっていくとき、あなたはそれを暮らしの主回線として迎えるだろうか、それとも地上が止まった日のための予備として持っておくだろうか?

参照

あなたの暮らしで、最初に試せることは何でしょうか。