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Sunrun と Tesla、家庭の蓄電池14万台から58万kWを送電

カリフォルニアで家庭の蓄電池14万台が58万kW を電力網に送った。Sunrun の CalReady の報酬・残量・時間帯の条件と、電池を貸す側の代償を整理する。

Sunrun と Tesla、家庭の蓄電池14万台から58万kWを送電のイメージ

この記事でわかること

  • 9月9日の夕方、カリフォルニアで家庭の蓄電池14万台超が3時間電力網に送電し、ピークで58万kW を超えた
  • Sunrun の CalReady は報酬が1台年50〜150ドル、放電は午後4〜9時の1〜3時間、電池に最低20%を残す
  • 報酬は小さく、放電日を決めるのは制度と運用会社。電池の寿命への影響は発表で触れられていない

米カリフォルニア州で9月9日の夕方、14万台を超える家庭の蓄電池が3時間にわたって電力網へ電気を送り、ピークで58万kW(580MW)を超えた。住宅用太陽光の Sunrun が9月21日に、Tesla との共同の稼働として発表した。発表は、家庭用の分散型発電所としては過去最大の稼働だとしている。

暑い日の夕方、電気が足りなくなる時間帯を、発電所ではなく家々の電池が埋めた。家に蓄電池を置くかどうかを考えている人にとって、電池の使い道が「停電への備え」だけではなくなりつつあることを示す出来事だ。

9月9日の3時間に起きたこと

Sunrun の発表によると、内訳は次のとおりだ。

  • Tesla の家庭用蓄電池 Powerwall 約11万台が51.7万kW を供給し、そのうち55%は Sunrun が所有または運用している
  • Sunrun が運用する他社製の蓄電池3万台超が6.3万kW を上乗せした
  • 翌9月10日にも、14万kW を超える2回目の放電があった

動かしたのは、州のエネルギー委員会(CEC)の需要側電力網支援(DSGS)と、州公益事業委員会(CPUC)の緊急負荷削減プログラム(ELRP)という二つの制度だ。DSGS は、送電網を運用する CAISO の前日市場で、電気の価格が1MWh あたり200ドルを超えると見込まれた時に発動する。電池は州の大手電力3社の管内に散らばっていた。

Sunrun のメアリー・パウエル CEO は、家庭の蓄電池が多くのピーク用発電所を合わせたより大きな規模で動いていると述べた。同社は、この仕組みが2028年までに州の電気利用者の負担を最大2億600万ドル減らすと見込んでいる。

一軒の家から見た CalReady の条件

Sunrun はこの仕組みを、自社の太陽光と蓄電池の利用者向けに「CalReady」という名で運営している。公式ページに書かれた条件は具体的だ。

  • 対象は、カリフォルニア州で条件を満たす Sunrun の太陽光・蓄電池の利用者。シーズン前にメールで登録の通知が届く
  • 報酬は蓄電池1台あたり年50〜150ドル。上位の CalReady+ では1台150ドル
  • 放電の時間帯は午後4時〜9時のうち1〜3時間。標準の枠では夏のシーズン中に最大60時間
  • 停電に備えて、電池には最低20%を残す
  • 2026年のシーズンは5月1日から10月31日まで。メールでいつでも抜けられるが、シーズン途中で抜けると報酬は受け取れない

家にとっての取引は、電池の一部を夕方の数時間だけ貸し、1台あたり年50〜150ドルの報酬を受け取るというものだ。

束ねる側に回るときの代償

報酬だけを見れば小さい。蓄電池そのものの価格に比べれば、年150ドルで元を取れる額ではない。参加の意味は、電池をすでに持っている人が、遊ばせている容量に小さな値札を付けることにある。

代わりに差し出すものもある。放電中に停電が起きれば、使えるのは残した20%からになる。充放電の回数が増えることが電池の寿命にどう響くかについて、発表は触れていない。どの日に放電するかを決めるのも、家ではなく制度と運用会社の側だ。

日本と比べると、規模の違いが目に入る。東京電力パワーグリッドは2026年度夏の電力不足に備えて追加の供給力を公募し、4月24日に結果を公表した。落札は97.6万kW で、そのうち需要側の調整(DR)は1.8万kW だった。仕組みも目的も違うので単純には比べられないが、カリフォルニアでは一晩で、家庭の電池だけでその6割ほどの電力が動いたことになる。

次に確かめたいのは、このシーズンの締めくくりだ。CalReady の夏のシーズンは10月31日に終わる。Sunrun の投資家向けプレスリリース欄に、シーズン全体の放電回数や参加者への支払い総額が出れば、一晩の記録を超えて、毎夏続けて回る仕組みとしての姿が見えてくる。

ことば

  • 仮想発電所(VPP) — 家庭の蓄電池や太陽光など、散らばった小さな設備を通信でまとめ、一つの発電所のように動かす仕組み。発電所を新しく建てずに、電気が足りない時間帯を埋められる点が注目されている。
  • DR(デマンドレスポンス) — 電気が足りない時間に、使う側が使用を減らしたり、蓄えた電気を出したりして需給を合わせること。報酬と引き換えに、電気の使い方の一部を外に委ねる取引でもある。

家に蓄電池があるなら、その容量のどこまでを自分の備えに残し、どこからを電力網に貸してもよいと思えるだろうか?

参照

あなたの暮らしで、最初に試せることは何でしょうか。