カリフォルニア州のニューサム知事は 9 月 30 日、コンセントに差し込んで使う小型の太陽光発電を対象にした州上院法案 SB 868 に署名した。1 住戸あたり出力 1,200W までの条件を満たす機器なら、電力会社の承認も手数料も求められなくなる。州議会の記録では、同日付で 2026 年州法第 985 章として成立している。
屋根に載せる太陽光は、持ち家で、屋根の条件が合い、まとまった資金を出せる人のものだった。ベランダや庭に置いてコンセントにつなぐ小さなパネルなら、その外にいた人にも発電の入口が開く。ただし法律が片付けたのは電力会社との手続きで、借家の大家や集合住宅の規約については何も定めていない。
SB 868 が「携帯型」と認める 6 つの条件
法文は「携帯型太陽光発電機器」を、次の条件をすべて満たすものと定義する。
- 1 住戸あたりの交流出力が合計 1,200W 以下
- 建物のコンセントで抜き差しする設計
- 自宅で使う電気の一部をまかなう目的
- 全米電気工事規程とカリフォルニア州電気規程の最新版を満たす
- UL (米国の安全認証機関) か同等の試験機関で、差し込み型の太陽光システムとして認証済み
- 停電時に送電網へ電気を逆流させないよう建物の配線から切り離す機能を持ち、その機能も認証済み
条件を満たす機器は、州法や電力会社の規則が定める系統接続の要件から外れる。電力会社は、設置前の承認、機器や送り込む電気に関する手数料、追加の機器の取り付けを求められない。電力会社に許されるのは、住所・メーカー・型番・容量を簡単なオンラインの登録フォームで知らせてもらうことまでで、その届け出を承認の手続きにすることもできない。
期限もある。承認と手数料を不要にする条文は、2030 年 1 月 1 日で効力を失う。同じ日から、コンセントに差し込む型の太陽光機器のうち、電気規程・認証・切り離し機能の条件を満たさないものは、州内で売ることができなくなる。
1,200W の発電で電気代はどこまで減るか
地元の公共放送 KQED は、環境団体 Environmental Working Group のバーナデット・デル・キアロ氏の試算として、400W のパネルで借家に住む人の年間電気代の約 14%、年 250 ドルほどをまかなえると伝えた。1,200W あれば、暑い地域で窓用エアコン 1 台を動かせるともいう。機器の価格は大きさによって 300 ドルから 2,200 ドルほどだ。
数字はあくまで試算で、日当たり、パネルの向き、昼間にどれだけ電気を使うかで大きく変わる。法の定義は自宅の消費をまかなう目的に限っており、余った電気を売る仕組みについては何も定めていない。
停電と賃貸で残る条件
防災の備えとして考えるなら、注意が要る。法の条件どおりなら、機器は停電のとき建物の配線から切り離される。停電中に送電網へ電気が逆流するのを防ぐための条件で、パネルをつないでいても、停電した家のコンセントには電気が来ない。停電に備えたいなら、パネルとは別に、電気をためて自前のコンセントから出せる蓄電池が要る。
借家や集合住宅では、ベランダに機器を置いてよいかは賃貸契約や管理組合の規約次第になる。電力会社への手続きが消えても、建物の持ち主との話し合いは残る。
製品もまだそろっていない。KQED は、いま出回っている製品はこの法律の認証の条件をまだ満たしていないと伝え、ウィーナー上院議員の事務所のスタッフは、対応する製品が手に入るのは 2027 年春と見込んでいる。KQED によれば、差し込み型の太陽光について簡単な手続きを認める法律を持つ州は 8 州で、2025 年 3 月のユタ州がその先がけだった。
確かめられる次の一点は、2027 年春に向けて UL の認証を得た製品が出てくるかだ。あわせて、PG&E など州内の電力会社が登録フォームをどんな形で用意するかが、手軽さを左右する。
ことば
- 系統接続 — 自宅の発電設備を電力会社の送電網につなぐこと。屋根の太陽光では申請と承認、機器の確認に時間と費用がかかり、SB 868 は 1,200W までの差し込み型をこの手続きから外した。
- UL — 米国の安全認証機関 Underwriters Laboratories。電気製品が火災や感電の基準を満たすかを試験する。SB 868 は差し込み型の太陽光にこの種の認証を条件として求めている。
もし日本でも同じ仕組みが整ったら、あなたは自分の住まいのどこで発電を試してみたいだろうか?