20歳になる前の病気やけがで障害が残った人が受け取る障害基礎年金について、本人の所得によって支給を止める基準額が、2026年10月分から引き上げられた。日本年金機構が10月13日に X で知らせた。全額が止まるのは前年の所得が491万8000円を超える場合、半分が止まるのは385万8000円を超える場合になる。
特別障害給付金も同じ額に改められた。働きながら年金を受け取っている人や、その家族の家計に関わる変更だ。何が変わり、自分の場合をどこで確かめればよいかを整理する。
2つの線が、それぞれ上がった
厚生労働省が7月15日に出した通知によると、改定は次のとおりだ。
- 全額停止の線: 所得479万4000円超 → 491万8000円超
- 半分停止の線: 所得376万1000円超 → 385万8000円超
- 適用: 2026年10月分の年金から
20歳前の傷病による障害基礎年金は、保険料を納めたことを条件にしない。そのぶん、本人に一定以上の所得があると支給を止める仕組みが付いている。この基準を見る期間は10月分から翌年9月分までで、毎年、前の年の所得で判断される。
厚労省は改定の理由を、受給者全体の前の年の所得が上がっていることなどを踏まえ、前の年に受け取っていた人が翌年も引き続き受け取れるようにするという考え方にもとづくと説明している。賃金が上がっても、基準額が据え置かれたままだと、同じ暮らしぶりのまま支給停止の線を越えてしまう。それを防ぐための見直しだ。
同じ通知で動いたほかの制度
同じ政令と省令で、関連する制度の基準額もそろって改められた。
- 特別障害給付金: 障害基礎年金と同じく、385万8000円超で半分停止、491万8000円超で全額停止。2026年10月分から
- 障害年金生活者支援給付金・遺族年金生活者支援給付金: 所得基準額を479万4000円から491万8000円へ。2026年10月分から
- 障害児福祉手当など: 所得基準額を366万1000円から375万8000円へ。こちらは2026年8月分から
自分の場合を確かめるときの3つの注意
境目の近くにいる人ほど、今回の改定の影響は大きい。たとえば扶養親族がいない人で、前の年の所得が485万円だった場合、これまでは全額停止の線を超えていたが、10月分からは半分停止の範囲に入る (編集部の計算)。2級の年金額は年84万7300円なので、半分の42万3650円が支給される計算になる。
ただし、確かめるときには次の点に気をつけたい。
- 「所得」は「収入」ではない: 基準はお給料の額面ではなく、給与所得控除などを引いたあとの所得で見る。額面の収入で比べると判断を誤る
- 扶養親族による加算: 扶養親族が1人いるごとに、基準額に38万円が足される。老人扶養親族などは48万円、19歳未満や特定扶養親族などは63万円になる
- ほかの年金や給付との調整: 恩給や労災保険の年金などを受け取っている人は、その額に応じて障害基礎年金の額が調整される
個別の判断は、日本年金機構の年金事務所か、住んでいる市区町村の国民年金の窓口で確かめられる。次に見るのは、日本年金機構の「20歳前の傷病による障害基礎年金にかかる支給制限等」のページだ。新しい基準額と加算額、2級・1級の支給額がまとめて載っている。
ことば
- 20歳前の傷病による障害基礎年金 — 国民年金に加入する前の20歳未満で初めて診察を受けた病気やけがで障害が残った人に支給される障害基礎年金。保険料の納付を条件にしない代わりに、本人の所得による支給の制限がある。
- 特別障害給付金 — 国民年金への加入が任意だった時期に加入しておらず、障害基礎年金を受け取れない学生や主婦などだった人のための給付。こちらも本人の所得による制限がある。
あなたやあなたの家族の所得は、新しい2つの線のどちら側にあるか、額面の収入ではなく所得で確かめたことはあるだろうか?
