環境省は令和9年度 (2027年度) の概算要求で、エネルギー対策特別会計から総額5151億円をネット・ゼロ社会の実現に向けた予算として求めている。脱炭素ポータルの解説によると、そのうち断熱窓への改修などで住宅の省エネを後押しする事業に980億円、ペロブスカイト太陽電池の導入支援に280億円が充てられている。
5151億円のうち、家の暮らしに直接触れる事業は「第一の柱」にまとまっている。第一報は「環境省、脱炭素推進に5,151億円を要求 ペロブスカイト太陽電池や住宅断熱改修に配分」で伝えた。ここでは、家に関わる事業の額と、要求の段階でまだ分からないことを見ていく。
家に近いのは「第一の柱」の3131億円
環境省は要求を4つの柱に分けている。家や地域の暮らしに関わるのは第一の柱「脱炭素でレジリエントかつ快適な地域・くらしの創造」で、要求額は3131億円だ。ポータルが例として挙げる主な事業は次のとおり。
| 事業 | 要求額 |
|---|---|
| 断熱窓への改修促進等による住宅の省エネ・省CO2加速化支援事業 | 980億円 |
| 脱炭素志向型住宅の導入支援事業 | 500億円 |
| ペロブスカイト太陽電池の社会実装モデルの創出に向けた導入支援事業 | 280億円 |
| 特定地域脱炭素移行加速化交付金 | 80億円 |
| 業務用建築物の脱炭素改修加速化事業 | 67億円 |
| データセンター等デジタル基盤の脱炭素化支援事業 | 46億円 |
| 「デコ活」による脱炭素社会実装事業 | 18億円 (ほかに一般会計5億円) |
| 地域資源を活用したレジリエントなエネルギー循環・経済成長促進事業 (新規) | 10億円 |
5151億円全体のうち2750億円は、GX経済移行債を使う GX推進対策費だ。残りの柱は、物流や工場など供給網全体の脱炭素 (1606億円)、先導技術の実証と情報基盤 (235億円)、国際協力 (174億円) に充てられる。
窓と住まいに1480億円
金額で見ると、第一の柱のおよそ半分を住宅の2事業が占める。窓の断熱改修を中心とする事業が980億円、脱炭素を志向した住宅の導入支援が500億円で、合わせて1480億円になる。
窓は家の熱が出入りしやすい場所で、断熱窓への交換は、冷暖房に使う電気やガスを減らす手段として補助の対象になってきた。ペロブスカイト太陽電池は、薄く軽く曲げられる太陽電池で、これまで載せにくかった壁や軽い屋根にも付けられる可能性がある。ただし今回の280億円の事業は「社会実装モデルの創出」に向けた導入支援で、ポータルの説明からは、個人の家が直接の対象になるかどうかまでは分からない。
要求の段階で、まだ分からないこと
概算要求は、各省が財務省に出す予算の見積もりで、まだ決まった予算ではない。例年12月に政府の予算案がまとまり、国会で成立して初めて確定する。要求額が予算案で削られることもある。
家の側から見ると、分からないことはまだ多い。1件あたりいくら補助されるのか、どんな窓や住宅が対象になるのか、いつから申し込めるのかは、事業ごとの公募の要領で決まり、今回のポータルの記事には書かれていない。補助があっても工事費の残りは自己負担で、賃貸の家では窓の交換を自分だけで決められない。家の建て替えや改修をこの1〜2年で考えている人にとっては、着工の時期と補助の受付の時期が合うかどうかも分かれ目になる。
次に確かめるのは、年末にまとまる令和9年度の政府予算案だ。環境省のウェブサイトで、980億円・500億円・280億円がそれぞれいくら残るか、その後に出る各事業の公募要領で、補助の単価と受付の時期を見たい。
ことば
- エネルギー対策特別会計 (エネ特) — 石油石炭税などのエネルギー関係の税収を財源に、エネルギー対策に使い道を限って管理する国の会計。環境省の脱炭素の補助事業の多くは、ここから出ている。
- GX経済移行債 — 脱炭素への移行 (GX) を進める投資のために国が発行する国債。将来の炭素への賦課金などで返す仕組みで、今回の要求のうち2750億円がこの財源を使う。
- ペロブスカイト太陽電池 — ペロブスカイトと呼ばれる結晶の構造を持つ材料で光を電気に変える太陽電池。薄く軽く作れるため、重い太陽光パネルを載せにくい場所への設置が期待されている。
窓を替える、屋根や壁で発電する。この1〜2年で家に手を入れるなら、補助の受付を待つのと先に動くのと、あなたはどちらを選ぶだろうか?
