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LG の録音疑惑で見直すテレビの視聴記録設定

LG のテレビをめぐる録音疑惑の陰で、ほぼすべての現行機に視聴記録の仕組み ACR が入っている。止めるかどうかは初期設定の同意画面で決まる。手間と引き換えに、どこまで切るか。

LG の録音疑惑で見直すテレビの視聴記録設定のイメージ

この記事でわかること

  • LG は常時録音を否定。録音の挙動が見えたのは、検証者が管理者権限を奪ったあとの条件だった
  • 視聴内容を特定する ACR はほぼすべての現行機に入り、呼び名はメーカーごとに違う
  • 必須の規約だけに同意する、設定後に追跡項目を切る、ネットから外す。どこまでやるかは手間との取引

米テック媒体 The Verge のテレビ担当レビュアー John Higgins 氏が 9 月 19 日、「LG だけではない。すべてのテレビメーカーがあなたを見ている」と題した記事を出した。発端は YouTube チャンネル Gamers Nexus が公開した 2 時間 15 分の検証動画で、LG のテレビは電源が切れて見える状態でも音声を記録しうると主張した。LG は 9 月 12 日の声明で「会話を常時録音したり送信したりはしていない」と否定している。

騒ぎの中心は録音の疑いだが、家の中で手を打てるのは別の場所だ。テレビが「いま何を映しているか」を記録する仕組みは、同記事によればほぼすべての現行機に入っていて、初期設定の同意画面で止めるかどうかが決まる。

視聴記録の仕組み ACR は何をしているか

The Verge の説明では、ACR (自動コンテンツ認識) はテレビに映っている映像や音声の断片を短い識別用のデータに変え、外部のデータベースに照合して、何を見ているかを特定する。対象は内蔵アプリで再生したものに限らず、HDMI などの端子から入ってきた映像も含まれる。おすすめの表示や、視聴傾向にもとづく広告、視聴率の計測に使われる。

メーカーごとに呼び名が違う点も書かれている。Enhanced Viewing、Smart TV Experience、Samba Interactive TV といった名前で出てくるため、同意画面で ACR の文字を探しても見つからないことがある。

Higgins 氏は、テレビの価格が下がり、赤字で売るメーカーもある一方で、その穴を視聴データの販売で埋めていると書き、Walmart が 2024 年に Vizio を買収した理由もそこにあるとしている。

LG の説明と、検証動画が示したもの

LG の声明は、ACR も音声認識も興味関心にもとづく広告も任意の機能で、初期状態では有効になっていないと説明する。ACR は本体内部の音声処理で音の指紋を取るもので、画面のスクリーンショットや録画、録音は集めないという。一方で、ACR を有効にした場合、その情報が視聴者の分類や視聴傾向の分析に使われうることも声明に書かれている。

検証動画の側は、同意の取り方を問題にした。The Verge によると、動画に映った LG のテレビは初期設定で 6 つの規約を並べ、そのうち ACR への同意も含まれていた。先へ進むのに必須なのは 2 つだけなのに、カーソルは最初から「すべて選択」に置かれていた。初期状態で無効という LG の説明と、画面の上で同意へ誘導される作りは、どちらも事実として並んでいる。

電源が切れて見える状態での録音については、The Verge は慎重に書いている。動画の中でそれが可能になったのは、検証に加わった Level1Techs が、ネットワークへの接続を要するという脆弱性を突いてテレビの管理者権限を奪ったあとのことだった。ネットワークに入り込まれれば弱点になるという意味で本物の問題だが、ふだんの使い方で起きている話とは切り分けられる。音声検索のあと 10〜15 秒ほど録音が続くという指摘もあったが、離れた場所の声まで拾えたのは、検証側が遠くの音を拾うマイク設定を有効にし、感度を上げたうえでの結果だった。

家で決められること、決められないこと

Higgins 氏が自分でやっている手順は具体的だ。初期設定では、テレビが動くのに必要な規約だけに同意する。設定が終わったら全メニューを見て、広告や追跡に関わる項目を切る。文言はおそらく意図的に分かりにくく書かれているので、読み飛ばさない。テレビにログインする用のメールアドレスを、ふだんのものと分けておく。音声操作は使わないか、信頼できるメーカーの外付け機器で使う。

さらに進めるなら、テレビを Wi-Fi にも有線にもつながず画面としてだけ使い、映像は外付けのストリーミング機器から流す方法がある。同氏が使う Apple TV 4K は、同氏によれば ACR を使っていない。ただし、この方法には費用と手間がかかる。外付け機器を買う必要があり、テレビ内蔵のアプリは使えなくなる。そして動画配信サービスは、どの機器で見ても自社アプリの中での視聴を記録している。

同氏は、テレビや配信サービスにデータを集められるのを完全に防ぐ方法は、少なくともいまは無いと書く。記事の中で米国の電子フロンティア財団 (EFF) の担当者は、事前の明示的な同意を義務づけ、集めるデータを必要な範囲に絞らせる包括的な連邦プライバシー法が要ると述べている。個人の設定で届く範囲には限りがある、というのが記事全体の前提だ。

確かめられる次の一点は、自宅のテレビの設定メニューにある。視聴情報、コンテンツ認識、広告に関わる項目がいまどうなっているかは、今日でも開いて見られる。次にソフトウェア更新や初期化で規約の画面が出たときは、「すべて選択」を押す前に、必須の項目がどれかを確かめておけばいい。LG の声明ページには設定の管理方法を含む質疑も付いている。

ことば

  • ACR (自動コンテンツ認識) — 画面に映る映像や音声の断片から、いま何が再生されているかを特定する仕組み。おすすめや広告、視聴率の計測に使われ、テレビの初期設定で同意を求められる項目の一つになっている。
  • 管理者権限を奪う (root 化) — 機器の最上位の操作権限を取り、メーカーが想定しない動作をさせること。今回の検証で録音の挙動が見えたのはこの状態での話で、ふだんの利用状態とは条件が違う。
  • 同意の誘導 — カーソルを最初から「すべて選択」に置くなど、利用者が意図せず多くの項目に同意するよう画面を作ること。今回、検証動画と EFF の双方がこの点を問題にしている。

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参照

あなたの暮らしで、最初に試せることは何でしょうか。