米国のロケット会社 Rocket Lab は10月14日、開発中の再使用型ロケット Neutron (ニュートロン) の初飛行が2027年にずれ込む見通しだと発表した。同じ日に米証券取引委員会 (SEC) へ出した臨時報告書では、製造工程の改善を取り入れながら開発を続けているため、初飛行は「来年へ移る見込み」だと説明している。
ロケットの予定が動けば、その上に載るはずだった衛星の予定も動く。宇宙から届くインターネットや地表の観測が暮らしの道具になりつつある今、1機の中型ロケットの遅れがどこに響き、どこには響かないのかを整理する。
8月の「年内に発射台へ」から2か月
Rocket Lab は8月10日の四半期決算の発表で、1段目のタンクの製造が「2026年第4四半期に Neutron を発射台へ届ける目標に沿っている」と書いていた。今回の発表は、その目標から一歩下がった形になる。
SEC への書面が理由として挙げるのは、製造工程の改善を取り入れながら開発を続けていることだけだ。主要な製造と試験の節目は進んでいるとし、今後も進み具合を知らせるとしている。詳しい説明は同社の投資家向けサイトに載せた資料にあるというが、プレスリリースにも書面にも、2027年のいつを目指すのかは書かれていない。
小型の Electron と、中型の Neutron
Rocket Lab はこれまで、小型ロケット Electron で小さな衛星を打ち上げてきた。Neutron はより重い荷物を運ぶ中型のロケットで、打ち上げた機体を回収して再び使うことを前提に設計されている。同社は自社を、ロケットだけでなく衛星そのものや部品まで手がける会社と位置づけ、その衛星や部品は地球を回る軌道で1,700を超えるミッションを支えてきたとしている。
8月の発表では、米宇宙軍の計画に向けて複数の衛星をつくり、Neutron で打ち上げる3億9,700万ドルの契約も明らかにしていた。Neutron に載ることが決まっている衛星は、初飛行の時期と一緒に動く。
1年の遅れは、暮らしのどこに届くか
衛星を使ったインターネットや、災害のあとに地表を撮る観測衛星は、少しずつ身近な道具になってきた。こうしたサービスを広げるには、衛星をまとめて、繰り返し、手ごろな値段で打ち上げる手段が要る。機体を使い回す再使用ロケットは、その値段を下げる道具として期待されてきた。
ただ、Neutron の遅れがそのまま利用者の不便に変わるわけではない。打ち上げの手段はほかにもあり、衛星を運ぶ側も予定に余裕を持たせて計画を組む。遅れが効いてくるのは、Neutron に載ることが決まっていた個別の衛星と、選べるロケットが増えることで見込まれていた打ち上げ費用の下がり方のほうだ。後者は目に見えにくく、何年もかけてじわじわ届く。
新しいロケットは、初飛行のあとも、安定して飛べることを示すまでに時間がかかる。2027年に初飛行を迎えたとしても、商業の衛星を定期的に運ぶまでにはもう一段の時間を見ておくのが自然だ。
確認できる次の点
次に見るのは、Rocket Lab の次の四半期決算の発表だ。8月10日の第2四半期に続く発表で、2027年のどの時期を目指すのか、1段目のタンクの試験がどこまで進んだのかが示されるかが焦点になる。あわせて、SEC に出される臨時報告書 (8-K) と、同社の投資家向けサイトの資料が一次の確認先になる。
ことば
- 再使用ロケット — 打ち上げのあと機体を地上や海上に戻し、点検して再び飛ばすロケット。使い捨てに比べて1回あたりの打ち上げ費用を下げられると期待され、衛星を数多く打ち上げる時代の前提になりつつある。
- 臨時報告書 (8-K) — 米国の上場企業が、投資家の判断に関わる出来事があったときに SEC へ出す書面。今回の延期も、プレスリリースと同じ日にこの形で届け出られた。
衛星から届くインターネットや地図、天気の情報のうち、あなたの暮らしで「もう無いと困る」ものはどれだろうか?