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GPT-Rosalind の学術プラン、米国の研究室に30席を12か月無料

OpenAI が GPT-Rosalind の学術プランを開始。米国の大学の研究室に ChatGPT Business の席を最大30人分・12か月無料で提供し、GPT-Rosalind 本体は別の審査を通った研究室だけが使える。

GPT-Rosalind の学術プラン、米国の研究室に30席を12か月無料のイメージ

この記事でわかること

  • OpenAI は10月15日、Rosalind Academic Plan を開始。米国の大学の研究室に ChatGPT Business の Standard 席を最大30人分・12か月無料で提供
  • GPT-Rosalind 本体は trusted access の審査を通った研究室のみ。API は含まれず、Zero Data Retention も選べない
  • 審査では PI の身元と研究の使い道を確認し、大学の生物安全の担当者の指名も必須。日本の研究室・個人は対象外

OpenAI は10月15日 (米国時間)、生命科学向けの AI モデル GPT-Rosalind を大学の研究室に届ける Rosalind Academic Plan を始めた。審査に通った研究室は、ChatGPT の業務向けプランの席を最大30人分、12か月のあいだ無料で使える。

無料になるのは席のほうで、GPT-Rosalind そのものは別の審査を通った研究室にだけ開く。申し込めるのは今のところ米国の大学の研究室に限られ、日本の研究室も、所属のない個人の研究者も対象に入らない。

速報では発表の骨子だけを伝えた。ここでは、何が無料で何が無料でないのか、そして生命科学の AI を使える人をどう決めているのかを見ていく。

30席・12か月・API なし

OpenAI の発表とヘルプセンターの案内によると、承認された研究室が受け取るのは次の三つだ。

  • ChatGPT Business の Standard 席を最大30人分、12か月無料 (席には ChatGPT と Codex が含まれる)
  • 一般に提供されている OpenAI の最新モデル群 (プランの利用上限つき)
  • 審査を通ったあとの GPT-Rosalind の利用

含まれないものも書かれている。API (プログラムから直接モデルを呼び出す仕組み) の利用やクレジットは入っていない。30席を超える分はサポートへの相談になり、別の有料ワークスペースを作っても無料枠や承認は引き継がれない。設定の時点で支払いカードの登録を求められ、無料期間が終わったあとの条件は、承認時に受け入れるオファーで確かめるよう案内されている。

研究室で扱うデータは、既定ではモデルの学習に使わないとしている。一方で、データを保存しない設定 (Zero Data Retention) はこのプランでは選べず、ワークスペースの通常の保存の扱いに従う。研究データを入れる前に大学の規則を確かめるよう、案内は求めている。

席より重い、利用者の審査

GPT-Rosalind は、創薬やたんぱく質の設計、ゲノム解析、実験の補助といった生物学の作業に向けた専用モデルだと OpenAI は説明する。扱う問いの中には、悪用されれば危険になりうるものも含まれる。そのため利用は、OpenAI が trusted access (信頼できる利用者に限って開く仕組み) と呼ぶ審査を通った研究室に絞られている。

審査で見るのは、機関が実在するか、申請する PI (研究室を率いる主任研究者) の身元と経歴、研究の中身と使い道だ。身元の確認は Persona という外部の確認サービスが担う。さらに大学の安全管理部門などから、生物安全の担当者を1人指名しなければならない。この担当者は、誰に使わせるかの判断や、問題が起きたときの対応を OpenAI とともに受け持つ。

承認のあとも監視は続く。PI は研究室で唯一のワークスペース管理者になり、メンバーの出入りに責任を負う。加えられるのは PI と同じ大学のメールドメインを持つ人だけで、他大学の共同研究者や訪問研究者は入れない。ワークスペースに入っただけでは GPT-Rosalind は使えず、PI が1人ずつ有効にする。

値段を下げたぶん、使う人の顔と責任の所在をはっきりさせる。このプランはそういう作りになっている。

研究室の外から見えること

発表は、ヒトゲノム計画や CRISPR-Cas9、mRNA ワクチンが大学の基礎研究から育った例を挙げ、その段階の研究に AI を入れたいという考えを述べている。病気の理解や食料システムにつながる発見を後押ししたいとも書く。ただ、このプランからどの発見がいつ暮らしに届くかは、今の時点では誰にも言えない。

日本にいる読者が当事者になる道は、今のところない。米国外から申込画面を開くと、審査の前に通常の ChatGPT へ戻されることがあるとヘルプセンターは書いている。それでも、生命科学向けの AI を広く売る前に、審査した研究室へ配る形が先に決まったことは見ておきたい。ほかの分野や国に広がるとき、この審査の枠組みがそのまま持ち込まれる可能性がある。

確認できる次の点

次に見るのは、OpenAI ヘルプセンターの「Rosalind Academic Plan」の案内ページだ。FAQ には「今のところ米国の大学に属する研究室からの申し込みだけを受け付けている」という一文がある。対象国や API の扱い、無料期間のあとの条件が変われば、このページが書き換わる。

ことば

  • GPT-Rosalind — OpenAI の生命科学向けの専用モデル。創薬や遺伝子解析などの道具をまとめて動かす作業場 (Rosalind Workbench) と組み合わせて使う。悪用の懸念がある分野を扱うため、審査を通った研究者にだけ開かれている。
  • PI (主任研究者) — 研究室を率い、研究費と研究の中身に責任を持つ研究者。このプランでは申請者であり、メンバーの出入りと利用の範囲を決める唯一の管理者になる。

生命科学の AI を誰に使わせるかを、価格ではなく審査と責任の所在で決める。研究の外側にいるあなたは、その線引きのどこを確かめておきたいだろうか?

参照

あなたの暮らしで、最初に試せることは何でしょうか。