茨城県と東京都小平市の公式ホームページが、10月7日から閲覧できない状態にある。茨城県は、サイトの運用を委託している事業者が使うクラウド (IDCフロンティアの「IDCFクラウド」) がランサムウェア攻撃を受けたことが原因だと公表した。
9日の夕方になっても、両方とも本来のサイトは戻っていない。それでも、電子申請や施設の予約といった手続きの多くは、別のシステムで動き続けている。どこから入れば手続きに届くのかを整理する。
茨城県は29項目の臨時ページ
茨城県の公式 X によると、障害は7日から続いている。茨城新聞の報道では、7日午前4時15分にデータセンターのサーバーの電源が落ち、午前8時に委託先から県へ報告があった。県と県警の両方のサイトが見られなくなった。
県は8日、別のサーバーで動いている仕組みにつながる暫定版のページを開いた。報道によると、集めたリンクは29項目で、次のようなものが含まれる。
- いばらき電子申請・届出サービス
- 物品などの入札を行う電子調達システム
- 救急・医療、防災、子育ての各ポータルサイト
- 県警の運転免許更新・学科試験の予約システムと、遺失物のページ
県のトップページは9日17時の時点でも、この臨時のページを表示している。本格的な復旧のめどは立っていない。県は電子申請や災害情報など、急ぎの情報から順に載せていく方針だという。個人情報の漏えいは、現時点ではないとされている。
小平市は問い合わせフォームの情報に流出の恐れ
小平市のトップページは、9日14時の時点で「システム障害により市ホームページが閲覧できない状態」と案内している。そのうえで、障害の間も使えるサービスへのリンクを並べた。粗大ごみの申し込み、公共施設の予約、電子申請、マイナンバーカードの窓口予約、市立図書館、地図情報、子育て関連の予約だ。各課の電話番号の一覧と、代表電話 (042-341-1211) も載っている。
日本テレビの報道によると、市は原因を、サイトの保守管理を委託している事業者が使うクラウドサービスへのランサムウェア攻撃だと説明した。問い合わせフォームなどを通じて市が受け取った個人情報が流出した可能性があるとしている。小平市はクラウドの事業者名を明らかにしていない。
サイトが止まっても、窓口は別の場所にある
二つの自治体に共通するのは、止まったのが「お知らせを載せる場所」で、手続きの仕組みそのものは別に動いていることだ。小平市の一覧を見ると、粗大ごみの申し込みや施設の予約、電子申請は、市のサイトとは別のアドレスで動いている。
裏返せば、普段トップページからたどっていた人ほど、入り口を失う。よく使う電子申請や予約のページは、そのページ自体をブックマークしておくと、今回のような時にも迷わない。自治体の公式 LINE や X は、サイトが止まった時の連絡手段にもなる。小平市は、両方への案内をトップページに載せている。
限界もある。申請書の様式を印刷して出す手続きや、サイトにしか載っていなかった案内は、復旧するまで手に入りにくい。締め切りが近い手続きを抱えているなら、期限の扱いも含めて担当課へ電話で聞くのが確実だ。
IDCFクラウドを運営するIDCフロンティアの10月8日の第3報によると、影響を受けたのは東日本リージョン1の一部で、495の企業・自治体に及ぶ。対象の区画のデータは取り出しや復元が難しく、利用者が持つバックアップからしか戻せない見通しだという。
次に見るのは、茨城県と小平市それぞれの臨時ページの更新時刻と、両自治体の公式 X だ。本来のサイトがいつ戻るか、小平市の問い合わせフォームの情報が実際に流出したかどうかは、そこで先に知らされる。
ことば
- ランサムウェア — 侵入したコンピューターのデータを暗号化して使えなくし、元に戻す代わりに身代金を求めるコンピューターウイルス。暗号化の前にデータを盗み出す手口もあり、情報流出の調査が並行して行われる。
- 暫定版のホームページ — 本来のサイトが使えない間、別のサーバーに用意する簡易な入り口。最低限のお知らせと、ほかのシステムで動いている手続きへのリンクを集めておく。
あなたがよく使う自治体の手続きのページは、役所のトップページを通らずに開けるだろうか?
参照
- 茨城県公式 X の第2報 (10月7日からの県ホームページ障害・委託先が利用するクラウドへのランサムウェア攻撃)
- 茨城県 公式サイト (10月9日17時現在、臨時のページで表示)pref.ibaraki.jp
小平市 公式サイト (10月9日14時現在の障害案内・利用できるサービス・代表電話)小平市公式ホームページ- 茨城新聞 (障害の時刻・暫定版ホームページ29項目・個人情報漏えいなし)ibarakinews.jp
日テレNEWS (小平市の説明・個人情報流出の可能性)Yahoo!ニュース
IDCフロンティア 第3報 (影響範囲・495の企業と自治体・データ復元の見通し)株式会社IDCフロンティア