OpenAI が 9 月 22 日、GPT-6 系の新しい 2 モデル、GPT-6 Sol と GPT-6 Luna を公開し、API の従量価格を前世代の半分に置いた。同じ日には Anthropic も Claude Opus 5.5 を出して価格を下げており、AI に作業をやらせるときの単価が一日のうちに二度動いたことになる。
公式の価格表では Luna が 100 万トークンあたり入力 0.10 ドル・出力 0.50 ドル、Sol が入力 2 ドル・出力 10 ドルだ。TechCrunch によれば 2 社の発表は 90 分ほどしか離れていない。ただし下がったのは API の従量価格で、手元の月額料金ではない。個人が自分のために AI を回すとき、どこまでが安くなってどこが変わらないのかは分けておきたい。
半分になったのは、どの値段か
OpenAI が告知に書いたのは、Sol と Luna の API 価格は GPT-5.6 のプロモーション価格と比べて 50% 低い、という言い方だった。比較の相手は通常価格ではない。期間限定で下げていた価格が基準になっている。
公式の価格表を並べると、数字はそれより素直だ。GPT-5.6 Sol が 100 万トークンあたり入力 4 ドル・出力 20 ドル、GPT-6 Sol が入力 2 ドル・出力 10 ドル。ちょうど半分に置かれている。Luna はさらに下で、入力 0.10 ドル・出力 0.50 ドル。Sol の 20 分の 1 だ。キャッシュから読み出す入力なら 0.01 ドルまで落ちる。
据え置かれた行もある。最上位の GPT-6 Astra は入力 10 ドル・出力 50 ドルのまま価格表に残っている。値下げが入ったのは、量をこなす層だった。
もう一社は、キャッシュの読み出しを下げた
Anthropic の Claude Opus 5.5 は入力 4 ドル・出力 20 ドルで、前の Opus 5 の 5 ドル・25 ドルから 20% 下がった。大きく動いたのは別の行だ。キャッシュの読み出しが 100 万トークンあたり 0.50 ドルから 0.20 ドルへ、60% 下がっている。公式発表はその理由を、エージェントやコーディングの作業では費用の大半がキャッシュ読み出しだからと説明し、既定の設定なら典型的な作業で Opus 5 より 40% 安くなるとしている。
2 社の下げ方は違う。OpenAI は表の単価を一律で半分にした。Anthropic は表を 2 割下げたうえで、同じ資料を繰り返し読み直す使い方に配分を寄せた。どちらが自分にとって安いかは、使い方によって変わる。
単価が半分でも、請求は半分にならない
請求額は単価とトークン量の積だ。単価が半分になっても、任せる作業が倍のトークンを使えば元の位置に戻る。手順ごと AI に任せる使い方は、トークンを増やす方向に働く。
0.01 ドルというキャッシュ入力の値段も条件つきである。同じ前置きを繰り返し読ませる設計にしたときだけ効く。毎回違う指示を投げる使い方では、表の単価がそのまま乗る。
安い層に全部寄せる選択にも代償がある。OpenAI は Sol について、前世代の約半分しか間違えず、はるかに低いコストで Astra 級の信頼性に届くと説明している。それでも Astra は価格表から消えていない。
Luna は要約や抽出、短い応答のような量の多い定型作業の側に置かれたモデルだ。どの作業をどの層に振るかを決める手間は、値下げでは消えない。
月額プランだけを使っている人には、この値下げは直接届かない。入口もプランによって違う。GitHub Copilot では Sol が Pro+・Max・Business・Enterprise、Luna が Pro を含む各プランで、いずれも従量課金として使えるようになった。
自分はどう構えるか
やることが決まっている作業なら、安い層に降ろす余地は確かに広がった。長い文章を要約する、届いた連絡から日付と金額を抜く、手元の記録に短く答える。この種の処理は Luna の価格帯なら、回数を気にせず回せる領域に入ってくる。
向かないものもある。判断が要る作業、間違いが後で高くつく作業、そして一度きりで前置きを共有できない作業。ここで安い層に降ろすと、節約した分は検算の手間で戻ってくる。
確かめる先は決まっている。OpenAI の API 価格ページと Anthropic の価格ページは、改定のたびに書き換わる一次の表だ。すでに API を使っているなら、次の請求のタイミングで見るのは単価ではなくトークン量の側になる。単価が半分になった月に総額が下がらなければ、理由は価格の外にある。
ことば
- GPT-6 Luna — OpenAI が 9 月 22 日に公開した廉価側のモデル。要約や抽出のような量の多い定型処理に向けて置かれ、100 万トークンあたり入力 0.10 ドル・出力 0.50 ドルで使える。
- キャッシュ入力 — 同じ前置きを繰り返し送るとき、二度目以降を割引価格で処理する仕組み。Luna では 100 万トークンあたり 0.01 ドル、Opus 5.5 では 0.20 ドルまで下がる。
- トークン — AI が文章を処理するときに数える、語より細かい断片の単位。価格が 100 万トークン単位で示されるのは、課金がこの単位で行われるからだ。
単価が半分になった分で、あなたは何を増やすだろうか?