Boston Dynamics は 9 月 21 日、ヒト型ロボット Atlas を自動車工場の仕事に慣らすための訓練拠点を開いたと発表した。場所は米ジョージア州サバンナにある現代自動車グループの工場 Metaplant America で、名称は Robotics Metaplant Application Center (RMAC) という。
ヒト型ロボットが家や倉庫の実演を離れて、実際の製造現場の中で仕事を覚え始めた。人の横で働くロボットがどんな順番で職場に入ってくるのか、その最初の段がここに見えている。
最初に覚えるのは、組み立てではなく部品の並べ替え
発表によれば、RMAC は Atlas を現代自動車グループの自動車製造に直接組み込むための試験場であり、訓練の場だ。ロボットは実際の環境で訓練を受けていて、その例として挙がっているのが、組み立ての前に自動車部品の物流と順序を整え、正しい順番に並べて置く作業だ。
部品の組み立てにまで用途が広がるのは 2030 年までとされている。つまり今の Atlas が工場で担うのは、ラインの手前で部品をそろえる役で、車そのものを組む役ではない。
来年には工場内の新しい建物へ移り、RMAC は今のおよそ 10 倍の広さになる。Boston Dynamics は来年から自動車以外の業種でも使い道を探り、2027 年にかけてデータ集めなど Atlas の訓練を続けるとしている。
2 万 5000 台と年 3 万台は、計画の数字
数字の大きさにも目が行く。現代自動車グループは、まず現代自動車と起亜の世界の工場で 2 万 5000 台の Atlas を数年かけて配備し、米国には年 3 万台のロボットを作れる工場を新設する計画だという。
ただし、これはグループの計画であって、稼働している台数ではない。今日の時点で確かなのは、1 か所の工場の中に訓練の場ができたことだ。Boston Dynamics の最高製品・技術責任者ザック・ジャコウスキー氏は「現代自動車グループとともに、企業規模のフィジカル AI を切り開いている」と述べている。
職場にロボットが来る順番を読む
今回の発表からは、ロボットが職場に入る順番が一つ読み取れる。まず、形が決まっていて繰り返しの多い運ぶ・並べる仕事。次に組み立てのような手先の仕事。家事の実演が話題になりやすいヒト型ロボットも、お金を払って使う最初の現場は、作業が決まった工場の一角になりやすい。
一方で、見えていないことも多い。訓練中のロボットがどれだけの速さと確かさで部品を並べられるのか、人の作業員とどう持ち場を分けるのか、発表は数字を出していない。1 台あたりの価格も書かれていない。
次に確かめられるのは来年だ。RMAC が 10 倍の建物へ移るときと、2027 年に他業種での試験が始まるときに、Boston Dynamics のニュースページで何ができるようになったかが示されるはずだ。そこで「部品を並べる」の次の仕事が出てくるかどうかを見たい。
ことば
- ヒト型ロボット — 人と同じような胴体・腕・脚を持つロボット。人向けに作られた工場や道具をそのまま使える点が売りで、工場の設備を作り変えずに入れられるかが試されている。
- フィジカル AI — 画面の中ではなく、ロボットの体を通して現実の物を扱う AI。工場で集める動きのデータが、次の学習の材料になる。
あなたの仕事の中で、形が決まっていて繰り返しの多い作業はどれで、それがロボットに渡ったら、あなたは何に時間を使うだろうか?