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PSアワード「+あんしん」に半固体モバイルバッテリーなど5製品

経済産業省が令和8年度PSアワードの受賞9社と「+あんしん」5製品を発表。半固体モバイルバッテリーや苦み成分つきコイン電池など、誤使用を設計に織り込んだ製品と、その限界を整理した。

PSアワード「+あんしん」に半固体モバイルバッテリーなど5製品のイメージ

この記事でわかること

  • 経済産業省が令和8年度PSアワードの受賞企業9社と、誤使用・不注意の事故リスクを下げた「+あんしん」5製品を発表。表彰式は11月12日
  • モバイルバッテリーは令和6年のリチウムイオン電池関連火災982件中290件。電気カーペット・毛布は2014〜2025年に157件の事故、うち42件がヒーター線断線
  • マークの文言は「リスク低減」で、なくなるわけではない。受賞は一部の型番に限られ、置き場所や点検の手間は残る

経済産業省は10月30日、製品安全の取り組みを表彰する令和8年度「PSアワード」の受賞企業9社と、誤使用や不注意による事故のリスクを下げた製品を認める「+あんしん」の受賞製品5製品を発表した。半固体電池のモバイルバッテリー、蒸気を出さない電気ポット、苦み成分を塗ったコイン電池などが並ぶ。

5製品に共通するのは、使う人がうっかり間違えることを最初から設計に織り込んでいる点だ。冬の家電を出し始めるこの時期に、家の道具をどう選び、どう点検するかの手がかりとして読める。この件は速報で第一報を出している。

「+あんしん」は、うっかりを前提にした表彰

経済産業省によると、重大な製品事故の要因の約3割は使う人の誤使用や不注意で、若い層と60歳以上では6割を超える。+あんしんは、特定の誤使用や不注意への対策を施した製品を審査し、効果が認められたものに分かりやすい表示を付ける制度だ。審査結果報告によると、受賞製品にはマークとともに、どんなリスクを下げたかを説明する文言が付く。

今年の5製品と、それぞれが下げたとされるリスクは次のとおり。

  • 半固体モバイルバッテリー(エレコム、DE-C87-20000 シリーズ) — 落下や圧迫で内部のセルが傷ついたときの発火
  • 蒸気レス VE 電気まほうびん(タイガー魔法瓶) — ふた天面の蒸気口をなくし、沸とう時の蒸気によるやけど
  • 苦み成分塗布コイン形リチウム電池(パナソニック エナジー、CR2032E) — 乳幼児の誤飲
  • 電気カーペット・電気毛布(パナソニック) — しわや局所の重みが続いたときのヒーター線断線による発煙・発火
  • 車いす用電動昇降機(いうら) — 昇降の途中で遮断棒を開けて起きる転落

数字で見る、それぞれのうっかり

審査結果報告には、なぜその対策に意味があるのかを示す数字が添えられている。

モバイルバッテリーについては、令和6年に全国で起きたリチウムイオン電池関連の火災982件のうち290件がモバイルバッテリーで、最も多かった。原因が分かったものでは「外部衝撃」が最多だという。エレコムの製品は、500回の充放電を経たセルを最大20kNで押しつぶす第三者試験で、発火・爆発・液漏れが起きなかったとされる。

電気カーペットと電気毛布では、2014年から2025年に157件の製品事故があり、うち42件がヒーター線の断線に関わるものだった。パナソニックはヒーター線の外側を二重構造にし、発熱の密度も下げた。

コイン電池は、1〜6歳の30人で試したところ86%が吐き出すか吐き出そうとし、飲み込んだ子はいなかったと報告されている。

マークがあっても、なくならないもの

ここは読み違えないようにしたい。マークに付く文言は「リスク低減が図られた製品」であって、リスクがなくなった製品ではない。苦みのある電池の検証でも、吐き出した・吐き出そうとした子は86%で、全員ではなかった。電池を子どもの手の届かない場所に置く手間は変わらない。電気ポットの文言には「一定条件下での」とわざわざ書かれている。

対策の範囲も、それぞれ一つのうっかりに絞られている。半固体のモバイルバッテリーが下げたのは衝撃による発火のリスクで、充電のしかたや置き場所の注意がいらなくなるわけではない。また、受賞は一部の型番に限られる。家にある同じメーカーの製品が、同じ対策を備えているとは限らない。

企業部門は、暮らしの近くにも

企業部門では、福岡のシェアサイクル運営会社チャリチャリが経済産業大臣賞を受けた。利用ログや走行軌跡を事故の分析に使い、スマートロックの構造変更などに反映している。電動車いすのセリオは、利用者の自宅を訪ね、通院先や買い物先へ実際に通う道で安全運転を指導してから納品している。通販のジャパネットは、エアコンの異音の問い合わせが増えたことから、メーカーが知らせずにホースの素材を変えていたことを突き止めた。

次に見るもの

11月は経済産業省が定める「製品安全総点検月間」だ。家にあるモバイルバッテリーに膨らみや落とした跡がないか、去年の電気毛布に折りじわや焦げがないか、点検の目安にできる。受賞企業と製品は、11月12日(木)に東京・内幸町のイイノカンファレンスセンターで開かれる表彰式と記念イベントで紹介される。対象には「製品安全に関心のある方」も含まれ、報道発表のページに申し込みフォームがある。

ことば

  • PSアワード — 経済産業省の「製品安全対策優良企業表彰」の通称。平成19年度に始まり、今年で20回目。安全な製品をつくる・売る・使ってもらう・問題が出たら対応する、の4つの視点で企業を審査する。
  • 半固体電池 — 電解質の一部をゲル状などにしたリチウムイオン電池。液体の電解質だけの電池より、セルが傷ついたときに発火しにくいとされる。今回のモバイルバッテリーはこれを採用した。
  • 誤使用 — 取扱説明書や本体の表示から外れた使い方のほか、集中力の欠如や不注意、子どもや高齢者の思いがけない動きも含むと経済産業省は定義している。+あんしんは、この中の特定の一つに絞って対策を評価する。

マークの付いた製品に買い替えるか、今ある道具の使い方と置き場所を見直すか。あなたの家で、いちばん「うっかり」が起きやすいのはどの道具だろうか?

参照

あなたの暮らしで、最初に試せることは何でしょうか。