電子書籍販売サイト Renta! を運営するパピレスは10月30日、不正アクセスで止めていたサービスのうち、購入済みの作品を読む機能「ライブラリ (簡易版)」を再開したと発表した。作品を買うための決済機能やそのほかの機能は、セキュリティを強化したうえで順次戻していくとしている。
10月18日に不正アクセスの可能性を把握してから、Renta! は全サイトを止めていた。買った本は、また読めるようになった。ただ、新しく買うことはまだできず、止まっていた間に失ったものの扱いもこれからだ。
戻ったのは「読む」だけ
今回の発表で新しく分かったのは、再開の範囲と、停止の影響への対応方針の2つだ。
再開したのは、購入済みの作品を閲覧できるライブラリの簡易版に限られる。作品の購入に必要な決済機能や、そのほかの機能は、セキュリティの強化を行ったうえで今後順次導入する予定だという。全面再開の日付は書かれていない。
流出の範囲について、新しい情報は加わっていない。10月23日の発表では、一部会員のメールアドレス等の会員情報が流出したおそれがあるとし、決済手段の情報は保有していないため流出はない、購入履歴とマイリスト (本棚) は流出も消失も確認されていない、と説明していた。対象人数は、今回も示されていない。
期限が切れたレンタルとクーポン
止まっていた間に、レンタルの期限が切れて作品を読めなかった人がいる。配布できなかったクーポンや、使えないまま期限が切れたクーポンもある。パピレスはこれらについて、後日順次対応するとしている。どういう形で埋め合わせるのか、いつなのかは、まだ書かれていない。
ここで気をつけたいのは、「レンタル期限の延長」「クーポンの再発行」をうたうメールだ。パピレスは、登録されたメールアドレス宛てに、同社や関係者を装った不審なメールが送られるおそれがあると呼びかけている。埋め合わせの対応が予告されているぶん、それを名乗る偽のメールは本物らしく見えやすい。届いたメールのリンクからは入らず、ブックマークや公式アプリから Renta! を開いて確かめるほうが確実だ。
全面再開の前に、済ませておけること
パピレスが会員に求めていることは、10月23日の発表から変わっていない。Renta! と同じメールアドレスとパスワードの組み合わせをほかのサービスで使っているなら、そちらのパスワードを変える。心当たりのないメールの URL や添付ファイルは開かない。そして、サービスの再開時にはパスワードを再設定する。
このうち、ほかのサービスのパスワード変更は、全面再開を待たずにできる。Renta! のパスワードは元に戻せない形に変換 (ハッシュ化) して保存されていたが、単純な組み合わせほど推測で当てられやすい。使い回している先が多い人ほど、早めに手を付けたい。電子書籍のアカウントは作ったきり放っておかれやすく、何年も前に決めた組み合わせが残っていることも多い。
次に確かめたいのは、パピレスのニュースリリースのページだ。決済機能が戻る日、パスワード再設定の手順、そして期限切れのレンタルとクーポンへの対応の中身が、ここで示されるかを見たい。
ことば
- ライブラリ (簡易版) — Renta! で購入済みの作品を一覧して読むための機能を、絞った形で先に戻したもの。今回はこの部分だけが再開し、購入や決済はまだ使えない。
- ハッシュ化 — パスワードを、元の文字列に戻せない別の文字列に変換して保存する方法。保存側から盗まれても直接は読めないが、単純なパスワードほど推測で当てられやすい。
「レンタル期限を延長します」というメールが届いたら、あなたはどこから Renta! を開くだろうか?