米国の Agility Robotics は10月26日、物流大手 GXO との提携を広げ、人型ロボット Digit をノースカロライナ州ステーツビルとテネシー州レバノンにある GXO の拠点に入れると発表した。導入は2027年初めに始まる予定で、通販の注文品をそろえて送り出す倉庫で、繰り返しの多い荷物の運搬を受け持つ。
Digit はすでにジョージア州フラワリーブランチの GXO の拠点で、10万個を超える箱を運んできた。試験の段階を越えて、同じ会社の別の倉庫へ広がる例になる。ネットで買った物が届くまでの裏側で、何が変わりうるかを見ていく。
1拠点から3拠点へ
発表によると、GXO と Agility は2024年6月に、ロボットを利用料で借りる形の複数年の契約 (RaaS) を結んだ。フラワリーブランチでは、Digit が既存の自動化設備と並んでトート (荷物を入れて運ぶ箱) を動かし、コンベヤーに載せる作業をしてきた。運んだトートは10万個を超えるという。
新しい2拠点では、現行の Digit 4 から始め、次の世代の Digit 5 が商用で使えるようになれば移る予定だ。ロボットの群れを遠隔で管理する Agility のクラウドの仕組み「Agility Arc」も使う。導入する台数は発表に書かれていない。
Agility の CEO の Peggy Johnson 氏は、GXO は商用の契約のもとで Digit を実際の業務に使った最初の顧客だとし、拠点の拡大は価値が実証された明確なサインだと述べている。GXO の CEO の Patrick Kelleher 氏も、顧客と従業員の双方に価値を生む実用的な解決策として評価した。
届く荷物の裏側で変わること
通販の倉庫では、注文が入るたびに棚から品物を集め、箱に入れ、運び、送り出す。そのあいだに、空の箱や荷物の入った箱を何度も持ち上げて運ぶ作業がある。体に負担がかかりやすい仕事だ。
Digit が受け持つのは、まさにこの運ぶ部分だ。年末の繁忙期のように注文が急に増える時期に、人手の波をロボットでならせるなら、届くまでの日数のぶれが小さくなる可能性がある。人の側には、異常に気づく、止まったロボットを立て直すといった仕事が残る。
まだ分からないこと
ただし、発表から分かるのは2拠点の名前と開始の時期までだ。台数、1台がどれだけの作業をこなすのか、人の配置がどう変わるのかは書かれていない。10万個という数字も、2024年の契約以降の累計で、1日あたりや1台あたりの量は示されていない。
人型ロボットの倉庫での導入は、まだ限られた拠点での例が多い。速さ、故障の頻度、人のそばで動くときの安全をどう確かめるかが、拠点を増やすうえでの課題になる。Digit 4 から Digit 5 に移る時期も、Digit 5 の商用化しだいで決まっていない。
次に確かめるのは、2027年初めに2拠点で稼働が始まったときの公表だ。Agility のニュースのページと GXO のニュースルームで、台数と担う作業の範囲が具体的に示されるかを見たい。
ことば
- RaaS (Robots-as-a-Service) — ロボットを買い取らず、利用料を払って使う契約の形。初めの出費を抑えられ、保守や更新も契約の中でまとめて任せられる。
- トート — 部品や商品を入れて運ぶ、取っ手付きの樹脂製の箱。通販の倉庫では、棚・作業台・コンベヤーのあいだを何度も行き来する。
- フルフィルメント — 通販で注文を受けてから、商品をそろえ、梱包し、発送するまでの一連の作業。今回の2拠点で Digit が担うのは、この中の運搬の部分だ。
明日届く荷物を、どんな手が運んだのか。人とロボットのどちらに運んでほしいと、あなたは考えるだろうか?
