自治体が住民に災害情報を送る防災メールの配信システム「SpeeCAN RAIDEN」が不正アクセスを受け、メールアドレス約313万6000件が漏れた恐れがある。運営する大阪府箕面市のアルカディアが10月13日に公表した。電話番号約10万5000件、FAX番号約1万5000件も対象に入っている。
アルカディア SpeeCAN RAIDEN 10月13日 告知 (経緯・漏えいの恐れがある項目と推定件数・決済情報の扱い・注意喚起)SpeeCAN RAIDEN公式ブログ
同じ日、横須賀市やさいたま市、大分県、岡山市などが、それぞれの防災メールへの影響を発表した。いざというときの連絡のために登録したアドレスが、狙われる側に回った。自分が対象かどうかと、配信が止まっている間に災害情報をどう受け取るかを確かめておきたい。
10月11日の不審な動きから、13日の停止まで
アルカディアの告知によると、経緯は次のとおりだ。
- 10月11日16時30分: 不正アクセスが疑われる不審な動きを確認
- 10月12日3時ごろ: 侵入経路を塞ぐ応急の措置をとり、影響の範囲を調べ始めた
- 10月13日: 侵入経路を特定し、該当するサービスを緊急停止。不正アクセス元の IP アドレスを遮断した
漏れた恐れがあるのは、連絡先の名前、メールアドレス、電話・FAX 番号、自治体側の担当者や契約の情報、そして配信の履歴として保存されていた本文だ。件数はいずれも推定で、調査は続いている。同社はクレジットカードなどの決済の情報はもともと扱っていないとしている。
同社はこのサービスを、導入自治体が700にのぼると紹介している。報道によると、学校向けのメール配信サービスにも影響が出た。
横須賀市では4つの配信が止まった
横須賀市の発表は、自治体の側で何が起きているかをよく示している。対象は防災情報メール4万7065人、防災情報 FAX 996人、防災情報電話11人、防犯あんしんメール1万848人。市はこの4つの配信を状況が確認できるまで止め、その間の防災・防犯情報は、市の公式サイト、X や LINE などの公式 SNS、防災行政無線で出している。
市によると、登録者のもとには不審な迷惑メールがすでに届いている。市や事業者を名乗って個人情報の入力を求めるメールが来る恐れもあるとして、URL を開かず、返信せずに削除するよう呼びかけている。報道によると、カード会社を名乗る不審なメールが届いた自治体もある。
自分の登録先を、自治体の名前で探す
厄介なのは、住民の側から「SpeeCAN RAIDEN」という名前がほとんど見えないことだ。登録したのは「○○市防災メール」「県民安全・安心メール」のような自治体ごとの呼び名で、裏で動くシステムの名前は意識しない。できることを並べておく。
- 住んでいる自治体と、実家や勤め先、子どもの学校がある自治体の公式サイトで、防災メールについてのお知らせが出ていないかを見る
- 防災メールが止まっている自治体では、公式 SNS や防災アプリなど、ほかの受け取り先を一つ足しておく。携帯電話会社が一斉に流す緊急速報メールは、登録制の防災メールとは別の仕組みだ
- 自治体や防災を名乗るメールに、個人情報やカード番号を求めるリンクがあっても開かない。配信の再開は、自治体の公式サイトのお知らせで確かめる
漏れた恐れがある中には、過去に送られた防災メールの本文も含まれる。本物の文面や差出人の名乗り方を真似たメールが作られれば、見分けるのは難しくなる。災害情報のメールは、急いで開いてしまう種類の連絡でもある。
次に見るのは、アルカディアの SpeeCAN RAIDEN の告知ページと、自分の自治体の公式サイトだ。対象の自治体と件数が調査で確定するか、配信がいつ再開するかは、そこに載る。
ことば
- 防災メール — 自治体が、登録した住民に気象警報や避難の情報などをメールで送るサービス。自治体が自前で作るのではなく、配信の仕組みを外部の事業者から借りていることが多い。
- 緊急速報メール — 携帯電話会社が、自治体や気象庁の依頼を受けて、その地域にいる携帯電話へ一斉に流す通知。事前の登録は要らず、メールアドレスも使わない。
もし今夜、大きな災害が起きたら、あなたが災害情報を受け取る手段は、止まっているメールのほかにいくつあるだろうか?

