GMOインターネットは10月24日、「お名前.com デスクトップクラウド」へのサイバー攻撃について第4報を出し、現在の利用者全員に、被害の有無を問わず一律5,000円の見舞金を払うと発表した。あわせて、不正アクセスに起因する不正取引で生じた損失を補償し、攻撃を受けた現行の基盤は再開せずに、別の基盤で動く代替サービスへの乗り換えを6か月無償で案内するとした。
GMOインターネットグループ 第4報 (2026年10月24日 11:50時点・見舞金・代替サービス・損失補償・攻撃者からの要求)【重要】お名前.com デスクトップクラウドサービスに対するサイバー攻撃について(第4報) | GMOインターネットグループ株式会社
お金が戻る道筋が示された一方で、利用者の手元には新しい仕事が二つ増えた。申請に備えて記録を残すことと、補償を装う連絡を見分けることだ。
「可能性」から「持ち出しを確認」へ
10月22日の第2報は、取引口座のログイン情報などが取得され、不正に使われた「可能性」があるという書き方だった。翌23日の第3報も、個別の取得や不正利用の有無と範囲は調査中としていた。24日 11:50時点の第4報は、システムにセキュリティ上の問題があり、環境への不正アクセスと、利用者の情報が外部に持ち出された事実を確認したと書いている。
影響の可能性があるサーバーは全プランで26,739件。第3報は、これが対象となり得る数であって、不正アクセスや情報の取得が確認された件数ではないと断っている。被害を受けた人数や金額は、第4報の時点でも公表されていない。
第4報はもう一つ、攻撃者とみられる者から金銭を要求され、応じなければ情報を公開すると連絡を受けていることを明らかにした。脅しとして挙げられたのは次の三つだ。
- 国内外の70を超える証券会社・FX会社などにある利用者の口座への、不正な注文の継続
- サービスと、そこに接続した利用者のパソコンに関する情報の公開と、ランサムウェア (データを暗号化して身代金を求める攻撃) の実行
- 同社のシステムや運用体制に関する情報の公開
同社は要求に応じないとし、主要な取引所・証券各社に、サービス経由のアクセスの遮断と全セッションの強制切断を要請した。政府の関係機関には、能動的サイバー防御の措置を本件に適用するよう求めている。
5,000円、乗り換え、損失補償の中身
第4報が示した措置は三つあり、それぞれ案内の期限が違う。
- 見舞金: 現在の利用者すべてに一律5,000円。損失の補償とは別に払う。受け取りの手続きと支払い時期は、10月30日(金) 23:59までに登録のメールアドレスへ知らせる
- 代替サービス: 独立したクラウド基盤で動く別のサービスへの乗り換えを案内し、乗り換え後は6か月無償。同意なく移すことはしないとし、機能の違いや無料期間が終わった後の料金は申し込み前に示す。開始時期と、乗り換えない人の契約の扱いも10月30日までにメールで知らせる
- 損失の補償: 同社が調査で不正アクセスに起因すると認めた取引で生じた実現損失 (取引の差損と手数料など) が対象。市場の変動による損失、得られたはずの利益、その他の間接的な損害は含まない。申請方法、必要書類、受付期間、支払い時期は11月6日(金)までに公式サイトとメールで案内する
補償には順番がある。利用者はまず口座のある取引所などに、取引が第三者の不正アクセスによるものだと説明して、取消しや返金を相談する。返金があればその分を差し引いた残りを同社が払い、取引所が返金に応じなければ、対象となる損失を同社が払う。
申請の前に、手元に残しておくもの
申請では、対象の取引の日時、内容、損失額を客観的に確かめられる情報を出す。本人確認書類や、同社が取引履歴を直接確かめるための閲覧専用パスワード (MT4/MT5 の閲覧用パスワードなど) を求めることもあるという。
いま利用者ができるのは、口座のある会社のサイトやアプリで取引履歴を開き、身に覚えのない取引の日時と金額を書き留め、画面を保存しておくことだ。取引所に相談した日付と、その返事も残しておけば、返金の有無を示す材料になる。
ただし手間は小さくない。口座が複数の会社にあれば、その数だけ相談と記録が要る。補償の対象は同社が調べて「認めた」取引に限られ、その判断は取引とアクセスの記録にもとづく。不正な注文のあとの値動きで膨らんだ分が、実現損失と値動きによる損失のどちらとして扱われるのかは、第4報の文面からはまだ読み取れない。代替サービスも、機能や使い方が今のサービスと違い、無料の6か月が過ぎた後の料金は申し込みの前に示されるまで分からない。
補償を装う連絡と、自分のパソコン
お金を払う、返金する、という知らせが出たあとは、それを装う連絡が出やすい。第3報はすでに、補償や返金を装う不審な連絡に注意するよう呼びかけていた。第4報の線引きははっきりしていて、補償の手続きで同社がパスワード (閲覧専用パスワードを除く) や暗証番号を尋ねることはないという。攻撃者が同社や利用者に関する情報と称するものを公開する可能性があり、そこには事実と違う内容が含まれうるとも書いている。
第3報は、利用者自身の端末への影響も含めて調べているとし、予防として手元のパソコンやスマートフォンをウイルス対策ソフトでフルスキャンし、データのバックアップを取るよう求めた。パスワードの変更はFX取引に使っていない端末から行う。変更したあとも、証券会社やFX会社によっては古い接続がしばらく残り、第三者が取引を続けられる場合があるため、口座のある会社に全セッションの切断を頼むよう書いている。ブラウザに保存しているIDとパスワードも、変更の対象に加わった。
問い合わせの窓口はお問い合わせフォーム (help.onamae.com/contact) と電話 03-5456-2560。第3報と第4報は、電話を土日・祝日を含む24時間の受付としている。
次に届く二つの知らせ
次の節目は二つある。10月30日(金) 23:59までに届く、見舞金と代替サービスのメール。そして11月6日(金)までに公式サイトとメールで出る、損失補償の申請方法だ。届いたメールは、GMOインターネットグループのお知らせ欄 (group.gmo/info/alert) に出る続報と中身を照らし合わせてから開けば、本物かどうかを確かめやすい。
ことば
- 能動的サイバー防御 — 重大なサイバー攻撃に対し、被害が深まる前に国や関係機関が攻撃者の基盤や侵入経路を特定し、無力化する枠組み。GMOは本件をその適用の「発動第1号」とするよう政府関係機関に求めた。
- 実現損失 — 決済が済んで確定した損失。第4報では取引の差損と手数料などを指し、市場の変動による損失や得られたはずの利益とは区別されている。
- 閲覧専用パスワード — MT4/MT5 で、取引はできず口座の履歴や残高だけを見られるパスワード。同社が補償の確認のために提示を求めることがある、唯一の例外として示された。
補償の知らせが本物かどうかを、あなたはどこで確かめるだろうか?