日本年金機構は、機構を装った不審なメールやSMSへの注意を呼びかけるページを10月19日付で更新した。挙がっている例の中には、「専用アプリ」をスマートフォンに入れさせようとするメールが2種類ある。
日本年金機構「日本年金機構を装った不審なメール・SMSにご注意ください」(10月19日更新・専用アプリ誘導の例2と例3・見分け方)nenkin.go.jp
口実は、年金の手続きに要る補足情報の提出と、期限までに受け取り手続きをしないと年金の支給が止まるという知らせだ。機構は、こうしたメールは送っていないとしている。
「アプリを入れて」と言わせる2つの文面
1つ目は「補足情報の提出について」という件名で、年金関連の手続きの審査に補足情報が要るとし、専用アプリをダウンロードして入力するよう求める。期限内に出さないと審査が保留になる、とも書かれている。
2つ目は「年金支給額確定のお知らせ」をうたい、期日までに受け取り手続きが確認できないと今回の支給は無効になると迫る。本文には年金の支給明細をまねた金額の表が入り、末尾に「Androidアプリをインストールして受け取る」というリンクが置かれている。
リンク先で何かを入力させる手口と違い、アプリは端末の中に入って動き続ける。入れてしまえば、そのあと何を読み取られるかを利用者の側では見通しにくい。
同じページには、ほかの手口も並ぶ。保険料の未納を理由に財産の差し押さえを予告し、キャッシュレス決済の送金画面へ飛ばすもの。マイナンバーカードの両面の画像を上げさせるもの。社会保険料控除証明書の発行に必要だとして書類を出させるもの。後の2つは、ねんきんネットのログイン画面をまねた偽サイトへ誘う。「国民年金機構」という実在しない名前を使う例もある。
機構と国税庁が「しない」と言っていること
日本年金機構は、メールで口座番号などを尋ねることはなく、メールで支払いを促すこともないとしている。
国税庁も同じ種類の線を引いている。国税庁 (国税局・税務署を含む) は、ショートメッセージにURLを書いた案内を送らない。税金の納付の求めや差し押さえについて、ショートメッセージやメール、LINEでメッセージを送ることもない。e-Tax から届くメールにはファイルが添付されず、原則として本文にURLも書かれていない。
国税庁のページには、アプリを入れさせる手口の例は載っていない。ただ、両者が「しない」と書いていることを並べると、届いた知らせが本物かを見分けるときの物差しになる。
届いたときに確かめること
日本年金機構は、見分け方として次の点を挙げている。
- 送信元のアドレスが「nenkin.go.jp」で終わっているか。ただし表示上のアドレスは偽装されることがある
- ねんきんネットに関するメールには、原則として電子署名が付いている (携帯電話向けのメールなどを除く)
- リンク先のアドレス欄が「https://○○.nenkin.go.jp/」となっていて、「go.jp」の直後が「/」になっているか。「nenkin.go.jp.○○」のような偽装がある
この確認には手間がかかる。電子署名は対応するメールソフトでしか見えず、スマートフォンでアドレス欄の細部を読むのも楽ではない。いちばん確かなのは、メールのリンクを使わずに、自分で開いた公式サイトや、手元の書類にある窓口から確かめることだ。税金の件で電話が来たときは、即答せずに相手の所属と名前を聞いて一度切り、最寄りの税務署の総務課などへ問い合わせるよう国税庁は案内している。
不審なメールを見つけたら、日本年金機構のサイトの「ご意見・ご要望」から知らせることができる。次に見るのは、日本年金機構の同じ注意喚起ページの上部にある更新日と、並んでいる例の中身だ。
ことば
- ねんきんネット — 日本年金機構が運営する、自分の年金記録や見込み額をネットで確かめられるサービス。今回の偽サイトは、このログイン画面をまねている。
- 電子署名 — メールの送り主が本物か、途中で書き換えられていないかを確かめるための印。付いていても、受け取る側のソフトで確認して初めて意味を持つ。
年金の知らせがメールで届いたとき、あなたや家族は、まずどこで本物かを確かめるだろうか?