インタビュー:佐山氏に聞く「復興、破局、復旧はトキのワ ー独りの出版人としてー」

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目黒区内の仕事場を訪ねていきなり供されたのが、「みなまた 安心・安全なものづくり」のキャッチフレーズを付けた『天の紅茶』。熊本県水俣市と言えば、日本の化学工業会社チッソが海に流した廃液による公害病。「MINAMATA」の名は水銀汚染の象徴として世界中にその名を知られている。

ところがこの農薬・化学肥料一切使用せずの紅茶のなんと素晴らしいいこと! 「すごいんですよ、この紅茶。国産紅茶のほうが新鮮な香りと甘味があって、完全に輸入物を上回っています。吉田司さんの名作ノンフィクション『下下(げげ)戦記』を読みながら飲むとなおいいです」と佐山さんが嬉しそうに語る。どうやらこの紅茶、特集インタビューの小道具にもなっているようだ。

編集部:またあの日あの時がやって来ますね。

佐山氏:目黒区の仕事場にて
佐山氏:目黒区の仕事場にて

佐山氏:個人的にはこの間、長かった実母の介助・介護生活があって、デモに一回出かけたのとチャリティの原稿を一本寄稿した程度のことで情けないことこの上なかったです。福島には遠戚筋が暮らしていて報道では得られないリアルな情報を得ていました。太平洋と阿武隈高地に挟まれた県の東部地域である浜通りではないので、南北500キロといわれる被災地エリア内でも実感レベルでの差があるのだなと感じていました。

編集部:そうは言っても、TwitterとHPでの発信はしていたじゃないですか。

佐山氏:津波、余震、放射能漏れ、輪番停電と次々にあって、発災中という認識に立つ時間がとても長かったですよね。気の利いたことを何か述べようとしても空疎にひびくばかりで…。95年1月の阪神・淡路大震災のときはメールの普及がまだ限定的で、もっと活用すべきだとコラムで呼びかけました。2年前の3月11日14時46分に起きた震災ではGoogleのパーソンファインダーに「人を探している」のボタンも作られたりで、SNSの効用という点ではさすがに前に進んだ印象があります。その最たる例が副知事時代の猪瀬(直樹)さん。都知事選の事務所開きの日に行ったら、受付に感謝の気持ちを込めた子どもたち手作りの記念オブジェが置いてありました。「具体的貢献」に「迅速な」が付随すれば更に良いということに気づいた人は多かったのでは。実務の場にいない理想・抵抗派言論人はちょっと旗色悪いんじゃないですかね。威勢のいいこと言ってるけど、その実態は「夢想するブルジョワジーの書斎」から一歩も出ないクソじじい。マスゴミといわれてもしょうがないですよ。ただ今度は安部総理の施政方針演説にも織り込まれた「毎月被災地を訪れている」が「この印籠が目に入らぬか」効果を生んでいる面もありますね。大学の後輩に「アイムソーリー、アベソーリ」と言ってもしょうがないんだけど(笑)。

編集部:猪瀬さんの件はWikipediaにこうあります。

東日本大震災の際、気仙沼市中央公民館で孤立した446人を、東京消防庁に命じて救出させた。きっかけは気仙沼市社会福祉協議会マザーズホーム園長から「火の海 ダメかも がんばる」という携帯電話からの電子メールを受け取った息子(イギリス在住)が、地上からの接近は難しいと言って空からの救出を求める事を、Twitterにてツイートをしたことから。それが猪瀬宛にメンションで届き、救助が必要と判断すると直ちに東京消防庁の防災部長を呼び出し、直接ヘリ出動を命じた。防災部長も即座に出動を決断した。ヘリコプターが到着して現場を確認するまで、公民館に取り残されたのは十数名と見られていた[。地元からの出動要請がない中でのヘリ出動は極めて異例。この時の様子のほか、東日本大震災後、東京都副知事としてどのような陣頭指揮を取ったかを、2012年3月刊行の『決断する力』(PHP新書)にまとめている。

 

佐山氏:社会貢献は各自の生活や仕事に根ざしたかたちでさまざまです。報道の現場がいちばんの情報過疎地でもあるというパラドキシカルな現実を突きつけているのがデジタル革命の裏面でもあるわけでね。そこを見事に突破したところがソーシャルネットワークをフルに使った「チーム猪瀬」だったのでは。